意外とサービス精神が旺盛、『ハードコア』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『ハードコア

【評価】☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】イリヤ・ナイシュラー

【主演】シャルト・コプリー

【製作年】2016年

 

 

【あらすじ】

 見知らぬ研究室で目を覚ましたヘンリーは、自分の名前も分からず記憶も持っていなかった。ただ傍にいた女性が妻だと名乗り、ヘンリーに機械の手や脚を装着してくれた。ヘンリーはサイボーグとして生まれ変わったことを認識するが、そこに武装した兵士が乱入しヘンリーと妻を捕らえようとする。

 

 

【感想】

 若々しく勢いがあり、ハチャメチャなアクション映画だった。特徴は、ひたすら一人称の視点で押しまくる映像。サイボーグとして生まれ変わった主人公ヘンリーが、自分の目を通して世界を映し出していく。つまり、ヘンリーの見たものがスクリーンの映像となる。なのでヘンリー自身の姿は全く登場しない。ヘンリーの視点が、観客の視点となる。

 

 

 「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」ではドキュメンタリーの手法を取り入れ、リアリティーを増幅させる演出が施されたが、この映画はまた新たなスタイルを映画に与えたような気がする。ただ、単に撮影のアイデアが秀逸なだけの映画ではなかった。荒唐無稽なストーリーを力強く推し進めるアクションが続き、最後まで粋の良さが失われなかった。そしてヘンリーの身体能力の高さにも驚かされる。

 

 

 しかも舞台はロシア。傍若無人に突っ走るスタイルは、爽快感にも繋がっていた。次から次へと銃を手に取り、撃ちまくる荒々しいスタイルもどこか新鮮。ただ視線が目まぐるしく動いたりするので、さすがに途中から気持ち悪くなってきた。やや前方の席で観ていたのも、良くなかったのかもしれない。この撮影スタイルに慣れるのには、もう少し時間が掛かりそう。