ある意味で未来を見ている気もしてくる、『スープ 生まれ変わりの物語』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『スープ 生まれ変わりの物語

【評価】☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】大塚祐吉

【主演】生瀬勝久

【製作年】2012年


【あらすじ】

 妻に逃げられ娘と二人で暮らす渋谷だが、娘からは疎まれ仕事もまるで上手くいかない。辛く冴えない日々が続くが、ある日上司の女性と共に雷に打たれ死んでしまう。そして渋谷は生まれ変わりを待つ場所で目覚めた。娘に言い残した言葉のある渋谷は、次第に前世の記憶を失わずに生まれ変わりたいと考えるようになる。


【感想】

 喜劇俳優の印象が強い生瀬勝久が主演している映画。当然、喜劇の要素が強く打ち出されているのかと思っていたが、予想していたほど笑いを狙ってはいなかった。明らかに感動の方向に重きが置かれていた。シリアスなシーンも多く、重苦しさも漂ったりする。軽さをイメージして観に行くと、消化不良を起こす可能性もありそう。


 映画は3つの場面で構成されている。前世と、あの世と、来世。あの世とは生まれ変わりを待つ場所のことで、前世の記憶を持ちながら来世に行くまでの期間を思い思いに過ごすことができる。ファンタジックな設定ではあるが、天国っぽさや地獄っぽさはまるでない。ごくごく普通の日常生活の延長線上にある世界だった。


 話しの肝は、娘に伝えたいことのある主人公が前世の記憶を持ったまま来世に行こうとすること。健気な頑張りにホロリとする人もいるのかもしれない。ただ生真面目さの漂う内容なので、コツコツ進んでいく展開に少しダルさを感じてしまった。記憶について考えれば、あれこれ不思議なことも盛りだくさんだが、そういうことを深く突っつく類の映画ではなかった。


 一番の見所は、10代の若手女優が切磋琢磨している演技力。出てくる若手、出てくる若手が上手い。それぞれに近い将来、主役を張れる女優になりそう。活躍必至の女優図鑑を眺めているようだった。中でも突き抜けた演技を見せていた広瀬アリスは貫禄十分。あまりに堂に入っていたので思わず笑ってしまった。これからが楽しみ。