血液をとって、がんのエクソソームを調べることで、予後が予測できるようです。
エクソソームという微小粒子に必要な遺伝子情報を詰め込んで、細胞と細胞の間で情報を受け渡していることが分かってきました。
エクソソームは、正常の細胞も、がん細胞も放出しています。
メラノーマという悪性腫瘍のエクソソームの役割を、ニューヨークのHéctor Peinado(Weill Cornell Medical College)が解析し、2012年に発表しました。
Melanoma exosomes educate bone marrow progenitor cellstoward a pro-metastatic phenotype through MET
Peinado et al Nat Med. 2012 June ; 18(6): 883–891. doi:10.1038/nm.2753.
まず、メラノーマの患者の血液の中に、がん細胞から放出されたエクソソームが認められるようです。
大きさは、約0.0001mmです。
メラノーマの患者さんについて、次のような結果が認められました。
血液中のメラノーマのエクソソームの濃度は、転移している(病期Ⅳ)患者の方が、その他の病期の患者より高いことが分かりました。
また、病期Ⅳの患者さんを、次の2つにわけて、42か月間追跡調査して、生存期間を調べました。
①50μg/1mlより多いグループ
②50μg/1mlより少ないグループ
グループ①は、約11か月ですべての患者さんが死亡しました。
グループ②は、9か月の時点で60%の患者が生存し、その後、42か月まで死亡は認められませんでした。
血液中のメラノーマのエクソソームの濃度の違いで、予後が違うことが分かりました。
メラノーマのエクソソーム濃度は、転移のある病期Ⅳの患者の方か高い。
病期Ⅳの患者のなかでも、メラノーマのエクソソーム濃度が高いと死亡率が高い。
以上、2点が分かったようです。
このことから、メラノーマのエクソソーム血中濃度を調べることで、予後の予測ができるとしています。