ふと、私がなぜこんなに仕事を頑張ってしまい、追い詰められたのかを考えてみた。
私には自分的には必死に仕事をしていたにもかかわらず、言われた言葉がある。
「もっと仕事せい!」
理由は一つ。
私はどんなに周りが忙しくしていても、
けして残業をしなかった。
当時はアフター5のために仕事をしていたからだ。
でも、頼まれた仕事はきっちり終わらせていた。
周りからすると異常に手が早かったらしいし、他人の2倍程度の仕事は時間内に終わらせていた。
定時きっかりに仕事を終えるためにたくさんの工夫をしたが、
不思議なことに、褒められるのは残業をして仕事を終わらせる私から見れば効率の悪い同僚だった。
そして、ある日部長に呼び出されてわざわざ嫌味を言われた
「あなたの残業代、よっぽど高いんだね」と。
「それは、残業すればいいんですか?
それって残業代で、会社の利益奪ってますよね?短い時間で効率的に仕事してる方が会社に貢献してると思いますが。」
と言い返したがふっと嗤われて終わった。
そしてその1カ月後、
私がサポートしている営業担当者の一人がが
サポートしてほぼ完成状態の稟議にたった3行の意見を書くのを1週間以上放置していたことが判明した。
まあ、その担当者にはよくあることだったのだが、指摘を受けてからその3行のために、営業の訪問を断って3時間もかけたんだそうな。
そしてその担当者の活動記録をみた部長が、私を呼び出して言ったのだ。
「もっと、仕事せい!!稟議の意見くらい適当にお前がかけ!!!」
腹が立って「たった3行ですよ?営業担当者が書くべきところです。単なる事務職の私がかくのは越権行為です」と言い返したが
「残業もせず、効率よく仕事してるなんて幻想だ!残業もせずに会社に貢献してると思うな!!担当者の成績が上がらないのはお前のそういう態度のせいだ!
黙って言われたとおりにしろ!仕事せい!!」
と、怒鳴られた。
そのとき、残業がそんなに偉いのか!!と叫ぼうとしたが、担当者の営業能力の責任
までに言及されて、もう無理だと思い、私は部長に「そんなに気に入らないなら、クビにでもなんでもしてください!」
と言って会社を飛び出した。
結局、直属の上司がとりなし(私に辞められては困ると説得された)私は辞めなかったが、その営業担当者は翌年セクハラ事件を起こして退職した(仕事中に会議室でコトにおよびそうになっていた)
そして、その言葉は呪いの言葉のように私の胸の奥に残った。
どんなに自分なりに効率化し、倍以上の仕事をこなしていても
上司が望むような働き方をしなければ、何一つ認められないことを知った。
ちなみに、その部長のときに業績はよかったのに部長の采配で決まるボーナス額は最低とされる額より低くされた。
残業しなかっただけで。
まあ、他にも生意気とか、言うこと聞かないとかあったのかもしれない。
私もあのとき、パフォーマンス的にでも残業する柔軟さがあればよかったのかもしれない。
でも、「残業をするな」と言ったのは入社当時の部長で。私はその部長を信じていたから絶対に譲りたくなかった。
もし譲っていたらこんな呪いのような言葉を浴びせかけられることも、その言葉に苦しめられ続けることもなかったんだろうな。と思う。
理不尽に抵抗して、ボーナスも下げられて、それでも筋は通した。やり方は変えなかった。
そんな自分が誇らしいかといえば、
ただ無駄に傷を増やしただけ。
それ以来、私は自分がどんなに人より多くの件数をこなしていても「本当に仕事をやっているのか」とふいに自問するようになった。また仕事してないと責められるのではないか。と、仕事中に少しできる息抜きの時間すら、サボってると思われるのでは?と気になるようになった。
そして、多分その思いが自分をどんどん追い込んだと思う。
私は仕事をやってもやっても「本当にやっているのか、もっとやれと言われるのではないか」と、常に疑心暗鬼になっていたのかもしれない。
あのときの部長が今の私を見たら
「根性ないやつが会社休みやがって!この、給料泥棒が」
ぐらいには言われるんだろうな。