

こんにちは!
皆様いかがお過ごしでしょうか?
最近、会社の近くでランチを食べた時の話です。
その日は穏やかな日差しで暖かかったこともあり
会社の近くの、お魚系のメニューが充実していて、
美味しいとの評判の定食屋さんに歩いて行った時の話です。
そのお店は僕も来店するのが初めてだったのですが、
築年数も経ったテナントに入ったそのお店は
外観はけっしてそこまでキレイというわけではなかったのですが、
一歩足を店内に踏み入れると、
そこにはよく手入れの行き届いたカウンター、
そしてピカピカに磨かれたステンレスの厨房器具達が
並んでいて、そのことはお店の仕事への誠意ある姿勢を
物語っていました。
もう時間は午後1時30分過ぎだったので、
店内にはお客さんも僕含め5人ぐらいでしょうか、
そんなに広いとは言えない店内にカウンターは
厨房を囲むようにコの字型に配置されています。
そこに奥の方から会社の上司の男性と部下の女子社員という
組み合わせで3名、その横に外国人の白人サラリーマン男性、
そしてその横に僕という順番で並んでいました。
一番奥に座る男性上司と女子社員という組み合わせの
お客さん達はすでに、食事を食べ終わろうかとしていました、
そして、外国人サラリーマンの方は壁に貼ってあるメニューを見ていて、
何にしようかなと選んでいました。
そのお店はお昼はお魚が売りなので上から焼魚、
刺身系の定食が何種類か並んでいます。
外国人サラリーマンは少し悩んだ上で
「銀鮭定食、納豆付きでお願いします。」と
流暢な日本語で注文しました。
僕の職場の界隈には外資系の企業も
たくさんあるので、職場の周辺に外国人の方がいることは
よく目にする光景なのですが、
その方の流暢な日本語は完璧な発音で
少し目を見張るものがありました。
そして焼魚定食に納豆をプラスするあたりは
けっこうな日本食好きだなと、横目で関心しつつ、
僕は事前に食べログにてチェックして
評価が高かったカキフライ定食を注文しました。
先に注文した外国人サラリーマンの方に
銀鮭定食が出て来ました。
少し大ぶりの鮭の塩焼きとご飯とお味噌汁と
小鉢が一品、そこにオプションで納豆という内容です。
外国人サラリーマンはまず納豆にお醤油をたらし、
よくかき混ぜ、程よい頃合いになったころでご飯に納豆をのせ
その上に塩ゴマのフリカケをかけ銀鮭の塩焼きをおかずに
美味しそうに定食を食していきました。
僕の方の牡蠣定食も少し遅れて出て来ました、
出てきたカキフライは大粒のカキにしっかり衣がついた
5つがキャベツの千切りサラダとともに
レイアウトされてきました。
ソースをカキフライにかけ一口くちにしたところで
前評判通りの美味しさを噛み締めました、
丁寧に揚げられた衣のサクサクっとした食感を楽しむと
カキの大粒の身が濃厚な味わいでジュワーッとしみ出てきます。
カキフライで正解だったなと、味わっていると
隣の外国人サラリーマンが一足先に銀鮭定食を食べ終わり、
僕のレタスの千切りサラダを気にしている様子が
わかりました。
ここからが、今回の記事のハイライトなのですが、
その外国人サラリーマンは「メニューにないのですが、
レタスの千切りキャベツを追加注文出来ますか」
とまた流暢な日本語でお店の奥さんに聞いていました。
それを聞いた奥さんは笑顔で「大丈夫ですよ」と
キャベツを取り出すと千切りサラダを包丁でサクサクと刻んで
外国人サラリーマンに差し出しました。
そして、キャベツの千切りサラダにドレッシングを
かけて満足そうに食していきます。
食べ終わると、外国人サラリーマンは「おあいそうお願いします」
と奥さんにいい、お会計をすませようとします。
すると、奥さんは800円になりますと、銀鮭定食と納豆の
お代のみをもらおうとしました、
外国人サラリーマンはサラダのお金が入ってないことに
気づき「サラダのお金もとってください」と奥さんに言いました。
すると、奥さんは「サラダはサービスでいいですよ」と笑顔で
返しました。外国人サラリーマンは「お代をとってもらわないと
次回から来にくくなるのでお金をもらってください」と
古き良き時代の日本人のような発言をしました。
結局、奥さんはお代を受け取らずに、外国人サラリーマンは
「ありがとうございます、また来ます」という挨拶とともに
お店を出て行きました。
僕はこのやり取りをカウンターで聞いていたのですが、
この奥さんの笑顔とともに「サラダはサービスでいいですよ」という
返しにさすがに何十年も商売をやってきただけあって
客商売を心得ているなという感想とともに感心しました。
あそこでお代をもらっていたら外国人サラリーマンには
焼魚がおいしい定食屋さん以上の印象は残せなかったでしょう。
サラダをサービスにしてあげたことで、外国人サラリーマンは
確実にそのお店のファンとなりリピートする顧客へとなったことでしょう。
それをわかって確信犯的にそのやり取りをしている、
奥さんの発言に僕はハッとさせられました。
「損して得取れ」とはまさにこのことだなと。
また、一連のやり取りを見ていた僕も奥さんの温かい心づかいに
このお店のファンとなってしまっている自分に気づきました。
僕もまたこのお店にリピートすることでしょう。
商売とは奥深いものだなと思うと同時に、
小津安二郎の映画のワンシーンに出てきそうな
今は忘れられつつある、日本人がもっている
相手のことを気づかう奥ゆかしい発言の数々が
海外からきたこの外国人サラリーマンによって
もたらされたことに胸を打たれる部分もあり、
僕はよいランチの時間を過ごしたなと
おいしいカキフライ定食以上のものを得てこのお店を後にし、
春の穏やかな日差しの中、午後の業務に戻りました。











