公安の銭形が気になる、『LUPIN THE ⅢRD 血煙の石川五エ門』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『LUPIN THE RD 血煙の石川五エ門

【評価】☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】小池健

【声】浪川大輔

【製作年】2017年

 

 

【あらすじ】

 ヤクザの大親分の用心棒を務めていた石川五エ門。豪華客船の中で賭場が開かれていたが、そこにルパンが潜り込み、更にルパンの命を狙う不死身の元兵士も現れた。元兵士が超人的な力を発揮し、船は激しく損傷し船内は大混乱となる。その中、五エ門は元兵士を追い詰めるものの逃げられてしまい、恩義のある大親分が死んでしまう。

 

 

【感想】

 石川五エ門の若かりし頃を描いた映画。既に凄腕の剣客だったが、斧を使う大男に完膚なきまでに叩きのめされ、激しく苦悩する五エ門が登場する。ストーリーはあるものの、五エ門やルパンたちを際立たせる背景として使われている感じ。小池健が手掛けるこのシリーズは、大人の男に訴え掛ける荒々しさがある。日本ではほとんど絶滅しそうな、ダンディズムやハードボイルドな世界が広がっていた。

 

 

 そして庶民的な“ルパン三世”に異議を申し立てているようにも見える。“ルパン三世”を女子供から取り戻そうとする、無謀な試みなのかもしれない。原点回帰を目指しつつも、濃厚な新しさを注いでいる。“ルパン三世”を新たにデザインしなおし、勝負している映画。遠くなったはずの1970年代が、新鮮で眩しく思えたりもした。安全や安心に背を向けたスタイルには、強く惹かれてしまう。善悪ではなく、美しさに殉じている映画だった。