さり気なくタブーに挑む、『トッド・ソロンズの子犬物語』 | 平平凡凡映画評

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映画を観ての感想です。

【タイトル】『トッド・ソロンズの子犬物語

【評価】☆☆(☆5つが最高)

【監督】トッド・ソロンズ

【主演】ダニー・デヴィート

【製作年】2015年

 

 

【あらすじ】

 病弱な息子のために父親が一匹のダックスフントを持ち帰った。息子は大喜びをするが、母親は不機嫌になる。それでも犬を飼い続けようとした一家だが、遂に犬を持て余した父親が獣医のところは向かった。やがてこのダックスフントは、クセのある飼い主の間を転々とすることになる。

 

 

【感想】

 邦題に監督や俳優の名前が入ると、嫌な予感がしてくる。この映画の原題は「WIENER-DOG」、そのまま訳せば“ダックスフント”ということになる。さすがにタイトルから映画の内容が見えないと判断したのか、それとも内容に自信がもてなかったのか、邦題の頭に監督の名前を持ってきた。だだし、それほど日本で知られている監督ではない。嫌な予感は益々募る。

 

 

トッド・ソロンズの作品で記憶にあるのは「ハピネス」という映画。幼児性愛者や一風変わった人々が登場する、ブラックなコメディーだった。笑っていいのかどうか、かなり戸惑うような内容だった。今回の映画もちょっとブラックな世界を、何事もないかのように飄々と見せていた。世の中の底辺近くで生きる市井の人々の悪意や、不安、怒りといったものが抽出される。

 

 

 群像劇のスタイルになっていた、登場人物たちをつなぐのが一匹のダックスフント。派手な展開が用意されているわけではないが、毒を含んだ会話が連なっていく。きっと笑える会話なのだろうが、字幕を追ってもなぜか心に響いてこなかった。かなり翻訳しにくい映画だったのかも。そのせいか眠気に何度も襲われてしまった。映画を理解するには、ある程度今のアメリカに精通する必要がありそう。それと犬好きには毒が強すぎるので注意が必要。