豊胸術のために乳房にヒアルロン酸を注入した場合を考えてみます。
まず、注入の方法です。
これは、注入を行う医師の技術の違いによって色々です。
例えば、注入する場所、それが一か所か複数ヶ所か、注入する量など様々です。
また、使われるヒアルロン酸も、色々な種類があります。
純度の高いヒアルロン酸
ヒアルロン酸に不純物の混じったもの
純粋なヒアルロン酸に効果を持続させる薬品を加えたもの
これらを注入すると、純粋なヒアルロン酸以外の副作用があります。
その結果、下記のようなトラブルが発生することがあります。
乳房内にしこりができる
注入されたヒアルロン酸のまわりに、カプセル被膜が作られる
注入に伴って、感染や出血などが起こる
その後に、炎症がおこり乳房が硬くなる
被膜などに石灰化をおこす
などです。
それでは、乳がん検診では、どのように対応する必要があるでしょうか?
まず、豊胸手術がいつ、どの方法で行われたのかをきちんと記録することです。
できれば、乳房の絵に注入場所を書いてもらうと良いでしょう。
使用した薬品名も記録が必要です。
外見上は問題ないと考えられる場合でも、通常の乳房とは違います。
自分の体について、正しい情報を持っていることは、とても大切なことです。
また、検診を受けるときは、必ず豊胸術を受けていることを伝えてください。
ヒアルロン酸注入後の乳房の検査について説明します。
まず、マンモグラフィ検査です。
マンモグラフィは乳房全体を圧迫して撮影します。
被膜を作り、バッグ状になっているヒアルロン酸注入部位には、マンモグラフィによる圧迫を行わない方が良いでしょう。
上記以外でも、マンモグラフィによる圧迫で、せっかく注入したヒアルロン酸をつぶして周囲にまき散らしてしまいますので、行わない方が良いでしょう。
触診でも腫瘤を検出できない可能性が大きいです。
(正常な乳腺であっても、触診だけの乳がん検診はお勧めできまません。)
乳房超音波検査はどうでしょうか。
超音波検査で、本来の乳腺が十分に観察できるかどうかは、その方の乳房と豊胸術の状態で違います。
また、豊胸術後の乳房超音波検査に対して知識のない技師の方が診断することは難しいと考えます。
知識のあるクリニックで診察をうけて相談されることをお勧めします。