海上保安庁と相思相愛、『BRAVE HEARTS 海猿』 | 平平凡凡映画評

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映画を観ての感想です。

【タイトル】『BRAVE HEARTS 海猿

【評価】☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】羽住英一郎

【主演】伊藤英明

【製作年】2012年


【あらすじ】

 海上保安庁の潜水士・仙崎は、海難救助のエキスパートである特殊救難隊に所属し、危険と隣り合わせの任務に就いていた。そしてジャンボ旅客機が飛行中にエンジントラブルを起こし、東京湾に緊急着水する事態に陥る。仙崎たち特殊救難隊は、乗客と乗務員を20分で救出するため万全の態勢で待機する。


【感想】

 前作「THE LASTMESSAGE」は酷かった。ほとんど無意味にしか思えなかった3D映像に、チマチマとして不自然なストーリー、そしてセット感がありありと滲む救出現場のシーン。素早く金を稼いでしまおうという魂胆が透けてしまっていた。更に突っ込めば“ラストメッセージ”というサブタイトルが、詐欺に近いような気もした。


 ただ興行的には大成功を収めたようで、当然の一手として今回の4作目が製作された。勝てるときにはしっかりと勝っておく、というのが何事においても鉄則となるのだろう。「海猿」という金鉱はまだまだ掘れると踏んでいるに違いない。一旦成功を収めると、いい流れがしばらく続いてしまうようだ。


 今回の「海猿4」は、奇策を採らずに王道を歩んでいた。オープニングの映像といい、音楽といい前のめりに感動を取りにいっている。海上保安庁を不安にさせるくらいに持ち上げているのも、特徴といえば特徴だろう。海上保安庁に不祥事が発生したときには、「海猿」も無傷ではいられないかも。


 ストーリーは航空機の事故を絡め、後半に大きな山場を持ってきている。「アルマゲドン」系の映画が好きなら、上手く乗っかっていけるはず。タイムリミットの設定の仕方や、恋の仕掛けもまずまず機能していて、前作のような無様さはなかった。全てが予定通りに調和していくので、安心してハラハラドキドキできる。


 ワンパターンだと非難もされそうだが、単純明快に堂々と物語を進めるスタイルは勝者の行進のようでもあった。分かり易い展開は毒にもなるが、同時に大きな武器でもある。このスタイルでどこまで行けるのかは分からないが、こうなったら完全に失速し面白みの一滴も出なくなるまで続けてほしい。果たして次回作はあるのか。力強いマンネリを観てみたい気もする。