どれだけ失敗を繰り返せるかが勝負のよう、『ノーマ東京』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『ノーマ東京

【評価】☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】モーリス・デッカーズ

【主演】レネ・レゼピ

【製作年】年2016

 

 

【あらすじ】

 世界一の称号を持つコペンハーゲンのレストラン“ノーマ”が、2015年に本店を休業し期間限定で東京に店をオープンさせた。準備チームの料理人たちは一足早く来日しメニューの開発に取り組むが、開店2週間前に到着したシェフのレネはほとんどのメニューを却下し、メンバーと共に新たなメニュー作りを開始する。

 

 

【感想】

 世界的に有名なレストラン“ノーマ”が、期間限定で東京に店をオープンさせた際の舞台裏を追ったドキュメンタリー映画。本店のコペンハーゲンと同じ料理を考えるスタッフに対して、シェフのレネが日本の食材を使ったオリジナルメニューで勝負すると宣言。彼らの悪戦苦闘が始まる。失敗の連続と、美味しくて当然という期待に対する重圧。更に開業日が迫りトラブルも起こる。出来上がった料理だけで評価される料理人だが、作る過程の苦悩を存分に見せている。

 

 

 ヨーロッパやアメリカでは、シェフはミュージシャンや俳優と同じように、エンターテイナーとして見られているのかも。人気シェフとなると、セレブと同じ扱いを受けていそう。料理は味と共に独創性やインパクトが重視され、レストランを訪れる客はマジックやライブ、演劇に通じる世界を期待している。シェフを主人公にした映画も多く、この流れはしばらく続きそう。

 

 

 ドキュメンタリー映画ということで、撮影する監督とシェフを含めた料理人たちの距離がとても近く感じた。きっと信頼関係のなせる業なのだろう。単なる提灯記事にも似た、ノーマを礼賛するだけの内容ではなかった。余分な部分を削ぎ落し、引き締まったストーリーに仕上がっていた。気持ちよく盛り上がり、料理を輝かせていた。シェフに負けず劣らず、監督の腕も相当なものだった。