帰りたいけど帰れない、『僕だけがいない街』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『僕だけがいない街

【評価】☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】平川雄一朗

【主演】藤原竜也

【製作年】2016年


【あらすじ】

 売れない漫画家の藤沼悟は、不思議な特質を持っていた。それは身近で不幸な事件や事故が起こると、事件や事故の直前にタイムリープしてしまうというものだった。その度、悟は事件や事故を回避するため懸命の行動をとっていた。


【感想】

 カメレオン俳優という言葉があるが、主演の藤原竜也はその対極に立っているような俳優だと思う。ほとんどの映画で、熱く直線的な演技を見せている。予想しやすく安定感は抜群だが、同じトーンの演技を見続けていると飽きもくる。タイムマシーンもののストーリーは大好きだが、いつもの藤原竜也がハマるかどうかちょっと心配だった。


 まず期待値を上げたのは、ワーナー・ブラザースのロゴを見たとき。ワーナー・ブラザースの手掛ける邦画は、面白いものが多いような気がする。思い込みの可能性もあるが、もしかするとアメリカ仕込みの製作プログラムがあるのかも。世界で戦う巨大企業の獰猛さと狡猾さは侮れない。


 そして映画を観ながら頭に浮かんできたのは、「バック・トゥー・ザ・フューチャー」や「恋はデジャブ」「バタフライ・エフェクト」といった好きな作品。エッセンスを巧みに取り入れ、切なくミステリアスな世界を作り上げていた。子供時代のシーンは心を強く動かされるし、懐かしい気持ちにもさせられた。そして何より、人生をやり直せたなら、という甘いささやきが聞こえてくるようだった。