センチネルリンパ節生検と腋窩廓清術(えきかかくせいじゅつ)という2つの方法があります。
リンパ節転移とは、乳房内のがん細胞が、リンパ管に入り込んで脇の下に流れ込みリンパ節内に病巣をつくることです。
リンパ節転移は、その病巣が2㎜以上の大きさをもつと転移と診断されます。
手術前に転移の有無を診断することは、画像診断では難しい場合があります。
現在は、手術中にセンチネルリンパ節という、一番先にリンパやがん細胞が流れ込むリンパ節を取り出して、顕微鏡で病理診断を行います。
これを、センチネルリンパ節生検といいます。
もし、センチネルリンパ節に転移があれば、脇の下の脂肪を血管や神経の周囲からはがして取り除く手術を行います。
脂肪の中にリンパ節が含まれています。
この手術が、腋窩廓清術です。
腋窩廓清術は、手術後の合併症が大きく、患者さんの生活の質をおとす要因となっています。
腕の感覚が鈍くなる、挙がりにくくなる、リンパ浮腫などです。
センチネルリンパ節に転移がなければ、腋窩廓清術は省略されます。
2014年の3月に、米国臨床腫瘍学会(ASCO)のガイドラインに変更がありました。
大きな変更点は、次のようになったことです。
センチネルリンパ節に転移があった場合でも、転移リンパ節の数が1個か2個で、乳房温存手術が行われ、術後に乳房と腋窩に放射線治療が行われる場合は、腋窩廓清術を省略するという方針になりました。
乳房切除(乳房をすべて切除)して、放射線治療を行わない場合は、腋窩廓清術を薦めています。
リンパ節転移が1~2個の場合、放射線治療や術後の補助薬物療法を行うと、腋窩廓清術を行った場合と省略した場合で予後が変わらなかったことが根拠となっています。
また、その結果、腋窩廓清術後の合併症が減少しました。
手術は、より合併症を少なくする方向へむかっています。