2024年3月27回、政府は、2035年以降を目標に、次世代型の国産旅客機を開発することを明らかにしました。

動力は、水素あるいは電気になる見込みだそうです。
 
 
 
 
これは、相当な覚悟を持って臨まないと、散々な結果になりそうです。
 
従来型のMRJでも、FAAの型式証明を取れなかったのです。
次世代の動力を導入するとなると、未知の部分が多く、安全性をどう証明していくのか、既存の技術さえモノにできていない日本には、かなり高いハードルになるでしょう。
 
 
この開発の主目的は、何でしょうか。
国産旅客機を実現することにあるのでしょうか?
航空機用の次世代動力の実用化にあるのでしょうか?
どちらにしても、具体性はあるのでしょうか?
 
MRJの失敗の要因の一つは、設計思想がブレたことにあると思います。
例えば、MRJの乗客定員は、当初は30〜50人でスタートしましたが、FAAの認証に臨んだ機体の定員は、88人でした。
それ以外にも、設計思想のブレを感じさせる部分が、あちこちに見られました。
 
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設計思想のブレが起きた要因の一つが、事実上の責任者不在があります。
社長が2、3年毎に入れ替わり、その誰もが責任を取らなかったのです。
責任を取らされたのは、どうにもならなくなった後に社長に就任した人物でしょう。
もっとも責任が軽い人物が、全責任を取らされたのです。
 
FAAが、MRJの失敗原因だと思っていたら、同じことが繰り返されるでしょう。
 
 
旅客機として、どんな機体を作りたいのでしょうか?
定員は?
航続距離は?
想定ユーザーは?
輸出対象国は?
 
動力は、何にするのでしょう?
電気?
水素?
バイオ燃料?
動力も、国内で開発?
 
 
機体と動力のどちらを優先するのでしゎうか?
 
私個人としては、動力を優先すべきだろうと思います。
 
電気であれば、電池の重量から、短距離機にせざるを得ません。
水素であれば、水素タンクの開発が重要です。
低温高圧を維持できるとしても、容積は大きくなります。
バイオ燃料となると、低温での流動性が問題になります。
添加物の開発では、燃焼時や漏出時の環境負荷も、検証しなければなりません。
 
どの動力を選んでも、機体の設計に大きく影響します。
先に動力に目処を立てておかないと、それぞれ同時に進めると、また設計思想がブレた機体になってしまいます。
 
 
 
 
誰が責任を取るのか、最初に明確にし、その人物の指示に全員が従う形にしないと、それぞれ勝手なことを始めてしまうかもしれません。
 
最良の胴体、最良の主翼、最良のエンジンの組み合わせは、最良の航空機なるとは限りません。最悪の航空機になるかもしれません。
例えば、A380の胴体に、グライダーの主翼と、F35のエンジンを組み合わせたら、空を飛ぶどころか、地上滑走さえ危ないでしょう。
A380は、最多客席数の胴体を待ちます。
グライダーの中には、滑空比60超えもあります。
F35のエンジンは、戦闘機用では最強です。
それぞれは、素晴らしい機能を待ちますが、飛行はおろか、地上で原型を維持できるのかさえ、怪しい組み合わせです。
 
「船頭多くして、船山に登る」
統括する人材をいなければ、現場が勝手に突っ走り、この諺のようになってしまいます。
 
 
2機目の空中分解にならないことを、願っています。