どうして魔女は生まれてしまうのだろう、『ウィッチ』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『ウィッチ

【評価】☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】ロバート・エガース

【主演】アニヤ・テイラー=ジョイ

【製作年】2015年

 

 

【あらすじ】

 1630年、アメリカのニューイングランド地方。敬虔なキリスト教徒ウィリアムは、厚い信仰心が仇となり村を追い出されてしまう。そしてウィリアム一家が住む場所に選んだのは、森のすぐそばにある土地だった。だが一家に悲劇が起こり、長女に魔女が取り憑いたのではないかと疑い出す。

 

 

【感想】

 オカルト系の映画では、悪魔の取り扱い方によって違いが出てくる。一つは悪魔を登場させるもの。悪魔の造形や、ゾンビ映画にも通じる追いかけっこが勝負どころとなる。もう一つは、悪魔を出さずに禍々しい雰囲気で勝負するタイプのもの。ストーリーの難易度は上がるが、人間の猜疑心や恐怖心を利用し、ラストの着地がピタリと決まると何とも格好良かったりする。

 

 

 この映画は、どんよりとした重い空気に包まれていた。舞台は17世紀初頭のアメリカで、森の近くに住み着いた一家に悲劇が起こる。薄曇りの空が寒々しく映り、古めかしい衣装やセットが、悪魔が実在しそうな時代を作り上げていた。孤立した一家が、次第に追い詰められていき不条理に襲われる。どんな結末が用意されているのか、妙な楽しさを感じていた。ただし、結末は思ったほどきれいではなく、怖さを感じることもなかった。

 

 

 それと不安や恐怖を煽る音楽の使い方が、今ひとつだった。焦りがあったのか、プレッシャーに晒されたのか、それともチームワークの乱れか、やたらと音量が大きく使用する場面も頻繁だった。もうちょっと引き付けて使った方が、効果的だったのかも。甘くしようと、砂糖に頼ったお菓子を食べた気分。子役たちがいつものことながら上手かっただけに、残念な気もした。観客を信じるのは、案外難しいことなのかもしれない。