元気に本人も登場、『ペレ 伝説の誕生』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『ペレ 伝説の誕生

【評価】☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】ジェフ&マイケル・ジンバリスト

【主演】ケヴィン・デ・バウラ

【製作年】2016年

 


【あらすじ】

 1950年、貧しいスラム街で暮らすペレは、地元で開催されたワールドカップでブラジルが敗退し、父親が涙を流す姿を見てショックを受ける。ペレは自分がブラジルを優勝させると父親に約束した。そして1958年、17歳となったペレは、約束を果たすためワールドカップの舞台に立つ。

 


【感想】

 ペレの凄さと、ブラジル代表チームの苦悩を分かりやすく語った映画。ペレの名前しか知らなくても、十分乗っていける勢いがあった。小ぢんまりとして可愛い映画。1950年にブラジルで開催されたサッカーのワールドカップは、ブラジル国民に大きな衝撃を与えたらしい。優勝を疑わなかったブラジル国民は、まさかの敗北に誇りを打ち砕かれる。そしてブラジルのサッカーは、迷走を始めもがき続ける。

 


 映画はブラジルサッカー界の苦悩を背景にして、ペレの存在を浮かび上がらせる。父親と共に病院の清掃員をしていたペレが、プロチームにスカウトされ、ブラジル代表へと駆け上がっていく。平坦ではない道のりを、家族や友人、様々な人の愛に支えられる。もちろん卓越した個人技と努力もあり、シンプルなスポ根ドラマとして見応えがあった。結末がどうなるかは分かっていたが、それでも結構盛り上がってしまった。

 


 この映画で初めて知ったが、1950年代のブラジルサッカー界は、懸命にヨーロッパのサッカーを真似ようとして苦労していたらしい。個人技は否定され、組織でのプレーが推奨された。ブラジルも常に常勝軍団というわけではなかった。そしてブラジルがアイデンティティーを取り戻すきっかけが、きっとペレだったのだろう。たかがスポーツと言いたくなるが、瞬間的な熱量はバカにできない。今もサッカーは世界中で燃え続けている。