タカシくんは……。

と、ちがいまんねん。きょうはメルヘンやのうて、煙草のハナシでんねや。

先月に発売になりました、プエブロのことなんですけどね。

じつは、かなり美味しいんやないかと思うとうです。

たしかにね、濃厚さでは、『スモーキンジョー・フルフレーバー』に、一歩及ばんし、酋長っぷりでは、『ナチュロー・アメスピ』<に一歩及びまへん。

ただ、両者を足して、バーレーのキックとイガイガを強めた(このせいで、微妙におげしんな味になっとるです)感じですかナア。

ただね、バーレーにはええイガイガと、わるいイガイガがありまして、プエブロは前者のほうなんです。

ただし、このテキがワタイをゴツーンと蹴っ飛ばしくさったのは、バーレーやないのです。

この煙草、異様に甘いんですわ。

せやよってね、ワタイは、きっと、なんぞ香料を使うてるやろと思うてましたのや。

ところがあんた、『無香料』て書いてあるやおまへんか。

これほどの甘みを感じるのは、ヴァージニア系では皆無で、暗黒系よりおまへん。

暗黒系の甘さちゅうのは、ひとことでゆいますと、アンコの甘さなんですけど、まあそれにしってきするんですわ。

ワタイは、こういう、ほかの銘柄にはない、とんがったとこのある煙草、大好きなんです。

イガイガにしろ、甘みにしろね。

という次第でごんざりまして、四百十円というお値打ち価格ちゅうこともあって(十九本しか入ってないけどね。まあ、シガレットの場合、一本ぐらい誤差の範囲でっけど)、最近では、ほぼ常喫銘柄となっとります。

ついでにな、こんなんも買うてみました。

実装者流-プエブロシャグ

『プエブロ・無添加シャグ』

三十グラム入り、六百五十円。

感想は、また別途ちゅうことで、おたのきもうしまっせ。


まずさいしょに、カミングアウトしておきましょう。

ほかでもない、ここ数日のメルヘンシリーズについてです。

なぜ、このように、つまらないおはなしばかりかいているのでしょう。

それは、煙草に関するネタが、ちょっともないからです。

ここしばらく、日誌につけるような、あたらしいめいがらを購入することがないので、ネタに困っているんですねえ。

さて。

タカシくんは、さいきん、にちじょうてきに、メルヘンたらんとこころがけています。

せいかつで、であうものにたいして、ちくいちごあいさつをするのも、そのひとつです。

「やあ。でんちゅうさんに、ケーブルさん。いつも電力供給ありがとう。」

「こんにちは、ポストさん。おやおや。おなかいっぱいでくるしそうですね。え。もれそう? 集荷のひとに、おしものおせわをしてもらうといいよ。」

「ねこくんたち。あんまり、よなかに盛って、ギャアスカよびあわないでくれよ。こちとら、すっかりご無沙汰なんだからさあ。にくいねどうも。」

「おや。せいたかあわだちそうくん。あいかわらず、みごとな雑草っぷりだねえ。」

ばんじ、こんなかんじです。

いえのなかでもそうですよ。

「あ。ゴキブリくん。きみはどうしていつも、そうテラテラしてるんだい?」

「おや。ヤスデくん。どうでもいいけど、臭いんだよきみは。」

「わっ。ゲジゲジくんだ。あいかわらず、夢にでてきそうな、恐ろしいすがただねえ。」

「キャー。ちょっとあんた! のんきに挨拶しとらんと、はよつかまえて、どっか捨ててきてえな!」


タカシくんは、ぬまのほとりを スキップしながらとおっていました。

いいとしをして、スキップなんかしないだろうと、いいたいのでしょう。

メルヘンのせかいは、たのしいだけでなく、さまざまな制約事項があるんです。

たとえば、いどうじには、よほど気持ちがしずんでいないかぎり、スキップがデフォルトです。

気持ちがしずんでいるときは、くびをうなだれて、かたをおとして、さもトボトボと、あるかなくてはなりません。

女の人のはだかをそうぞうして、ニタニタ笑うなんて、もってのほかですよ。

ミニスカートから、にょきっとのびる、むっちりしたふとももや、えりもとがおおきくあいたカットソーからこぼれる、ふくよかなおちちの隆起を窃視して、「うーむ。目のしょうがっちゃ♪」とよろこんでもいけないんですねえ。

53さいのおやっさんにとっては、なかなか暮らしにくいせかいです。

タカシくんは、パイプをくわえていました。

ボウルのなかには、さいきんのおきにいり、『アップル・パイプタバコ』。アメリカ製。50グラム入り1,250円がつめてあります。

パイプをくわえてスキップするのは、かなりテクニックがいりますが、なあに、ここはメルヘンのせかいなので、どうとでもなるんです。

あるきタバコはだめじゃないか。といいたいのではないですか。

タカシくんが、いましているのは、あるきタバコではなく、あるきパイプなんです。

あるきタバコがなぜわるいのか。

それは、あっちゃこっちゃ、灰ざらのないところへ、ポイッとすいがらをほかすからです。

そんなことをするから、まちの美観がそこなわれてしまいます。

ようするに、きんしされているのは、あるきながら、フィルターつきシガレットをすう行為なんです。

ところが、パイプならどうでしょう。

あれは、灰ざらのなかで、タバコをもやしているようなものですよ。

よしんば、みちばたに灰をすてたところで、ちゃんと自然に還るんですからね。

どうです?

と、詭弁を弄しているばあいではありませんでした。

ぜんぜん、おはなしがまえにすすみません。

「あっ」

タカシくんは、こころない人がすてた、すいがらにけつまづいて、おおきくバランスをくずしてしまいました。

すいがらにけつまづいたぐらいで、そんなことにはならないだろうとおもうでしょう。

タカシくんの、足腰のよわりぐあいをあまくみてはいけません。

おおきくバランスをくずしたひょうしに、くわえていたパイプをぬまにおとしてしまいました。

ぽっちゃーん。ジュッ(火がきえたおと。このあたり、げいがこまかいですね)。

「ひゃぁー」

タカシくんは、とほうにくれてしまいました。なにしろ、かえのパイプがないんです。

きのきいたパイプスモーカーなら、これはイングリッシュミクスチャよう、これは着香ようと、おきにいりのパイプをにほん、さんぼんともっているものですが、せちべんなタカシくんは、たったいっぽんですべてをまかなっていたのでした。

タカシくんが、とほうにくれて、ぬまのほとりにへたりこんでいると、ぬまのひょうめんにうずができ、そのうずのちゅうしんから、からだがすきとおった、かみのながい女性が、それへさしてズゥーっとせりあがってきたのです。

「で、でた。ゆうれんでたぁー!」

「ゆうれんではない。わらわは、このぬまのせいれいじゃ。
こりゃ、とおりすがりのメルヘンおやじよ。おまえのおとしたパイプは、1,980えんの無印パイプか、それとも、ピーターソン・システムスタンダード303・アップルベントか、はたまた、ダンヒル・ドレスか。きりきりへんとうせよ。」


タカシくんは、これとにたようなシチュエイションのおはなしをきいたことがありました。

『1,980えんの無印パイプ』とこたえたばあい、なんとしょうじきものよと、せんどほめてもらい、パイプをぜんぶもらえるはずです。

でもそれでは、ありきたりでつまらないですね。

ぎゃくに、7万円以上する『ダンヒル・ドレス』とこたえたばあい、ぬまのせいれいは、みるみるほんしょうをあらわし、おそろしいかいぶつになって、「この、おおうそつきめ」と、タカシくんをぬまにひきずりこみ、しりから、チュチューチューチューと、生き血をすうにちがいありません。そんなのはいやです。

では、実売価格1万円をきる、『ピーターソン・システム303』とこたえたら、いったいどうなるのでしょう。

これは、あたらしいパターンじゃないですか。

よのなか、よくをかきすぎると、そのみをほろぼしますが、ばかしょうじきにすぎても、暮らしにくいものなんです。

「はい。ぼくがおとしたのは、その、『ピーターソン・システム303』です。まちごいおまへん」

「さようか。では、在庫が確認できしだい発送いたすゆえな。支払い方法は、クレジットカード、銀行振り込み、郵便振替が選べるぞ。クレジットカードの場合、eコレクトによる割賦払いも可能じゃ。もうしわけないが、代引きは利用不可じゃぞえ。そのかわり離島以外は、送料こちらもちじゃで。では、またのごりようをスタッフ一同、こころよりおまちもうしあげておるぞ。さらばじゃ。」

せいれいは、シューッと、ぬまのなかへきえていきました。

「うひやぁー。じぇじぇこがいるのかぁー。だれぞ。だれぞ、たあすけてくれぃ、たあぁすけてくれぇぇぇぇーい!」

タカシくんがめをさますと、そこはじたくのリビングでした。

どうやらタカシくんは、パソコンをみながら、いねむりしていたようなんです。

パソコンのモニターには、パイプ通販サイトがひょうじされていました。

タカシくんは、ちょうど、ピーターソン・システム303のぺいしをひらいていたんですねえ。

実装者流-ピーターソン303



(註:実はワタイ、ピーターソン・システム303の導入を検討中なんでっせ)

タカシくん、きょうは、しんけんなかおをして、ご本をよみふけっています。

しんけんなかお、といっても、はたのひとからすると、どうみても、オモロいかおなのですが。

タカシくんがよんでいるのは、『あまんきみこセレクション』というご本でした。

タカシくんには、おおきなゆめがありました。

それは、すてきな童話をかいて、せかいじゅうのこどもたちを しあわせなきもちにしてあげることなんです。

そのけっか、原稿料や印税をたくさんもらうことについては、もちろん、だいかんげいです。

ほんとうは、それしか頭にないといってもいいです。

ところが、かなしいことに、いくらかんがえても、こどもたちをしあわせなきもちにするどころか、いやぁーなきもちにしてしまうおはなししか、おもいうかばないので、そのスジでは、とくにゆうめいな、あまんきみこせんせいの作品をよみ、せっていやすじがきを剽窃し、うまいぐあいに換骨奪胎して、じぶんの作品をでっちあげようと、このようにたくらんだのです。

もし、盗作疑惑が浮上したばあい、『これは、あまん作品にインスパイアされたものだ』とか、『あまん作品へのオマージュである』などと、ことばたくみに、ごまくらかすつもりでした。

よいこは、まねをしないようにね。

おひるをすぎても、まだよんでいます。

さんじのおやつをたべたあとも、まだよんでいます。

おひさまが、にしのそらへしずむころになっても、まだよんでいます。

つきあかりが、こうこうとてらすころになっても、まだよんでいます。

やがて、タカシくんは、そっとご本をとじ、パイプに、おきにいりの、『ラットレー・ハイランドタージ』をつめて、ベランダへとでました。

シュボッとライターをつけ、タバコにちゃっかしようとします。

ところが、なかなか火があんていしません。

「こなくそ。おんどりゃあー。しまいに、いてもたろかこら」

タカシくんは、われしらず、そだちのわるさをろていしまくってます。

あくせんくとうのけっか、やがて、なんとか火があんていしました。

タカシくんは、あんどのためいきとともに、けむりをふはぁーっとふきだします。

そして、こごえで、こうつぶやきました。

「あんな、わざとらしゅうて、くっさいハナシ、とてもやないけど、ようかかんわ。トホホホホォー」

めでたし、めでたし。

実装者流-あまん



と、このように、つまらん話ですけども、四百字詰め原稿用紙に換算したばやい、いったい何枚になると思わはります?

もちろん、読み易いように入れてある、空行をぜんぶ外した状態ででっせ。

答えは、三枚です。

たったこいだけの内容で、三枚も遣うてまうんでっせ。

五枚や十枚、あっ。ちゅう間ァにのうなってしまうの、分かりまっしゃろが。



「うっひゃあ。すごいや」

タカシくんは、よあけに、ベランダにおいてある木製ベンチにこしかけ、おきにいりの、キャメル・フィルターをくゆらせながら、そうさけびました。

こどもなのに、なぜタカシくんは、タバコをすっているのでしょう。

じつはタカシくん、せいしんねんれいこそ10さいなのですが、じっさいは、53さいのおやっさんだからなんです。

べつにタカシくんは、ベランダでタバコをすうのがすきなのではありません。

風のつよいときなどは、なかなか火がつかなくて、おうじょうしますし、おそらがしくしくないているときは、ふきこんでくる雨で、そこらじゅう、べちゃべちゃになってまうからです。

でも、いえのなかではすわせてもらえません。

タカシくんのおくさんも、きつえんしゃで、いえのなかでたばこをすうのに、どうしてぼくだけ。

と、ちょうムカつくときもありましたが、タカシくんがこのむめいがらは、ふつうのひとがすうものより、すうだんカザがきついということを ほんにんも、にんしきしていましたので、しぶしぶベランダへでるのでした。

タバコのことはどうでもよいです。

タカシくんが、どうしておどろいたのかというと、よあけのそらに、まっくろなくものカタマリが、なんなんとうから、ほくほくせいへむかって、じそく50キロメートルほどのそくどでながれていて、そのくものせんとうが、パクっとくちをあけたかいぶつのようにみえたからでした。

しかも、パクっとあいた口のしたには、かぎづめのついた、まえあしのような、とっきもあるのです。

「うわあー。りゅうだぁー」

そうです。それはまさに、あらしをよんで、大雨をふらせる、でんせつのりゅうのすがたなのでした。

ちなみに、なんなんとうや、ほくほくせいといったほうがく、50キロメートルといったそくどについては、かなりいいかげんなものであることをおことわりしておきます。

タカシくんは、ベンチからすっくとたちあがり、こうつぶやきました。

「ようし。きょうは、おりたたみやのうて、おおきなカサをもっていったんねん!」

実装者流-りゅう