【タイトル】『スーサイド・スクワッド』
【評価】☆☆☆（☆５つが最高）
【監督】デヴィッド・エアー
【主演】ウィル・スミス
【製作年】２０１６年
【あらすじ】
政府高官は、警察や軍では対応しきれない凶悪犯に対抗するため、服役中の凄腕犯罪者たちでチームを作る計画を立て実行に移す。犯罪者集団“スーサイド・スクワッド”には、個性豊かな犯罪者が揃ったが、組織としてのまとまりには欠けていた。それでも人類に迫る危機のため、チームに出動命令が下される。
【感想】
アメリカでの興行はまずまず成功しているこの映画、ただ批評家ウケはイマイチだったとのこと。観てみると、その理由がわかるような気がした。秀逸だったのは、犯罪者たちを使って凶悪犯を倒すというアイデア。ＤＣコミックスには、掃いて捨てるほどの悪者がいるので、彼らの再利用を図っている。苦し紛れの発想と思えなくもないが、廃棄物を再利用する発想はどこかエコを感じさせる。
そして、この犯罪者集団のキャラクターが魅力的。特に、評判になっていたハーレイ・クインは、今までにない女性の犯罪キャラクター。ヴィッチなわがままぶりを見せながら、なぜだかとってもチャーミング。凶暴さとセクシーさ、そして強さと可愛らしさが、絶妙なバランスでブレンドされていた。女性を主人公にしたアクション映画にはイマイチの印象があるが、ハーレイ・クインを主人公にした映画は是非観てみたい。ワンダー・ウーマンと戦ってもいいし、キャット・ウーマンとのバトルも面白そう。
もちろん、ウィル・スミスの存在感も嬉しかった。久し振りにウィル・スミスらしい軽さやタフさ、優しさを見た気がした。このキャラクターでも、十分一本行けそうだった。反面、残念だったのはストーリー。個性豊かな面々が登場してくるが、“スーサイド・スクワッド”に対抗する悪役が弱かった。極悪人がしっかり定まらないと、映画全体が締まらない。ジョーカーがスポット参戦しているものの、場を荒らすだけで軸にはなっていなかった。
加えて、突如現れる日本語も興醒めだった。ハリウッドには今も尚、日本人が観る、という発想すらないのかもしれない。恥ずかしげもなく響く、片言の日本語には冷や水を浴びせられた気がした。夢の世界から一気に現実に戻される。日本人女優の話すセリフも、かなりヒドイ日本語で頭を抱えたくなった。しょせん日本人はイロモノでしかないのかも。ちょっとした気配りがあると、日本人も屈託なく楽しめる映画になるのに。