乳がん検診の有効性についての評価は、
『乳癌発見率が上昇する』
『乳がん死亡率が減少する』
という統計的な結果が必要になります。
マンモグラフィ検診については、視触診に加えることによって、早期乳がんの発見率が高くなることが、たくさんの研究でわかりました。
その結果、現在の乳がん検診はマンモグラフィ検診が主体になっています。
乳房超音波検査については、
『触診とマンモグラフィに超音波検査を加えると、乳がん発見率が17%も上がった』
という研究報告(Kolb 1998年)があります。
あるいは、
『マンモグラフィで検出できなかった病変のうち10%が超音波検査で検出された』
と研究報告もあります。
触診とマンモグラフィに超音波検査を加えることは、がん発見率を上昇させるようです。
ところが、超音波検査だけの乳がん検診については、研究報告が少ないのです。
したがって、超音波検査だけの乳がん検診の有用性については、現在のところ客観的な評価ができないのです。
また、超音波検査では発見の難しい乳がんもあります。
たとえば、マンモグラフィで石灰化を示す非触知乳がんを超音波検査だけで見つけることは困難です。
さらに、超音波検査は、検査を行う医師や技師の技術の差によって信頼性が変わります。
だれがやっても同じ結果が得られるとはかぎらない検査です。
乳がん以外の良性の病変を見つける率も上昇します。
そのことを理解して乳がん検診を受ける必要があります。