乳がんの治療法は、大規模臨床試験の結果によって、より有効な治療が選択されます。
臨床試験の結果は、国際学会で発表されます。
今回は、米国腫瘍学会(ASCO)において、乳がんの内分泌治療に関して、新しいガイドラインが発表されました。
今までは、再発のないホルモン受容体陽性乳がんの術後ホルモン治療は、5年間の内服療法でした。
変更点は、以下のようになっています。
閉経前あるいは閉経期の女性:
次の①を行った後に②あるいは③の治療が推奨される
①タモキシフェンを5年間内服
②その後、閉経前ならタモキシフェンをさらに5年内服
③閉経している場合は、アロマターゼ阻害薬に変更して5年内服
閉経後の女性:
次の①あるいは②あるいは③あるいは④の治療が推奨される
①タモキシフェンを10年内服
②アロマターゼ阻害薬を5年内服
③タモキシフェンを5年内服後、アロマターゼ阻害薬を5年内服
④タモキシフェンを2から3年内服後、アロマターゼ阻害薬を5年内服
閉経後の女性で、ホルモン療法を中断してしまった場合:
次の①あるいは②の治療が推奨される
①アロマターゼ阻害薬内服が5年未満だった場合は、タモキシフェンに変更して全体で5年内服
②タモキシフェンを2から3年内服していた場合は、その後、最長5年間アロマターゼ阻害薬を内服
このガイドラインは、あくまでも米国腫瘍学会の指針です。
日本の乳がん治療がすぐに変更されることではありません。
しかし、変化していく可能性は大きいと考えます。
タモキシフェンを10年内服することで、合併症の発生が増加しなかったということです。
ただし、10年内服することのリスクに関しては、今後の検討が必要のようです。