昔、社長からのトップダウンで、ある命題が出されました。
具体的には書きませんが、生産性向上活動の指示でした。
これを、部や課でドリルダウンしてきたものが、私のレベルに届いたわけですが、お話にならない代物でした。
ハッキリ言って、社長が言ったことを、単語の置き換えや並べ替えただけで、何も具体性のありませんでした。
当然、方向性が決まらないので、活動はバラバラで、空中分解状態でした。
これを受けて、ワークアウトが行われ、私もメンバーに組み込まれました。
お陰で、発言の機会がありました。
ワークアウトで、私が真っ先に指摘したのが、ドリルダウンができていないことでした。
ところが、「ドリルダウンはできている」と反論したのが、当時の課長でした。
仕方がないので、まず言葉の置き換えと並べ替えしかしていないことを説明しました。
次に、あるべきドリルダウンの例を見せ、納得させました。
この課長は、出世頭で、この後も、あれよあれよと言う間に、出世していきました。
会社は、ドリルダウンの能力には興味がなかったことが、このことからも推測できます。
ドリルダウンをキチンとできるようにするには、真っ先に、ドリルダウンできているか判断できる能力を養わなければなりません。
ですが、これは容易ではありません。
なぜなら、ドリルダウンはどうなれば良いのかを、理解できていると信じているからです。
いわば、洗脳状態なのです。
洗脳状態に陥る要因は、トップの意向を伝えることを重視するからです。
つまり、トップが言ったことを、部下に正確に伝えることを重視し、それを自分の言葉に変換しようとするためです。その作業がトップダウンだと、思い込んでいるのです。
だから、ドリルダウンが、言葉の置き換えや並べ替えになってしまうのです。
「トップの言葉を正確に伝えなければならない」との洗脳状態を解くには、ドリルダウンの例を見せて、どちらが機能するかを議論することが大切になります。
言葉を置き換えたり並べ替えても、ドリルダウンではない上、「トップの言葉を伝えたい」との気持ちさえ、言葉の置き換えによって不鮮明になるだけです。
一方、具体性を持つ正しいドリルダウンは、実際の行動・活動に置き換えることができます。
それは、ほんの少しの議論で、理解できるはずです。
これで、大概の洗脳は解けます。
実は、ドリルダウン自体は、それほど難しいことではありません。
難しくしているのは、思い込みによるものです。
思い込みを解くことができれば、第一歩は簡単に踏み出せます。
もちろん、ドリルダウンの質は、問題になってくると思いますし、世界は、そのレベルで戦っていると思うべきでしょう。
言い換えれば、日本は、スタート地点にも立てていないということです。
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