2014年7月の、国立がん研究センターからの発表です。
分子細胞治療研究分野の小野麻紀子研究員らが研究しました。
Exosomes from bone marrow mesenchymal stem cells contain a microRNA that promotes dormancy in metastatic breast cancer cells
Makiko Ono, Nobuyoshi Kosaka, Naoomi Tominaga, Yusuke Yoshioka, Fumitaka Takeshita, Ryou-u Takahashi, Masayuki Yoshida, Hitoshi Tsuda, Kenji Tamura, and Takahiro Ochiya (1 July 2014)
Sci. Signal. 7 (332), ra63. [DOI: 10.1126/scisignal.2005231]
乳がん細胞は、発生すると骨髄に移動し、幹細胞になるそうです。
その乳がんの幹細胞は、休眠状態で骨髄に潜んでいるようです。
乳がん細胞は、増殖するので抗がん剤などの治療効果があります。
しかし、幹細胞になると、増殖しなくなり治療に耐性が生じます。
薬が効かなくなります。
小野麻紀子研究員らは、乳がん細胞が幹細胞になるメカニズムを解明しました。
それによりますと、
骨髄中に存在する間葉系幹細胞が分泌する『直径100nmの顆粒(エクソソーム)』というものがあります。
エクソソームのなかには、マイクロRNAという遺伝子情報が含まれています。
休眠、幹細胞化に関与する遺伝子情報です。
そのマイクロRNAが、乳がん細胞へ受け渡されます。
そして、乳がん細胞の遺伝子発現を変化させることで、休眠状態を誘導するようです。
幹細胞中に、休眠状態を誘導するマイクロRNA量が、増加傾向にあることも証明しました。
すなわち、そのエクソソームによって、一部の乳がん細胞が幹細胞様の性質を獲得し、休眠状態になり、潜伏するということです。
そして、周囲の細胞からのエクソソームを利用して休眠状態を維持している可能性あるということです。
このメカニズムの解明は、治療方法の開発に役立つということです。
素晴らしい成果は、日本からも生まれています。
ヒポクラテスの木です。