みなさん、ご機嫌いかがですか?

 

6月を迎え、ハエたちの発生もピークを迎えました。

野山で「呼吸をするようにハエを探す」、そんな毎日です。

 

さて、そんなハエファンのみなさま方、朗報です♪

 

文一総合出版さんから、その名も「ハエハンドブック」が発売されました!!(やった~8~8~8)

 

7,600種を超える日本産のハエ(双翅目)。

 

腐植物食・捕食・寄生など、多彩な暮しぶりを見せ、

生物多様性の権化ともいえるこの生物群を、

ギュギュギュッと凝縮したような一冊です。

 

ぜひ、お手元に置いて、ハエの深淵をのぞいてみてください!

そして、本に飽きたら、そこから飛び出して、ぜひ本物を見てください!!

そこには、本にもネットにも載っていない情報がいくらでも眠っているのです!!!

 

情報化社会に疲れた人、果てしないワクワクを求めているアナタ、

ぜひ、この扉を開けましょう。開けちゃいましょう~8

 

Yes, We are Dipterist !!!

 

 

…と、宣伝はこれくらいで、

良い本です。ちょっと高いですが。

 

分類ごとに配列されているし、メジャーな種類は大体載っているし。

観察会とか、もしあれば役立つことも大いにあると思います。

 

私は残念ながら制作に関わっていないのですが、ちょっとだけ、

研究成果も取り上げていただいており、ありがたい限りです。

 

少し残念なのが、p101ベッコウハナアブ♀の写真が間違っていること。

(写真はシロスジベッコウハナアブの♀かと思われます)

 

ちなみにベッコウハナアブの♀はコチラ↓

ベッコウハナアブ Volucella jeddona. ♀

24.Ⅶ.2022. Ina-valley. Nagano. Japan. 

 

顔は黒く、体はオスと同じでやや毛深い、といった特徴があります。

 

ある生き物屋さんは「新しい図鑑が出たら間違いを探すのが楽しみ」なんて言っていましたが、

私はそれほど悪趣味ではございません。

 

著者の方々とはまだお近づきになれていないので、

いつかお会いできるのが楽しみです♪

 

製作、お疲れ様でした~8

 

 

 

みなさまいかがお過ごしですか?

 

昨日のすごい雨から一転、今日はじりじりと太陽が照り付けています。

体調管理にお気を付けください。

 

雨と気温の上昇で、さまざまな昆虫も活発化してきました。

今年は「カメムシ注意報」が出るくらい、カメムシが多いんだとか。

 

そんなに多いかな??

果樹園とかでの話?

と思っていたら、先日、公園でこんなところを目にして、びっくり↓

クヌギカメムシ Urostylis westwoodi.

25.Ⅴ.2024. Ina-valley. Nagano. Japan.

 

場所とモノによってはたくさんいるのかもしれません(^^;

 

ハエ屋としては、この大発生の後が気になるところ(@@)

マルボシヒラタヤドリバエ Gymnosoma rotundata.

25.Ⅴ.2024. Ina-valley. Nagano. Japan.

(チャバネアオカメムシ等カメムシ類に捕食寄生するヤドリバエ)

 

ヤドリバエ類にはカメムシに捕食寄生する種が知られています。

「捕食寄生(ほしょくきせい)」というのは、寄生している宿主を食い殺すこと。

 

つまり、自然界にはカメムシを体の内側から食い殺すハエがいて、

カメムシの大発生の後にヤドリバエの大発生があるのではないか(ムフフ)、

というのが、私が楽しみにしていることなのです~8

 

 

自然界というのは、「ひとり勝ち」を許しません。

ある生物が増えれば、必ず、別の生物がそれを減らすように働く。

 

全体として均衡が保たれるようにできているんですね。

 

これを、例えばカメムシが嫌だからと殺虫剤で殺す。

殺虫剤はカメムシ以外も殺しますから、カメムシの天敵も殺してしまう。

 

結果として、多様性のない、貧弱な生態系が残るわけです。

 

ほんの一時の嫌悪、あるいは目に見える少しの害で、殺虫剤を使う。

この「安易に生き物を殺す思考」というのは、ある意味「安易に他人を攻撃する思考」と似ていて、私は大嫌いです。

 

ですが、世の中には殺虫剤が溢れ、世界では人を殺す道具がいまも誰かを傷つけています。

 

これが、賢い人(ホモ・サピエンス)の、やるべきことなのでしょうか?

 

 

私の家庭菜園では、イチゴがなりはじめました。

 

私の仕事はイチゴが草に埋もれないよう、日々、草を刈ること。

 

大切な受粉は↓

ミナミヒメヒラタアブ Sphaerophoria indiana ♀.

29.Ⅴ.2024. Ina-valley. Nagano. Japan.

 

かわいらしいハナアブにおまかせ♪

しかもこのハナアブ、幼虫は害虫のアブラムシをバクバク食とべてくれます。

 

いろんな生き物が生き生き暮らしている庭こそ、バランスの取れた自然そのもの。

 

そんな自然の中では、殺虫剤をばらまいて、

自然に対し戦争を起こす気には、私はなれません。

 

 

筆者注)近年は「総合的害虫管理 IPM」として、問題のある場合だけ限定的に殺虫剤を使用する方法が主流になりつつあります。というのも、やたらと殺虫剤を使用していると、耐性のある虫(それも害虫ほど耐性になりやすかったりする)ばかりが増えて、結果もっと強い薬を使うことになるからです(軍拡競争ですね)。どこかで折り合いをつけなきゃいけないのは、自然も人間社会も同じですね。

小学校高学年になる娘。
最近の楽しみは、毎日、家の窓からカラスの巣を観察することでした。

ヒナが生まれて1カ月ほど。
小さかったヒナが、日に日に成長し、親鳥と同じくらいの大きさに。
巣の周りで羽ばたき練習をしていたのが、フワッと飛べるようになり、これから巣の外での子育てが見られると思っていた矢先。

4羽のヒナのうち2羽が、車にひかれて死にました。

巣は交通量の多い道路のそば。
夕方の、車が多い時間帯にひかれてしまったようです。

「道路に降りたところを白い車がひいていった」

寂しそうに、娘が言いました。
交通量が少ない時間帯なら、車も減速してくれたかもしれませんが、残念な限りです。

「運が悪かった」で、片づけるのは簡単ですが、それは都合のいい大人の解釈でしかありません。
私の娘でしょうから、きっと、煮え切らない気持ちが、心の中に生まれたことでしょう。



―子供の頃から、当たり前のように、路上で死んでいる動物たちを見てきました。
通学路で、目の前でスズメが道路へ飛び出して、通りかかった車に踏みつぶされる場面を見たこともあります。

獣医になりたての頃、道路ではねられたシカを助けようとしたら、目の前で、後続車がシカを踏みつぶして行ったこともありました。


仕事の車で助手席に同乗していたら、草むらから飛び出した小鳥と車が接触。

運転していた人は「いま何かあたった?」と。―

命って、人間にとって何なんでしょうね?


カラスの両親はヒナを育てるため、何度も何度もエサを運んでいました。
ヒナたちは一生懸命に食べて、立派な翼も生えて、頑張って風をつかむ練習をしていました。

カラスの親子の1カ月にわたる努力と愛情の記憶は、一瞬にして人間が奪っていきました。

これは、世によくある不条理として、片づけられるものなのでしょうか。



そろそろ、事態の本当の怖さに、気付くべきではないしょうか?

―死をもって、生物は進化する。—
進化論の思想は、確かですが残酷です。

その本当の恐ろしさに、そろそろ人間も気づかないといけないと思います。

たとえ夕方のラッシュの時間であろうと、危険な目にあっている命に気付き、それを守る。
もっと、血の通った個人、血の通った社会に、なっていかないといけない。

そんな世の中じゃなければ、自殺も、戦争も、なくなるわけがないでしょう。

 

心を亡くした人間は、何処へ行くのでしょう?

 

「忙しい」という言葉の裏で、何か、本当に大事なものを忘れてしまっている。

人間は、そのことに気づくことができるでしょうか?