渓谷を上り始めるとうっすらと色付く紅葉が見えてきた。
真青な空に映える木々を見あげ一息つく。
座り心地の良さそうな流木を見つけて腰を下ろし、
私は悠々たる時の流れを全身で感じている。
自然との一体感である。
何気に辺りを見渡すと何やら光るものが目に入った。
背の丈ほどの岩陰から金色に光り輝いている。
流木から腰を上げ近づいてみる・・
何と、太陽に反射する天然なめこであった。
見た事のない大きさにしばし観賞することにした。
風情を楽しむ遠出であったが、土産まで出来てしまったようだ。
今日は「なめこ鍋」である。
豆腐、長ネギ、豚バラ、そして天然なめこ、材料はこれだけである。
あえて、他の野菜は入れない。
それは「なめこ」の食感や風味を強調させる為である。
切り分けた「なめこ」はぬめりが取れない様に丁寧に水洗いをする。
これが最も重要なのだ。
豚バラはやや大きめが良い。
長ネギは3センチほどのぶつ切りにする。
豆腐は絹ごしを使用するのが「なめこ」への気遣いである。
食材を鍋に入れ白だしを張る。
準備がととのい卓上焜炉に乗せる。
他の料理も忘れてはいけない。
「なめこ卵焼き」
味を付けずに焼く。
焼くときにかき混ぜない。
表面が固まってきたら半分に折り曲げる。
皿に盛り付けてから醤油を掛けたら出来あがりである。
タマゴに「なめこ」を入れて焼くだけのこの料理、侮れない美味さである。
「松前なめこ」
「なめこ」を手で裂きさっと茹でる。
細「なめこ」を冷まし、松前漬けと和えて完成。
鍋が出来るまでビールを飲むとしよう。
冷えたビールが美味い。
コタツのお陰である。
グツグツ・・鍋の音が出来あがりを告げる。
土鍋の蓋を開けると香ばしい湯気が立ち上った。
紅葉おろしとポン酢で頂こう。
あまりの美味さに言葉を失う。
日本酒がまた美味し・・
― やすらぎ求めて、路を行き、瀬に座りてここかと思う ー
秋の風情も食にあり・・龍
