【2024年更新】タコ釣りマイタックル その4-3 テンヤ・エギ・スッテ編 エサ巻きの章 前編 | キスとたこを愛する変態様の釣物語?

キスとたこを愛する変態様の釣物語?

東京湾奥からほぼ毎週船に乗って釣りしています。
キス釣りとたこちゃん釣りをこよなく愛す変態様のネタ帳
独自の視点で釣りネタについて書いていきます。

加筆していたら文章が長くなり過ぎたので前編、後編に分けることにしましたてへぺろ

 

エギへのエサ巻きについて、

 

豚バラ

とり皮

魚の切り身

 

などなどいろいろなエサが巻かれています。

 

たまに他のお客さんから「この前はあのエサがよかったー」という声が聞こえてきます。

 

エサ巻きにするとなんとなく

 

生エサが付いているから釣れそう。

 

と思われる方が大半だと思います。

 

実際、大多数の魚種においては疑似餌と生エサでは生エサに軍配が上がります。

 

例えばアオイソメを食べる魚種において人工虫エサと生エサどちらが良く食ってきますか?

と聞いた際に大半の方が生エサと答えると思います。

 

キス船に乗ったときも人工虫エサを使っている人はほぼ見かけません。

生エサを触れない方がごくたま~に使っているぐらいです。

 

キス釣りのエキスパート勢においても人工虫エサのほうが釣れると仰る方には未だお会いしたことがありません。

 

タコにおいても大多数の魚種と同じく生エサ絶対有利なのか?

 

答えはNO!

 

だと考えています。

 

そもそもな話

 

東京湾伝統のテンヤ釣り

 

テンヤに付けるエサはタコの大好きなでっかい蟹さん🦀

 

The 生エサ

 

ですよ。

 

お世話になっている浦安 吉野屋さんはテンヤ釣りが基本でエギ釣りもOKというスタンスです。

テンヤ:エギの比率は日によって異なりますが、テンヤとエギが混在した状態での釣りになることが多いです。

 

生エサが絶対的に有効であればこのような環境においてテンヤの方が圧倒的にタコが乗る頻度が増えるはず・・・

 

ただ残念なことにいつもそのような状況にはなっていないのが現状です。

 

シーズン開幕の6月~11月中旬ぐらいまではテンヤ優勢と思われる結果がほとんど出ていません。

 

開幕直後は子ダコが多くテンヤだと合わせてもすり抜けやすい。バラしやすい。

これに対してエギだと子ダコも掛けやすい。だから数釣りならエギが有利というということはよく言われています。

 

しかし、テンヤ勢の動きを見てあからさまにエギより乗りが多いかと言えばそうでもありません。

エサ巻きの有無で比較しても大きな差が出ない。むしろエサを取った方が良く乗ったなんてことも(笑)

※2本竿で同一色のエギ、オモリを付けて比較検証した結果です。

集魚剤の類も試してみましたがこの間に明確な差を感じられる結果は出ませんでした。

 

3年前にそのことに気づいてから私の中でエサ巻き絶対有利という概念が無くなりました。

 

ただ、11月中旬以降~12月末の間はテンヤ優勢と思われる日が散見されるようになります。

エサ巻きが効いたと感じる日は大体テンヤ優勢な日と被っています。

 

あとテンヤに乗るタコは良型が多い。巨タコ狙いならテンヤの方が有利ということもよく言われています。

 

実際に2kg、3kgサイズが潮先のエギ組をスルーして潮ケツ側のテンヤにドン!という光景も度々見ますのでこれは間違っていないと考えています。

 

※内心超悔しいですが(笑)

 

一体何が違うのか

 

色々調べていたところ、一つの疑問に辿り着きました。

 

そもそもタコはエギを餌と認識して抱き着いているのか?

 

まず、11月中旬以前と以後で何が違うか

 

大きく違うのは水温です。

東京湾奥の場合、6月~9月中旬ぐらいまでは水温25℃→28℃→25℃

そこから徐々に水温が下がり始め、11月中旬で17℃前後、12月末で13℃前後まで低下します。

※年によって多少変動します。

 

くわしくはこちらを参照願います↓

 

この水温変化がタコにどのような影響を与えるかを想定するためにネットで調べたところ下記の文献を見つけました。

 

海洋生物環境研究所 海生研研報,第2号,1-351,2000

海生生物の温度影響に関する文献調査

下茂繁・秋本泰・高浜洋

https://www.kaiseiken.or.jp/publish/reports/lib/2000_02.pdf

 

こちらのP296~P297にマダコの発育段階における水温の影響が記載されています。

一部引用して要約すると

・産卵期、孵化期、仔稚期の最適水温は25℃
・成魚期の最適水温は15~25℃
・適水温は7~30℃(引用文献ごとに異なる)
・産卵は水温15℃以上

・水温28℃以上、もしくは7℃以下で昇天

 
産卵期、孵化期、仔稚期の最適水温が25℃とのことで基本的に暖かい水を好むようです。
最適水温の上が25℃なのに28℃で昇天してしまうとはタイトな環境でハイテンションになるなかなかの変態さんです(笑)
 
このことから水温25℃前後が一番ご機嫌がよくなり、さらに上がると活性低下、逆に下がると徐々に活性が低下し、水温15℃を下回ると急激に活性が低下する。これがベースになっていると考えられます。
これに対して水温、水質の急激な変化に伴う環境変化、潮の動きに伴う活性補正を加えてその日の最終的な活性が決まっているのではないか考えています。これは1日中同じ活性で動き続けるということはなく時間あたりで変化するということが前提です。
また、活性が上がる、下がると言っても高温側、低温側でタコの状態は異なると考えています。
活性が低下するときは高温側はいわゆる夏バテ、低温側では寒さで引きこもりたくなるというような人間と同じような状況だと考えられます。
 

次にタコの知性の高さ、学習能力、好奇心について

タコは他の生物にはない高度な学習能力を持っています。

 

これについてはネットなり書籍(※下記参照)に多数の情報が出ていますので詳細は割愛しますが、タコが好奇心や学習意欲だけでエギに抱き着いている可能性も十分に考えられると確信しました。

 
※こちらはタコの生態を知る上で私の聖書になった書籍です。
この本を読んでタコ釣りをしながら感じていた疑問がいくつも解消されました。
興味がある方はご一読頂ければと思います。

 

 

この2点からベースになる水温を基準にして好奇心優勢なのか食味優勢になるかがおよそ決まっているのではないかと考えています。水温が高い時期は体調もよろしく、元気があるのでいろいろなものに興味を持てる余裕があるため基本的に好奇心優勢。逆に水温が低い時期は元気がなくなって引きこもりたくなるので無駄なことはしたくない、従って食味優勢になると考えられます。
 
好奇心優勢時はとにかく変な物、見慣れないもの、食べられるかもしれないものに興味を持って飛びつく。実際に食べられるかどうかは二の次
 
タコの水中動画でもエサを無視してオモリに抱き着いたり、カメラに抱き着いたりと他の生物にはない楽しい動きが見られますよね。
 
次に食味優勢時は外形、匂い含め以前食べたことがあるものを優先、疑わしいもの、違うと認識しているものは二の次
 
特に大型のタコは長く生きている分多くの経験を積んで疑わしきものの判別能力が高くなっている可能性も考えられます。
小さい頃にエギで釣られてリリースされた個体、釣られて途中でバレた個体、近くでエギに抱き着いた仲間が行方不明になったのを見て、あれはヤバいと学習した個体などいろいろなケースが考えられます。
 
そんなことが起こり得るのか?と思われる方は先の書籍を読んでみて下さい。
 
タコはそれぐらい高度な知性と学習能力を持っているという根拠が書かれており、私は起こり得ると考えています。
 
というような感じです。
 
誤解が無いようにして頂きたいのですが、好奇心優勢、食味優勢は0 or 100の答えではありません。
冬にエギで大タコが釣れないということはなく、夏にテンヤでタコが乗らないというでもなくあくまで傾向の話です。エギタコ船で3kg4kgの大ダコも釣れていますし上級者のテンヤ使いの方は夏でも安定した好釣果を出しています。
 
各個体ごとにそれぞれのタコ生を歩んでいますから経験値や性格の違いでイレギュラーな行動を示す個体もいると考えます。
 
※釣ったタコを観察していると個体ごとに異なる反応を示すことがあってとても面白いです。
その話はまた別の機会に書いて行きます。
 
長くなりましたがエサ巻きに対する私の結論は
 
効果は限定的で主に水温低下時に効果を発揮する。
 
そう考えて、2022年までは11月以降しかエサは巻いていませんでした。
 
後編へ続く🐙🌟