ホルモン補充療法のリスクは、1980年代から研究されています。
アメリカでは、Women’s Health Initiative (WHI) という臨床研究が、1993年からはじまりました。
16608人の女性が参加しました。
しかし、ホルモン補充療法(EPT: エストロゲン+プロゲステロン併用療法)を行った女性の乳がん発症が予想を上回ったため2002年に中止されました。
2002年と2010年に発表された結果は、つぎのようになりました。
5年未満の治療では、差がありませんでした。
5年以上治療すると、
浸潤性乳管癌(乳がん)のリスクは、1.25倍高い
リンパ節転移は、1.78倍多い
乳がん死亡率は、1.57倍多い
以上の結果でした。
2002年のWHIの報告の結果、米国ではEPTの使用が50%減少しました。
その結果、
EPT使用者は、430万人減少
乳がん患者は、12万6千人減少
心血管疾患は、7万6千人減少
骨折は、26万3千人増加
大腸がんは、1万5千人増加
Joshua A. Rothら Economic Return From the Women's Health Initiative Estrogen Plus Progestin Clinical Trial: A Modeling Study. Ann Intern Med. 2014;160(9):594-602.
日本での研究はありません。
ホルモン補充療法については、利点とリスクを考えることが必要ですね。