無秩序は止まらない、『ハイ・ライズ』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『ハイ・ライズ

【評価】☆☆(☆5つが最高)

【監督】ベン・ウィートリー

【主演】トム・ヒドルストン

【製作年】2015年

 

 

【あらすじ】

 1975年ロンドン郊外、セレブ向けの高層タワーにはあらゆるものが完備し、社会から隔絶してそびえ立っていた。医師のラングはタワーの住人となり、孤独を楽しみながらも、毎晩繰り広げられるパーティーや、住人同士の騒動に巻き込まれていく。

 

 

【感想】

 1970年代を舞台にしながらも、どこか近未来感が漂う。ただし現在から見た近未来ではなく、1960年代くらいの人々が描いた近未来。ネットや技術が発展した社会ではなく、人間や社会そのものが崩れていきそうな、退廃した世界を作り上げていた。崩壊は外側からではなく、内側から起こると予言しているようにも見えた。

 

 

 映画に明確なストーリーや、腑に落ちる結末が用意されている訳ではなかった。ただひたすらに、高層タワーの社会が混乱していく過程が描かれていた。面白いと感じるには、それなりの目的意識が必要なのかも。ボンヤリと眺めているだけだと、次第に眠くなる。きっと芸術性は高いのだと思うが、乱痴気騒ぎが切れ間なく続くと、集中力も途切れがちになる。

 

 

 そんな中でも、輝いていたのが主演のトム・ヒドルストン。共演者たちの力量もあり、映画が完全に崩壊することはなかった。特にトム・ヒドルストンは鍛え抜かれた体を披露したり、気品にあふれるスーツ姿を披露したりと、男の魅力を強くアピール。なるほどジェームズ・ボンドとしても十分いける、と思ってしまう。次第にこの映画が、次の「007」を意識したプロモーション映像にも見えてきた。