鯛のあら煮 | 版画家・君島龍輝 オフィシャルブログ☆たっちゃんの今日は何食べる?☆

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私が各地で出会った美味しくて不思議な一品をご紹介。さーて今日は何を食べようかな。

            鯛のあら煮

版画家・君島龍輝 オフィシャルブログ☆たっちゃんの今日は何食べる?☆-鯛あら煮


私は近所のスーパーを見て歩くのが趣味である。


勿論、見るだけではない。買い物をするのだ。


特に鮮魚売り場に興味がそそる。


盛り付けした容の良い刺身には興味が薄れるのだ。


私は職業柄、仕上がった物に執着が無い。


しかし、素材や手間の掛かる物に心が動く。


「鯛のあら」など最高の産物である。


先ず、鱗剥ぎであるが、中々手ごわい、しかし煮ると落ちてくるので、手は抜けない。


そして頭割りだ。前歯の中心に包丁を入れ軟骨を感触のみで切り分けるが、難しい。


昆布を敷き、味醂、醤油で味を付けて煮る。


後は日本酒片手にひたすら頂く。


美味しである。



先日テレビの撮影が有った。版画の制作風景に加えて、食卓を撮りたいと言う。

私は「趣味は料理です」と言ってしまった手前、腕を揮うこととなる。


私はテレビ撮影だからと言って、特別な物を出そうとは思わない。

スーパーで大根と鰤のカマを買ってきた。


女性の声で「それではお願いしまーす」とキューがはいる。

彼女は若く優秀なディレクターである。

何度か取材に応じてきたが、話の理解度が良く、礼儀正しい。

さすがテレビ局と感心させる。


音声のマイクが入り、カメラがまわる。

私は徐に冷蔵庫から大根を取り出し皮をむく。

皮は2cm角に切、酢醤油に漬け込む。

ハリ張り漬けである。


大根の輪切りを鍋に入れ、醤油、味醂で煮汁を作る。

ここまで自分では手際よく出来ていると思った。


問題はここからであった。

カマを入れようとしたら、鍋に入らない。

三度やったが入らない。

いつもより見栄を張って大きめのカマを選んでしまったようだ。


深さを優先してしまい、体積は有るが表面積が無い。

いまさら鍋を替えるわけにいかない。


ディレクターの顔を見た。

目と目があった。

真剣である。


撮影を止めるわけにもいかず、カマを包丁で切ることにした。

「ふ、ふ、ふーん」とはな唄をうたい。

包丁を入れてみた・・・切れない。


悔しいが、とても素人では太刀打ちできない。

私は裏技を披露した。

技の名前は「ミスリード!」最強である。


「え!」という顔をしてディレクターのやや左後方をみた。


「おや?」という顔をして、ディレクターが振り返った。


「何?」という顔をして、音声が振り返る。


「?」無言でカメラマンが、後方を向いた時、チャンス!

私の手は魔法か神技としか例えようがない奇跡を起こした。


素早く切れない鰤カマ達を鍋の中に満員電車のごとく、

縦に上手に入れてしまったのだ。


首をかしげて私を見直すスタッフ。

全員が私の手元を見ていないうちに料理は進んでしまったのだ。

「わ、は、は、は・・・」心の声が聞こえた。


「さてと、後は火を入れるだけです」と、私。

その時、衝撃が走った。


スタッフ全員が後ろを向いていたのに、カメラは固定されていた。


青ざめる私と不思議がるスタッフ。

何とも言えない異様な空気がしばらく続いた。


しかし後日の放映は素晴らしい番組だった。

知人友人から、すごいねーと絶賛された。


スタッフの皆さんありがとうございました。


KIMIJIMA




PS: 料理場面はカットされていた。すみません・・・龍