ヤキがまわってしもたのや。

実は、月初あたりに購入した、『アップル・パイプタバコ』を完喫してまいましてナ。

まあ、それなりに美味しかったような気もするけども、最後のほうは、くずになってしもてからに、別段リンゴの味もせいでからに、なんや、薄い砂糖水で漬けたような、どことのう、ほろ甘いだけの煙草になってもたことをば、ちょとおしらせしときます。

あとね、吸いはじめたおりから気になってたですけど、あとくちに、なにやら薬品くさいものが残りまんの。

まあ、堂々と『無添加』を謳うてないかぎり、なんぞ薬品の添加はまぬかれまへん。これはしょうないことですわ。

どっちゃみち、煙草自体、かだらに悪いんやさかいね。

あれ? なんのハナシでしたかいな。

そうそう、ヤキがまわってしもたハナシや。

『アップル・パイプタバコ』を完喫してしもた結果、現役煙草が、『ラットレー・ハイランド・タージ』だけになってしもたわけやな。

あんまりあっちゃこっちゃ開けまわるのもどうかと思いますけど、一銘柄だけっちゅうのも、寂しいもんおまっさかいね。

『サミュエル・ガーウィズ・ジュビリー2012』の開缶を真剣に検討したのです。

エンゲレスのエリザ・ベリテキ即位六十周年をば、遠い極東の島国で、ことほいだろかしらんとナ。

けれども、やっぱりよう開けられまへんでしたわ。

なあんし、もう二度と入手できまへんやろ。本年度限定銘柄でやっさかい。

もしかすると、未開缶なれば、将来好事家に高う売れるのんとちゃうかちゅう、すけべい心も出たりしたワケや。

あんたはんなら、どないしはります?

え? 「ワイなら、そんなもん、ちゃっちゃと吸うてしまうやろ」てですかいな。

なかなか豪気でんな。

おや? なんのハナシやったんか……。

そうそう、ヤキがまわってしもたハナシ。

『サミュエル・ガーウィズ・ジュビリー2012』の開缶を断念したワタイは、もうひとつのストックである、『ダンシル・ロンドン・ミクスチャー』の開缶を視野に入れましたのや。

ところがあんた、テキゃ、『ラットレー・ハイランド・タージ』と同系統もええとこでっしゃろ。

さすがに併用できまへんわ。

どっちかちゅうと、『ラットレー・ハイランド・タージ』がのうなったおりの、後継銘柄にせんならんのや。

こうなったら、第三の銘柄を買うてくるよりおまへんやろ。

ところが、もう月末もええとこでやっさかい、これ以上たばこ銭遣いたないのや。

ちゅうか、パイプ煙草が買えるほど、じぇじぇこがあらへんの。

ということで、二、三日の間、『ラットレー・ハイランド・タージ』だけで乗り切ろうと考えたわけなんですナ。

そこで、ある事件が起こったわけですけど、えらい長くなってしもたので、明日に続くとさせてもらいますわ。

前後編に分けるほど、大したハナシやないねんけどなあ。

喫煙極道としてだけやのうて、モノカキとしてもヤキがまわってしもたんやろか。

陽気なこと。 ♪鳴り物入ル (出典:なにやら賑やかな道中がある噺全般)

という次第で、今日はちょっと、『ラットレー・ハイランド・タージ』について、お話したいのです。

最近になって気づいたですけど、テキゃ、中途はんつに加湿するよか、からんからんにしからびさせたほうが、美味しいのです。

そらあんた、ヴァージニアのピリピリたらエグエグは、若干キツうなりまっけど、ラタキアの甘さや、全体的なコクが半端やなくなるのです。

ほん、最後のほうは、葉巻に似たスパイシーさも感じたりしますのや。

中途半端に加湿された状態ですと、ただただおじょうしんな味なんですけど、からんからんにしからびると、隠されていた旨味やみなが、一気に解放されるワケや。

これはね、そこいらのしょむない銘柄はもちろんのこと、それなりのじぇじぇことりよる銘柄でも、ありえへんことでっせ。

からんからにしからびたほうが美味いてなこと。

ぶっちゃけ、テキゃ高いからね。

五十グラム換算にしたばやい、もっと高い銘柄おますけど、最低購入単位がしゃくグラムで、四千五百円もするちゅうのが、ちょっとアレやわな。

けど、機会があれば、ぜしにも試していただきたいですわ。

どない吸うたかて、ぜったいに美味しいことは、ワタイらみたいなモンが保証せいでも、せいだい保証されてまっさかいな。歴史的に。

ラタキアに耐性のある御仁はもちろんのこと、ラタキア童貞の御仁でも、この『ラットレー・ハイランド・タージ』みたいな、海千山千の床上手に筆おろししてもろたら、そらあ夢見心地になること、まちごいおまへんデしかし。

いずれにせよですな、ラタキアの味を知らんまま死んでまう喫煙者は、ほん気の毒や思いますナア。

一見栄二男三金四芸、五精六おぼこ七ゼリフ、八ヂカラ九肝、十評判。

ちゅやないか。

「なんだっかそれ? アブラムシのまじないか」 (出典:色事根問または稽古屋)

ちゅことでね。

なんやしらん、ドタマだけやのうて、手ェまでメルヘンになってしもてからに、いつもの喫煙極道調子が、すーっとでやいたしまへんの。

文章をちょっと書くだけで、あちこちつんのめりまんねん。

これが、どないな意味かわかりまっか?

ほんまに、文法的に正しい文章ちゅうのは、いったいどないなもんかちゅうとですな、句点であっちゃこっちゃブツ切らんとあかんのですわ。

と、この文章ですと、

ほんまに、国語的に、正しい文章ちゅうのは、いったい、どないなもんかちゅうとですな、句点で、あっちゃこっちゃ、ブツ切らんと、あかんのですわ。

てな具合になりまんねん。まちょっと、大げさなとこおまっけど。

メルヘンたら児童文学ちゅうのはね、人生ほぼ終わりかけてる大人が読むのんとちごて、基本的に、将来あるボンボンやじょうちゃんの読むモンでやっさかい、できうるかぎり文法的に正しい文章が望ましいわけやな。

うそや思うたら、図書館でも、本屋で立ち読みでもよろしいさかい、子ども向けの本読んでみなはれ。

「ここまで区切るか?」ちゅうぐらい、句点が多いですわ。うっかり歩きながら読もうもんなら、とちゅうでこけます。

大のおとなが読む文章となると、やっぱりリズムが大切でやっさかいね。文法的に誤ってっても、一気に貫き通したほうが読みやすかったりしまんの。

あとね、会話の部分がおまっしゃろ。まず、普通の小説をみてごらんなはれ。

「いやあ。今日はほんとうにまいっちゃたよ」

と、閉じカッコの直前に読点がないのが普通ですわ。ところが、これは文法的にはまちごいなんです。

「いやあ。今日は、ほんとうに、まいっちゃたよ。」

と、閉じカッコの前に、読点がないとあかんのや。

うそや思うたら、図書館でも、本屋で立ち読みでもよろしいさかい、子ども向けの本読んでみなはれ。

ちあんと読点がついてまっせ。たんまあに、ついてないのありますけど。

そんなことを意識しつつ、文章書き分けてたら、あんじょうドタマへさして、大輪のボケの花が咲いてまいますわ。

というわけで、今日は煙草のはなしをしょうとて出てきたんですナ。

せんに買い求めた、『プエブロ・無添加シャグ』をあけてみましたのや。

実装者流-プエシャグ中身


ごらんのとおり。ちゅたかてよう分かりまへんわな。

マニトウやスーに代表されますところの、『海産物のしもののカザ放出無添加系シャグ』でごんざります。

このカザはたまらんなあやっぱり。

写真のように、葉っぱがダンゴになっとりますけど、水分はほとんどのうて、どっちかちゅうと、カラカラにしからびとります。これも、『海産物のしもののカザ放出無添加系シャグ』の特質でっせ。

ちんこいパイプで、せちべんに吸おうもんなら、かなりエグそうでんナ。

ワタイの場合、フィルターつきさや紙にチュービングしていただきましたのや。

これは、かなりいけますわ。

残念ながら、シガレット版には、さすがにかないまへん。

あたりまえでっけど。

チュービングしたやつは、シガレット版より、ヴァジピリがつおい分、バーレーのキックとイガイガが弱まってます。

それに加えて、人力でチュービングした場合、どうしても葉っぱの密度がうすうなりまっさかい、シガレット版ほど、一本が長持ちしまへんわ。

まあ、長持ちし過ぎるのも、痛し痒しでっけどナ。

しかしながら、濃厚な味はしっかりありまっせ。

はっきり申し上げまするとナ。

暗黒系は別として、いままで試したシャグ煙草のなかで、チュービングした場合に限定されまするけれど、一番美味しいと思います。

ちょっとキツいけどね。

「わしゃ、キツい煙草なんぞ、へでもあらへんわ」

ちゅうかたは、シガレット版ともども、いっぺんお試しになるとよろしわ。


タカシくんが、メルヘンのネタくりをするばあい、パソコンのまえに座りこんで、ウンウンうなりながらおこなうわけではありません。

パソコンのまえに座ると、ついつい、煙草専門店やさんのホームぺいしをえつらんしてしまうからです。

ニヤニヤわらいながら、いつまでも、いつまでもえつらんしています。

これじゃあ、大きなことができるわけありませんよね。

ですので、なにかほかのことをしているときに、ネタくりします。

だいひょうてきなのは、お風呂にはいっているときや、歩いているときです。

あたまの中で、ネタをくりくりこねまわしているときは、すべからく、珠玉の名作なんです。

もうそりゃ、ぜったいに、なんらかの賞をちょうだいできることかくじつの逸品なんですね。

ただ、それをじっさいに文章にていちゃくさせると、あらふしぎ、いっぺんに駄作になってしまうんですねえ。

どうして、そんなことになってしまうのでしょうか。

タカシくんは、ドタマからケブがでるほど、そのりゆうをかんがえました。

そして、みちびきだされたけつろんは、こうです。

「ぶんしょうりょくが、あらへんのやわ。」

となれば、はなしはかんたんです。

ぶんしょうの、おけいこをすればいいんですよ。

とにかく、どんどん書きます。

おきるまえに書きます。

おきたらすぐ書きます。

しゅっきんまえに書きます。

つうきんちゅうに書きます。

きたくしたらすぐ書きます。

ねるまえに書きます。

ねながら書きます。

また、おきるまえに書きます。

また、おきたらすぐ書きます。

また、しゅっきんまえに書きます。

また、つうきんちゅうに書きます。

また、きたくしたらすぐ書きます。

また、ねるまえに書きます。

また、ねながら書きます。

おきるまえにシューっと書きます。

おきたらシューっと書きます。

しゅっきんまえにシューっと書きます。

つうきんちゅうにシューっと書きます。

きたくしたらシューっと書きます。

ねるまえにシューっと書きます。

ねながらシューっと書きます。

おきるまえにシュー、おきたらシュー、あ。シューシューシュー♪

唄っているばあいではありません。

どうやらそれでも、まだたりないみたいなんですからね。

では、どうすればいいのでしょう。

タカシくんは、とうとうけっしんしました。

「そうや、仕事中に書こ。仕事中にシュー♪」

こんなベラボウなやつは、はやいこと、ぶんしょういっぽんで、身を立てなきゃいけませんね。

---------------------------------------------------------------------
【解説】
今回だけでなく、『それゆけ。タカシくん』シリーズ全般に共通することだが、一読すると、かなり無責任かつ、アジャラカモクレンな内容ながら、そこかしこに、彼の苦悩が見え隠れしているという印象を受けた。

彼は、二十五年余の経験年数がある、フリーランスのシステムエンジニアであるが、五年ほど前から、エンジニアとしての限界を感じている。

五十余歳という高齢でかつ、フリーランスであるという立場を考えたとき、「今日お払い箱になるか、明日お払い箱になるか」と、一日たりとも心安らかに過ごせないという状況を打破しようと模索した結果が、『文章でなんとかする』ことであったが、兼業ライターとなって五年が経過した今も、地中に埋まり続けて、芽がまったく出ないのである。

今回のメルヘン作家挑戦は、おちゃらけのように見えて、本人はかなり真剣にとりくんでいると思う。

「これがだめなら、三年後には潔く路上で朽ちる!」

彼はきっと、そこまで煮詰まっているはずなのだ。

ここで私から、不退転の決意でメルヘン作家たらんとする彼に、激励の言葉を贈りたいと思う。

『作家専業で食える人は少ないけども、メルヘン作家専業で食える人は、もっと少ないっちゅうねん。どないするつもりじゃコラ!』

「おお、きたんか。ま、こっちあがり」

「おおきに。いますぐ顔だせて、なんの用でっか伯父さん」

「おおきにとちがうで。ワレが座ってる座布団みてみい。まだほろぬくいやろ。ついさいぜんまで、ワレの母親が座っとたんや。えらい泣いて、往生したんやで」

「そらあかんわ伯父さん。かわいい妹泣かしたら」

「わしが泣かしたのと違うがな。ワレここんとこ、仕事もせいで、ブラブラしとうそうやないか。勤めに出ても、一ヶ月と続いたためしがない。せんどなんぞ、一時間でクビになったちゅうて聞いてるぞ」

「一時間とちゃいま。三分や」

「よけアホじゃ。カップ麺かおんどれ。失業保険もとおの昔に切れたちゅやないか。ええ歳こいて、なんちゅこっちゃ。もうワレ、かれこれ三十やろ。そんなこっちゃあかんがな。
ワレの行く末がしんぱいでな、どうぞ意見したってくれちゅうて、ワレの母親が泣いてたちゅうわけや。
だいいちワレのとこは、親父がはように亡くなっとるのや。女手ひとつでおおきゅうしてもろたんやないか。もうぼちぼち、ワレがしっかり稼いで、母親を楽にしたらなあかんとこや。
そやのに、なんちゅうありさまじゃい」

「伯父さん、新聞読んでないんかいな。テレビのニュース見てへんの。この不景気やで。そうそう仕事があるかいな」

「死ぬ気で探さんかい。職安には、ちゃんといっとるのか?」

「あたりまえでんがな」

「毎日かい」

「さすがにそこまでは」

「一日おきかい」

「いいえ」

「三日にいっぺんかい」

「まだまだ」

「一週間にいっぺんかい」

「なかなか」

「ほたら、一ヶ月にいっぺんぐらいは顔出してるんやろな」

「三ヶ月にいっぺんですわ」

「しばいたろかこのガキゃ。べつに職安だけが、仕事を探す途ちゅうわけやないんや。日々の暮らしの中で、なんぞ銭になることないかと、つねに考えなあかんちゅうこっちゃ」

「なるほど。ほたら伯父さん、なんぞ使いにいきまひょか。ほしたら駄賃もらえまっしゃろ」

「ワレになんぞ言うたら銭いるわ。まあええ。ちょっとでも、勤労意欲を出しただけで、よしとせにゃならん。
そうやなあ。ほんなら、煙草でも買うてきてもらおか。ちょうど切れそうになっとるさかい。家出て、ちょっといったとこに、商店街があるのや。クリーニング屋のきのしたはんとこで煙草売っとるさかい、そこで買うてきてくれるか」

「わかりました。なんぼがん買うてきまひょ」

「ぎょうさんいらんのや。ひとつでええねん」

「わかりました。ひとつでんな。ほたらひとっ走りいってきますわ。さいなら」

「またんかい。まだ銘柄ゆうてへんやないか。銭も渡してないし。ええか、わしはセブンスターより吸わんさかい。ほら、五百円。釣りが駄賃じゃ」

「ちょっとまっておくれやす。小学生の使いやないんでっせ。こっちは大のおとなでんねや。六十円ぽっちの駄賃じゃ、あほらしゅうて」

「しゃあないガキや。うーん。ほんなら千円渡すわ。釣り全部、駄賃にしたらええ」

「なんと、駄賃に五百六十円も! うっひゃぁー♪」

「五百円増えただけで喜んでけつかる」

「で、なにを買うてくるんでしたかいな」

「セブンスターや」

「そう。セブンスター、セブンスター。煙草を買わんなんちゅうことは、ちゃあんと覚えてまんねん。ところがあんた、銘柄がぎょうさんおまっさかいなあ。セブンスターね。ほな、日が暮れまでには戻ってきますわ」

「日が暮れて、まだ昼前やぞ。近所の商店街へいって帰ってくるだけで、なんで日が暮れまでかかるねん。十五分もありゃあ、おんのじやが」

「そらそや。……。えーっと、ほんで、なにを?」

「セブンスターや! なんべんゆわすねん。それぐらい覚えられへんのか、ドアホ!」

「そないにきつうゆわいでもよろしやんか。どうにもこう忘れっぽい性分でな。いっぺん医者に診てもらいましたのやで」

「どないな診立てじゃ?」

「ここまで進行しとると、いっぺん死なな治らんゆわれた」

「ワレが三分でクビになる理由が、なんとのう分かったわい。ええか、セブンスターやで。セブンスターセブンスターセブンスターセブンスター」

「セブンスターて、何回も繰り返してゆい続けたら、しらんうちに、スターセブンになったりすることありまっしゃろ?」

「ひとを嬲っとったら承知ぜんぞ!」

「ひゃぁー、こわやの。けど、そいだけゆうてもろたら、もう大丈夫ですわ。ほな、いってきますよって」

「ちょっとまて。ワレいま、出口ンとこで、こう天を仰いだやろ。ほんで、なんとも言えん不安そうな顔した。さては、もう忘れてしまいくさったな!」

「バレたか」

「なんかしてけつかんねん。そう忘れるんやったら、目安つけ、目安」

「目安てなんでんねん」

「クリーニング屋の隣にな、本屋があるのや。そこには、『集英社の雑誌 少年ジャンプ』ちゅうて、でっかい看板でてるわ。ジャンプちゅうたら北斗の拳、北斗の拳ちゅうたら北斗七星、北斗七星は七つの星、七つの星はセブンスターと。それで思い出せるやろ」

「なるほど、こりゃええ具合になっとるわ。ほたらいってきまっさ。こんちわ。煙草ちょうだいか」

「おこし。なにさしてもらいまひょ」

「煙草ちょうだい」

「煙草はわかってまんねん。煙草にはいろいろと銘柄がおまっしゃろ。どれさしてもらいまひょ」

「ほらきよった。こらおやっさん、ワイが、頼まれた銘柄忘れてしもたとでも思うてるやろ。ん?」

「別に思うてまへんけど」

「みごとに忘れたんや」

「なんでやんねんそれ。忘れたら買えまへんがな」

「忘れたおりには、ちゃあんと思い出すための目安があるのや。おやっさん、少年ジャンプあるやろ、少年ジャンプ」

「うちゃクリーニング屋兼煙草屋でっせ。日用雑貨もちょっとは置いてまっけど。ジョンソンケントクとか、カネヨンクレンザとか。少年ジャンプなら、隣の本屋へいきなはれ」

「ちゃうねん。ワイのほしいのは煙草にちがいないのや。少年ジャンプが、その銘柄を導き出す糸口になんねん。少年ジャンプといえばほら、有名な漫画があるやろ」

「わしゃ忙しいねんけどなあ。まあしょうおまへんわ。お客さんでやっさかい。少年ジャンプなあ。若い頃にはせいだい読みましたけど。そうでんなあ。『ドクタースランプ・アラレちゃん』が好きでしたなあ」

「そうそう、アラレゃんアラレちゃん。あられちょうだい」

「あられやたったら、三軒むこうに駄菓子ン屋やがおまっさかい、そこいきなはれ」

「ちゃうねん。ほかにないか、ほかに。有名なやっちゃで。社会現象になったほどのやっちゃ」

「うーん。ほたら、『ハレンチ学園』ですかなあ」

「そうそう、あれであんた、スカートめくりが大流行。スカートめくりちょうだい」

「……。あんた、ひと嬲ってなはんのか? そんなきしょくのええ煙草、どこぞの世界におまんねん。あんたな、いっぺんいんで、ちゃんと聞いてきはったらどないでっか」

「甘い。もういっぺん聞きにいたかておんなしこっちゃ。いって帰ってしてるまぁに、忘れる」

「難儀な人でんなあ。ぼちぼち、クリーニングの集荷がきよんねんけどなあ」

「もうちょっとだけ付き合うて。ほらあ、もっと最近のやつで、有名なのがあるやろ」

「最近のやつなあ。あっ! 分かりましたで。みなまで言いなはんな」

「そうやろそうやろ。有名なやっちゃさかいなあ。よう思い出してくれた」

「『ワンピース』やな。そうでっしゃろ」

「そうそう、それやがな。ピースひとつちょうだい」


しまい。