日本風味のヴァンパイア、『ラスト・ブラッド』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『ラスト・ブラッド

【評価】☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】クリス・ナオン

【主演】チョン・ジヒョン、小雪

【製作年】2009年


【あらすじ】

 オニというヴァンパイア種族の頭領オニンゲンに父親を殺されたサヤは、数百年の時を超えて生き続け復讐を遂げることを自らの使命としていた。サヤをサポートするアメリカの政府機関は、オニ関する情報を収集し遂にオニンゲンの居場所を特定する。サヤは行く手を阻もうとするオニたちを次々と斬り倒しながら、最後の戦いの場へと向かう。


【感想】

 日本を舞台にしたヴァンパイア映画。オニをヴァンパイアの一種としている。ただし背景に関わる説明はあまりない。ほとんど行き当たりばったりの話しに終始し、欧米を舞台としたヴァンパイア映画のような重厚な雰囲気はなかった。なかなか日本の風土と、ヨーロッパ生まれのドラキュラ伝説は馴染まないのかもしれない。


 ヴァンパイア映画は毎年のように公開され、話題作となっているものも多い。最近だと「トワイライト」が有名だったりするが、日本国内の興行成績はアメリカほどの盛り上がりはみせなかったよう。少し前だと「アンダーワールド」、更にその前だと「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」やコッポラの「ドラキュラ」が印象に残っている。


 今回の「ラスト・ブラッド」は日本を舞台に選び、鬼をヴァンパイアとしたことで一風変わった味付けにはなっていた。もちろん欧米資本での製作となっているので、会話はほとんど英語であり、また違和感ありありの日本が登場してきたりする。街並やそこに漂う雰囲気は、どこか「ブレードランナー」のそれに似ていた。日本をベースとした無国籍感がたっぷりとある。


 ストーリーは至って単純な復習劇。主人公のサヤが、オニたちを日本刀でばっさばっさと斬りまくる。そして当然のように忍者の登場もあったりする。外国人は忍者の何が好きなのだろう。全体の印象は、テレビゲームといった感じ。大きなスクリーンで、腕の達者なゲーム・プレイヤーの技を見ているようだった。巧みに難関を突破していく。


 派手なワイヤーアクションがあり、それなりの爽快感を得ることはできたが、最後の見せ場は意外なほどあっさりしていた。ヴァンパイアの頭領役で登場してくるのが小雪。底知れぬパワーを秘めているという設定だったが、この最終ステージがイマイチ盛り上がらない。もっと工夫のしようはあったのかも。ゲームと同様、アクションも徐々に難易度が上がらないと尻切れトンボのような印象を受けてしまう。