がん細胞が転移する要因 | 乳がん検診・板橋区・女性医師・マンモグラフィ・超音波・女性専用・針生検・乳房CT検査

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Dr.ちずこの診療日記
ims東京腎泌尿器センター大和病院レディースセンター乳腺科

がん細胞には、転移しやすい細胞と転移しにくい細胞があります。

その区別は、どのようにつけることができるでしょうか。

Héctor Peinadoらの研究で次のようなことが分かりました。

Melanoma exosomes educate bone marrow progenitor cellstoward a pro-metastatic phenotype through MET Peinado et al  Nat Med. 2012 June ; 18(6): 883–891. doi:10.1038/nm.2753.

メラノーマの転移しやすい細胞(B16-F10, SK-Mel28, SK-Mel202)は、エクソソームのタンパク含有量が多く、

転移しにくい細胞(B16-F1)は、少ないことがわかりました。

その差は、2から20倍でした。

エクソソームの分布を調べました。

転移しやすい細胞のB16-F10をマウスの静脈内に注射しました。

24時間後に、肺、骨髄、肝、脾臓に集積しているのが確認されました。

この時点では、血液中には認められませんでした。

肺では、転移巣を形成する前段階のニッチの形成を認めました。

がん細胞のエクソソームが、肺の血管の透過性を変化させて、血管周囲に侵入することを可能にしているようです。

メラノーマの転移しやすい細胞(B16-F10)と、転移しにくい細胞(B16-F1)のエクソソームを比較するために、それぞれを同じ量、週3回、28日間、マウスの静脈内に注射しました。

マウスは、B16-F10細胞を皮下に移植されています。

移植された腫瘍の大きさは、同じくらいでした。

しかし、肺転移は、転移しやすい細胞(B16-F10)のエクソソームを注射されたほうが240倍も増殖していることが確認されました。

しかも、脳や骨の転移も増殖していました。

この傾向は、転移しにくい細胞(B16-F1)のエクソソームを注射したマウスには見られませんでした。


この結果、転移するかどうかは、エクソソームの性質によると考えられるとしています。