新手の輪廻転生、『セルフレス/覚醒した記憶』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『セルフレス/覚醒した記憶

【評価】☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】ターセム・シン

【主演】ライアン・レイノルズ

【製作年】2015年

 

 

【あらすじ】

 建築家で大富豪のダミアンは末期のガンで、余命半年を宣告されていた。そんなダミアンのもとに、ある科学者が現れる。彼はダミアンの意識を、別の肉体に移植する技術を開発したという。疑いながらも、巨額の費用を後払いにすることを条件に、死期の迫ったダミアンは意識の移植手術に同意する。

 

 

【感想】

またもベン・キングズレーに目を奪われてしまった。今回の役所は、冷徹で頭脳明晰なニューヨークの大富豪。スーツを着こなし、高級感漂うオフィスや自宅で存在感をありありと示す。どんな役を演じても、ピタリとはまるのが凄い。貧しい芸術家でも違和感がないし、権力の側に立っても凄味を増す。出演する映画、出演する映画でインパクトを残し、キャラクターのくさびをしっかりと打ち込む。毎度のことながら、いま最も旬な俳優だと思ってしまう。

 

 

 この映画でベン・キングズレーは、ライアン・レイノルズと共に主人公を作り上げていた。出演シーンから考えると、8割くらいはライアン・レイノルズの頑張り。役者なら、つい注目したくなる共同作業だろう。ストーリーは、意識を取り出して、その意識を別の体に移植するというも。結構ありそうな設定でもあり、SF好きの作家や脚本家が挑戦しそうなジャンルでもある。

 

 

 確かに、肝臓の移植手術や角膜の移植手術のように、意識を移植できれば長い体感寿命を得ることができそう。パソコンやUSBメモリーに保存できれば、永遠の生命に一歩近づけるような気もする。ただこの映画では、意識が何なのかを議論するシーンはほとんどなく、娯楽映画として王道を進んでいく。気楽に観て、気軽に楽しめる内容。気分転換には、持ってこいの一本かも。