世界には色んな格闘技があるもんだ、『ザ・レイド』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『ザ・レイド

【評価】☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】ギャレス・エバンス

【主演】イコ・ウワイス

【製作年】2011年


【あらすじ】

 ジャカルタのスラム街に建つ高層アパートには麻薬王が住み、その住人の多くは配下の者たちだった。20人の警官隊は慎重にアパートに近付き急襲する。だがすぐに麻薬王側から激しい反撃を受け、立ち往生してしまう。隊員のラマは、劣勢に陥っても仲間を助け果敢に戦い続けた。


【感想】

 スポーツの世界では、毎年何らかの競技で世界記録が更新される。30年間世界記録が更新されなかった競技はほとんどないと思う。団体スポーツでも、競技のレベルは年を経るごとに上がっているような気がする。30年前の巨人よりきっと今の巨人の方が強いはずだし、サッカーの日本代表も30年前とはレベルが格段に違うはず。


 人間が進歩しているのか、世界の人口が増えているせいなのか、スポーツに注がれるエネルギーが高まったのかよく分からないが、多くの人が注目することでその分野のレベルが一段と高まるような気がする。多くの視線は肥料になるのだろう。そして個人の肉体を酷使するアクション映画でも、一層の磨きが掛かってきている。


 このジャンルの創始者といってもよさそうなのがブルー・リー。今もその信者は世界中にいる。そして武術を取り入れたアクション映画の地平を広げたのがジャッキー・チェン。凄さと笑いを共存させた功績は大きい。その後、ジェット・リーなどが続き、最近ではタイ映画のトニー・ジャーに驚かされたりした。


 そしてこの映画では、舞台がインドネシアのジャカルタとなっている。タイにはムエタイがあるが、インドネシアにはシラットという武術があるらしい。カンフーと踊りを、優雅に力強く混ぜ合わせた感じの動きを見せる。映画の中で特徴的だったのは、短刀を使った戦いが多かったこと。動きが細かく早く、日本のチャンバラ映画とは大分違っていた。


 ストーリーは悪の巣窟とでもいえそうな高層アパートに警官隊が突入し、悪い奴らと戦い続けるというもの。主演俳優の動きはキレ味抜群でさすがといったところ。唸りたくなったのは、やられ役のその他大勢の悪役たち。彼らのレベルが高く、映画というよりある種のショーを見ているようだった。気持ちよくスピードに酔える。ただ後半は少し息切れしたのか、ちょっと単調に陥っていた。それでも若々しさを存分に体感できる映画だった。