最近、地震の直前、電離層に異常が発生しているらしいとの研究が発表されました。
北海道大の日置幸介名誉教授(測地学)は、「巨大地震の数十分前に、震源上空300キロ付近の電離層で電子密度の上昇が確認されるケースがある」と主張されています。
2011年の東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)(東日本大震災)では、地震発生の約40分前に、電離層の電子の総量が10~20%増えたそうです。
また、2023年2月のトルコ・シリア地震(Mw7.6)では、発生約20分前に、2%ほどの上昇が観測されたそうです。
今年1月の能登半島地震では、京都大の梅野健教授(通信工学)のチームが独自の観測データから、電離層で前兆のような異常を確認したとしていますが、別の観測手法を用いた日置氏は、能登半島地震や4月上旬の台湾東部沖地震で明確な前兆現象を確認できなかったとしています。
どうやら、電離層の電子密度の変化は、普遍的な観測方法が確立されていないようです。
さて、どんな仕組みで、地下の現象が、上空の電離層に影響を及ぼすのでしょうか。
梅野教授は、「地震前の地殻変動による摩擦で断層が高温高圧となり、断層の粘土質内の水が気体と液体両方の特徴を備えた『超臨界状態』となることで生じる静電気が影響している可能性がある」としています。
正直なところ、かなり怪しい話です。
具体的には書かれていませんが、大きな地震のみ、電離層に影響が出るようです。
でも、それが不思議なのです。
なぜ、大きな地震の時だけ、電離層に影響が出るのでしょうか。
地震の規模は、概ね震源域の広さで決まります。
震源域は、震源から始まった岩盤の破壊の連鎖が続いた範囲です。
地震の大きさを知るためには、どこまで岩盤破壊が連鎖するのかを、予測しなければなりません。
大きな地震の直前だけ電離層に変化をもたらすのなら、地下では、どこまで岩盤破壊が進むのかを推定できる仕組みがあることになります。
梅野教授の仮説では、大地震の前だけ、超臨界状態が起きることになります。
つまり、大きな地震になるとわかった時だけ、超臨界状態が発生することになります。
ちょっと、都合が良すぎませんか?
もう少し分解して、検証してみましょう。
でも、それは、次回にします。
〈次回のリンク〉
https://ameblo.jp/imutakatumi/entry-12856534723.html