乳がんの肺転移をうながすCoco | 乳がん検診・板橋区・女性医師・マンモグラフィ・超音波・女性専用・針生検・乳房CT検査

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Dr.ちずこの診療日記
ims東京腎泌尿器センター大和病院レディースセンター乳腺科

乳がんの肺転移のメカニズムが分かってきました。

今回は、Cocoという因子です。

乳がんは、幹細胞になって、肺・脳・肝・骨髄などの微小血管のニッチで休眠状態(ドーマンシー)となります。

休眠中のがん幹細胞は、血管新生がおこる刺激で増殖し転移病巣を作ります。

BMP (骨形成タンパク質)は、腫瘍血管新生を阻害する働きがあります。

したがって、BMPが働くと、がん幹細胞が刺激されないため、がんが大きくならない効果があります。

ヒト乳がん細胞から、肺由来のBMPを阻害するCocoというものが、見つかりました。

BMP/Coco antagonism as a deterministic factor of metastasis dormancy in lung
Jarrod Martinez1 and Xiang H-F Zhang. Breast Cancer Research 2013, 15:302

彼らは、BMPとCocoの関連を調べました。

上記の研究をまとめると、

肺由来のBMPは、がん幹細胞が肺内で増殖するのを抑えています。

CocoがBMPの働きをブロックすることで、ドーマンシーが再活性化します。

Cocoをがん細胞に過剰発現すると肺転移が増加し、Cocoの発現を低下させると肺転移が抑制されました。

これにより、Cocoと肺転移との関係が示されましたとしています。

さらに、細胞内で発現している遺伝子情報を網羅的に検出する方法を使って、Cocoの遺伝子発現パターンを解析することで、ヒト乳がんの肺転移の予測が可能となるとしています。

ドーマンシーと転移のメカニズムがつぎつぎと解明していますね。

スゴイ!!