防衛戦は無理せず判定で勝つ、『ダークナイト ライジング』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『ダークナイト ライジング

【評価】☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】クリストファー・ノーラン

【主演】クリスチャン・ベール

【製作年】2012年


【あらすじ】

 8年前、バットマンは全ての罪を被り姿を消した。ブルースは社会から遠ざかり、屋敷の中で隠棲生活を送るようになる。しかし再びゴッサム・シティに危機が迫る。ゴッサム・シティを核で消滅させようという計画が着実に進行し、事態の深刻さに気付いたブルースは、バットマンとして悪の支配者ベインの前に立ちはだかる。


【感想】

 前作「ダークナイト」は素晴らしかった。鮮やかな黒い花が、華麗に咲き誇っているようだった。軽快なフットワークで観客を翻弄し、ヘビー級の強烈なパンチを何発をも叩き込んでくる。ダース・ベイダーの落ちたダークサイドの豊穣さと、奥行きの深さを示しているようだった。一般的なハリウッド大作とは一線を画しているヒーロー映画。


 そして今回がシリーズ3作目。「ダークナイト」が凄かっただけに、期待値も自然と上がってしまう。実際映画は、まずまずの雰囲気と面白さを維持していたと思う。ただ前作が前作だっただけに、期待値が少し高すぎたのかもしれない。「ダークナイト」ほどの華麗さや激しさはなかった。チャンピオンが落ち着いて防衛戦を戦っているようで、基本方針は無理せず前例を踏襲するというものだった。


 決してつまらない映画ではなかったが、高揚感はあまり得られない。名作といわれるレベルの映画を連発させるのは、きっと至難の業なのだろう。しかも強烈なイメージが作られた後となっては、なかなか冒険することが出来なさそう。無難にまとめるだけでも大変な作業に違いない。2時間45分飽きさせないだけでも、かなりの力量を見せていたのかも。


 この映画での新たな見所の1つは、“キャット・ウーマン”の登場だった。アン・ハサウェイが演じるキャラクターは魅力的だったが、どうしても峰不二子と被ってしまう。監督のクリストファー・ノーランが「ルパン三世」のファンなのかどうかは知らないが、アン・ハサウェイの口から「悪いわね、ルパン」という言葉が聞こえてきそうだった。