前回の続き、乗せる誘い(アクション、動かし方)について書いていきます。
上記図の黄色いゾーンが乗せる誘い、青いゾーンが魅せる誘いのエリアとなります。
乗せる誘いは基本的に横の誘い+5cm以内の縦の誘いです。
タコを誘惑しつついかに乗りやすい体勢を作れるかがポイントになります。
・定速小突き
平場、ちょいガリガリ場で船下を攻める際はオモリを3cm浮かせて底をトントン叩いています。小突く速さについてはオモリが沈んで底に着く時間の最大値が決まっているため特に小突く速さを変えるということはしていません。一定のリズムでトントントントン底を叩いています。
この釣り方におけるエギの移動速度は船の流れる速度に依存します。エギの移動距離調整や乗りの間を作るために途中でステイさせることもあります。
オモリ&スナップ偏でチラッと書きましたが、私が一般的な小突き方をやらないのは
エギを確実に動かす。
というのが最大の理由です。
オモリを浮かさず立てたり寝かしたりするというのはアナゴ釣りにおいての基本動作になります。アナゴ釣りをやったことがある方はイメージしやすいかもしれませんが、波で足場がゆらゆら上下する状態においてオモリを浮かさず立てたり寝かしたりというのは
難しいんですよね。
浮いたらダメという意識が強くなると動かす幅が小さくなる、もしくは船の揺れに対応するためロッドを10時ぐらいの方向に構える。
そうなるとエギを動かしているつもりでも実際に水の中では動いていない。
ということも十分起こります。
水深が深い、潮向きが悪ければ尚更です。
しかし、オモリを浮かせて沈めてと動かせば竿先が上下した高さ分だけ確実にエギも上下します。浮かせる高さとリズムだけ意識し、後は船の揺れに合わせてティップの高さをコントロールしながら小突くだけで余計なことは考えずに済みます。
ティップが柔らかい竿だと負荷が吸収されてしまうため、同様に動かそうとするとロッドの吸収分も含めて大きく動かす必要がありますが、硬めの竿だとバスケットボールのドリブルのイメージで軽くトントン小突けます。
※バスケットボールのドリブルのレクチャー動画を確認したら自分のイメージと違っていました。
最も近いイメージはまりつきのリズムでした。
これで十分タコは乗ってきます。
船上を見ているとオモリを底に付けたまま必死になってガチャガチャ動かしている方も見受けられます。
タコにアピールするためにはエギを沢山動かした方が良い。
確かにエギを動かしている方が
アピールしている感はあります。
ですが、それはあくまで
人間側の自己満足
私の経験上、
エギの動きの激しさと🐙の寄りは比例しません。
エギがまったく動かないのはNGですが、どの程度動いていればよいのかはその日のご機嫌次第。
ただ、私は必死にエギをガチャガチャ動かして乗りが増えたという経験がありません。
エギをガチャガチャ動かし続けるのが好きな方を止めることはしませんが、1日小突くことを考えると必死の形相でひたすら動かしても無駄に体力を消耗するだけだと考えています。
体力の温存、集中力を維持するためにもエギをガチャガチャ動かし続ける誘い方は推奨いたしかねます。
次にキャスト時はオモリを浮かせるように小突くとラインテンション分だけエギが速く動いてしまうことからオモリを引きずりながら小突いています。
キャスト時は基本的にテンションを常にかけた状態で手前に小突いてくるのでエギを引きずりながらでもそれなりに動いてくれます。
私の場合、二本竿でやる以上どうしても片手でロッド操作、ラインスラッグの巻き取り操作を行う必要があるため、キャストした際には必ずステイ時間が発生します。
・ズル引き
小突いていないと乗らないとレクチャーしている船宿もありますがズル引きも立派な誘いです。極端な話、船での釣りは自分が動かなくても船が動くので底べったりにエギを置いておけばズル引き状態になります。二本竿でやっている時に1本にタコが乗って巻き上げている間、もう一本は置き竿でズル引き状態になりますが、この時に乗ってくるケースも度々あります。
※こんな時はカーニバル開幕に期待です(笑)
しかし、ベタ凪で潮の流れが無いとエギが仏像化して縦にも横にも動いてくれません。そうなると乗ってくることは極めて稀です。あくまで船が流れているとき限定です。
オカッパリのタコ釣りでは普通にズル引きも有効な誘いとして紹介されています。陸からは有効だけど船では無効というのは筋が通りません。
キャスト時など確実にエギを動かせる状況であれば小突きとステイの合間に加えてやることでその日のコンディションにマッチした誘いになる可能性も十分ありえます。
ただしガリガリ場では超高確率で根掛かりしますのでやらない方が無難です。
・宙小突き
これが最もセオリーに反していますね。
よく言われているのが
タコは底にいるからエギを底から離してはいけない、エギが底から離れていると釣れない。
誰がこんなことを言い出したのか知りませんがそんなことありません。
とは言いつつも、実は2022年11月にその概念を覆す出来事があるまで私もそう思い込んでいました。
これが有効とわかってからは誘いのバリエーションとして積極的に組み込んでいます。
その時のエピソードは以下の通りです。
吉野屋さんの常連さんにS本さんという方がいらっしゃいます。
S本さんは伝統のテンヤオンリーで毎回安定して好釣果を出す実力派テンヤ使いです。
昨年11月にS本さんと同乗した際、S本さんは左舷ミヨシ2番目、私はいつもの左舷胴の間に座っていました。序盤中盤までは私の方が調子よく、倍近くリードしていましたが、後半私の苦手ポイントへ入ってから状況が一変しました。
この苦手ポイントに来ると他の方が釣れていても私だけペースが落ちるもしくは釣れなくなるという個人的にあまりやりたくないポイントです。
※理由はある程度わかっていたんですが改善策が見出せずにいました。
そこでいつも通り根掛かりと格闘している中、S本さんはコンスタントに数を伸ばし、最後の最後で逆転されてしまいました。この時のS本さんの釣り方がテンヤでの宙小突きだったんですね。しかもテンヤのロストはゼロとのこと。
確かに吉野屋さんでお世話になり始めたときから千田船長が出船前にガリガリポイントではテンヤを少し浮かせて小突いてくださいとレクチャーされていました。
それでも、タコは底!!という固定観念を払拭できずにこの時まで底一辺倒でやって来ました。
※千田船長 申し訳ございません
ただ、目の前で結果を出されてしまうと自分の考え方について見直しせざるを得なくなります。
翌週、同じポイントを流す機会があったので勇気を振り絞って宙小突きをやってみました。底から20cm程度浮かせて底を叩いているイメージで3cm幅でチョンチョンチョンと・・・
そしたらですね・・・
ちゃんと乗るんです
🐙🐙🐙
しかもわんさかw
そのポイントを流し始めてからすぐに
自分だけ無双モードに突入しました。
途中、船長が私の釣り方をアナウンスして他の方も同じように釣り始めると船中タコが乱舞しはじめ、船中釣果がもりもり伸びていきました。
この日がはじめてのチュー開眼記念日となりました
この釣り方の良いところは根掛かり頻度が圧倒的に減ること。水深の変化や底の取り直し時に引っかかってしまうこともありましたが底一辺倒でやるより圧倒的に根掛かりが減ります。
そして重くなれば高確率でタコであること。浮かせていれば石、海藻、ゴミに引っかかる確率も下がりますからね。
他のガリガリポイントでも試してみましたがどこも同じように乗ってきました。
底との距離をキープすることに集中してチョンチョンしていればいいだけですから攻略難易度はかなり下がります。しかし、船の揺れを吸収せずにエギが上下に大きく動いてしまうと魅せる誘いで書いた通り、タコがエギを捕まえきれないという事象が発生する可能性があります。そして、エギの高さを常に一定に保つロッドコントロールスキルが無いままやっても釣果に繋がらない可能性が高いと考えます。ロッドコントロールに自信が無い方はまずロッドコントロールスキルを身に着けて下さい。
宙小突きをべた褒めしましたがこの釣り方にも欠点があり、ステイ時間が取れずエギの移動速度の調整が出来ません。加えてエギの高さ維持という操作が加わるため、強風波ポチャor早潮で船の移動速度が速い、かつ低活性時に効果があるかどうかは懸念が残ります。
とりあえずタコが乗ってきた状況はPE4号+エギ2本+オモリ25号で底取りが十分できる程度の移動速度でした。
2023年も同様に検証し、とりあえず0.5ノット以下で船が流れている時には問題なく乗ってきました。
そんなことあるわけがないと思われる方もいるかもしれません。
とりあえず騙されたと思ってやってみて下さい。
やればおのずとわかります。
ただし、平場やたまに根掛かりする程度のポイントにおいては底を叩いたほうが誘いのバリエーションも増やせますのであえて宙小突きをやる必要は無いと考えます。
・定点シェイク
これは目視できるストラクチャーまわり、平場のツブ根に当たった時 等にその近辺でエギを横移動させずに動かしたいときのみ使用します。
タコが狭い範囲で固まっている時はこれを多用することで連発モード、カーニバルに突入させることも可能です。
以上が乗せる誘いになります。
魅せる誘いと乗せる誘い、これらのコンボで何十通りの誘いパターン、エギの色まで組み合わせると3桁以上の攻め方が出来ます。その中からその時々の当たりパターンを探っていますのでタコ釣り中はずっと脳みそがフル稼働しています。
誘いのバリエーションを意識することでただ漠然と小突いているだけでは見えなかった世界が見えてくると思います。
魅せる誘いも含め、タコ船で釣果を伸ばしたいと考えている方はぜひ頭の片隅に入れておいて頂ければ幸いです。
次回はタコの乗りの判別方法について書いていきます。