恐らく業者は県外からやって来たもので、介護の人手不足の解消と、県内の失業問題を解決する為の一挙両得を狙った、県が行う震災関係の補助金付き事業のようです。
仕事はと言いますと、どうも携帯電話にメール等で一々支持が配信され、それに従って「今日はここの町の○○という介護施設で、そこが終われば次にあの町の××という介護施設で」という風に、介護スタッフをデリバリーする仕事なようです。
ある程度の期間、この仕事に従事する事で、ヘルパーの免許(恐らく最低ランクでしょうが)を取得させてくれる、というものです。
実際、ハローワークに行けば、介護関係の仕事の求人は結構あります。とはいえ、多くの場合、必要条件の欄には「最低でもヘルパー3級」或いは「ヘルパー2級が必要」と書かれています。
中途で採用した者にまで、ヘルパーやその他の資格を取らせる余裕は無い、という事でしょう。実際、個人でヘルパー等の免許を取得しようと思うと、かなりお高い金額が必要になります。これで介護関係への就職を断念した人も多いのではないでしょうか。
しかし、震災以降、国からの補助金が盛大に出たために、それを目当てに他の都道府県から色々なベンチャー企業やらNPOなんだか、NGOなんだかが入り込んできていたのは事実で、どうも、この会社もそんな流れに乗ってやってきたものの一つのようでした。
さて、あるビルの中で集団の面接会が開かれるという事で、私はスーツを着込むと会場に向かいました。そこには老若男女、ゆうに100人は超えようかという就職希望者で溢れ返り、しかし、皆緊張した面持ちで、会場内のムンムンした熱気とは裏腹に、周囲にはピーンとした緊張感が張りつめておりました。
責任者と思わしき男性が出てきて、30~40分程一通りの説明を終えると、今度は順番に並ばせられ、受付のオネーサン達たちによる極限まで簡略化した面接(?)と名前、住所、ケータイの、メールアドレスの確認。
蛇足ですが、このオネーサン達、二十歳か二十歳をチョッピリ過ぎたくらいの非常に若い女の子ばかりでありましたが、皆が皆、結構な美人さんでありました。
私を担当した女の子は目鼻立ちが整っているだけでなく、肌の色が透けるように白く、手で触れればさぞかしスベスベ、モチモチしたお肌で心地よかろうな、などと思わせる方で(スケベなヲッサンでゴメンナサイ! 笑)、正直、オジサン受けは良いだろうな、と思わせるタイプ。
若い内だけとはいえ、美人というものはやはり得なものです。おっと、こういう事を書くと、冗談の通じない石頭な向きから「この就職に厳しい時代に必死で仕事を見つけ、働いている若者を侮辱するか!」などとクレームが飛んでくるかもしれませんので、この位にしておきましょうか。(笑)
さて、メールのアドレスを聞かれた際、私はその女性にこのように質問したのです。
「本当にメールアドレスは携帯のものだけで大丈夫なのですか?何故なら、震災が起こってからまだ日も浅く、通信インフラの修復は万全では無いでしょう」
「沿岸部には復興関係者が大量に入り込み、通信インフラのキャパシティーは未だ不安定な地域もあると思われますが」
「勿論、メールだけに限って言えば、情報量はたかが知れていますから、通信の不調という事は滅多に無いとは思われますが、万が一という事もあります。そのバックアップはどうなっているのでしょうか?」
「また、岩手県は四国四県ほどの広さがあり、内陸部の人間が沿岸部に赴く際は、同じ県とはいえ、殆ど地理を知らない他県へ行くような感覚になります。その際、いきなり知らない介護施設にデリバリーの支持を受け、スムーズに到着できなかったときはどうするのか」
受付のオネーサンは少々驚いた風で、
「ば、ば、バックアップですか?はい、そこは心配ありません……」
「もし、ケータイだけで心配ならば、アドレスはPCのものも登録していただいて大丈夫です……」
……チョット悪い事をしたかな、あのオネーサン気を悪くしていなければ良いけど。な~んて思いながら私は会場を後にしました。
そして数日後、郵送で非常に丁寧な文面の『不採用通知』を頂きました。これを見た際、「あれ?合格か否かはメールで知らせるって話をしていなかった?」と思った訳ですが、まあ、メンドクサイ奴だから、後からクレームが来ない様にしておこう、と考えたのかもしれません。
うわはははは!本当にご迷惑をおかけしました。心よりお詫び申し上げます。(笑)


