これは、腫瘍を特別な方法で染色して、顕微鏡で診断することでわかります。
ホルモンとは、女性ホルモンのエストロゲン(プロゲステロン)です。
女性は、閉経前は女性ホルモンが高い状態にあります。
閉経前は、体内のエストロゲンが腫瘍を刺激して増殖させます。
閉経すると体内のエストロゲンは、下がってきます。
ところが、腫瘍が出すアロマターゼという酵素が、アンドロゲンをエストロゲンに変えます。
そして、腫瘍を刺激します。
治療薬は、つぎのようになります。
閉経前は、タモキシフェンというエストロゲン類似物質がエストロゲンの刺激を弱めて効果があります。
閉経後は、アロマターゼを働かないようにブロックしてエストロゲンを下げます。
アロマターゼ阻害薬です。
閉経後の乳がんには、アロマターゼ阻害薬は、タモキシフェンより効果があります。
閉経前の女性にアロマターゼ阻害薬を投与すると、エストロゲンが下がろうとします。
その信号を脳下垂体がキャッチして卵巣を刺激するホルモン(LH-RH)をだして、卵巣にもっとエストロゲンを出すように刺激します。
その結果、かえってエストロゲンが分泌される状態になります。
したがって、閉経前の女性には、アロマターゼ阻害は効果がありません。
ところが、閉経前のホルモン状態を変えることが可能になってきました。
卵巣を刺激するホルモン(LH-RH)を抑制する薬があります。
あるいは、卵巣を摘出するか、放射線をあてて卵巣の働きを弱める方法があります。
そのようにして、卵巣からエストロゲンが分泌されないと、閉経前の女性を人工的に閉経状態にすることができます。
2014年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)において、閉経前の女性に、上のような方法で卵巣を抑制してアロマターゼ阻害(エキセメスタン)を投与すると、タモキシフェンより効果があるという結果が出されました。
すぐに、日本の診療に反映されるかはわかりませんが、今後の治療方法が変わる可能性があります。