鏡と映画の相性は良さそう、『ミラーズ』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『ミラーズ

【評価】☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】アレクサンドル・アジャ

【主演】キーファー・サザーランド

【製作年】2008年


【あらすじ】

 元刑事のベンは夜警の仕事に就いた。火災で廃墟となったデパートを巡回するだけの簡単な仕事だったが、そこにある巨大な鏡を覗き込んだことで思わぬ悲劇に見舞われる。その鏡は邪悪な意志を持ち、ベンを非現実な世界へと陥れた。そしてベンにあるメッセージを送りつけ、過去の謎を解くように迫ってくる。


【感想】

 普段何気なく使っている鏡。私も毎朝ヒゲを剃るために、鏡に映る自分の顔を見る羽目になっている。わざわざじっくりと見るまでもない顔なので、そそくさと覗き込んで仕舞いにしているが、少し考えてみると鏡という存在はなかなか興味深いものだったりする。鏡に映る世界は、こちらの世界と対称をつくり微妙なところで違っている。厳密に言えば光には速度があるので、鏡は過去の世界を映し出してもいる。


 また感覚的にも、鏡は特殊なもののように思えてくる。鏡が異界の入り口にみえたり、現実の世界では見えないものを映し出したり、特別な力を宿しているようにも見える。確かに昔から魔除けの道具として使われていたり、三種の神器の一つに数えられていたりするだけのことはあると思う。


 この映画では鏡が主役となって暴れまわり、超常現象連発のオカルトホラーとなっている。どこにでもありふれている鏡から悪意や呪いが溢れ出てくる。日頃からじっくりと鏡を見つめる人にとっては、恐さがあるのかもしれない。ただ、ストーリー自体は至って普通の形になっている。オーソドックスなホラーといえそう。


 そして、この映画が勝負しているのは残忍な映像だった。かなりグロテスクなシーンが次々と現れ、上映可能なホラーの限界を試しているようだった。心臓が弱い人は避けた方がよさそう。また主演のキーファー・サザーランドは、「24」と同じテンションで突き進んでいる。ジャック・バウアーの面影が存分に楽しめそう。後半はオカルトファンへのサービスなのか、「エクソシスト」を思わせるシーンも出てきた。あれこれやってくれる映画になっている。