平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『アフレイド』

【評価】☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】クリス・ワイツ

【主演】ジョン・チョウ

 

 

【あらすじ】

 広告代理店に勤めるカーティスは、取引先の勧めで家庭用AI機器を使うことになった。妻や子供たちはその性能の凄さに夢中となるが、カーティスは次第に不安を覚えるようになる。

 

 

【感想】

 定番といってもいい人工知能を扱った映画。10年前の映画と比べると、そのリアリティーは着実に増している。AIが人間の能力を凌駕していくというストーリーは驚きはないが、もはや傍観するしかないという境地にもいたる。「2001年宇宙の旅」以降、人工知能を取り上げた映画を並べてみると、人間が人工知能に対して抱く思いの変遷が分かるかも。信頼と疑いの波を作っているようでもあり、夫婦関係に似ている気もしてくるが、親子関係と考えるのがよさそう。親だと思っていたのが、気づけば子や孫となっている。

【タイトル】『フォックス・ハント』

【評価】☆☆(☆5つが最高)

【監督】レオン・チャン

【主演】トニー・レオン

 

 

【あらすじ】

 巨額金融詐欺事件の首謀者を追う捜査チームは、中国から犯人が潜伏するフランスへと向かった。そしてフランス警察の協力を得て、犯人の居場所を突き止めようとする。

 

 

【感想】

 どうしても国威発動という言葉が浮かんできてしまう映画だった。中国警察の健全さや頑張りを示そうとする内容。トニー・レオンが知的で冷酷な犯人役で登場し、現代の詐欺事件を題材に最新のテクノロジーを見せている。ただ映画のメッセージは、国家の上層部に向かっているようだった。役人の作る映画はこんな感じなのかも。

【タイトル】『世界地図』

【評価】☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】岩井俊二

【主演】ワン・ペイシー、マ・イルイ

 

 

【あらすじ】

 ある日、ハイフンは同級生の女子生徒ランシャが家に泊まることになったと知らされ驚く。そして二人は世界地図を作ったり、ダーツをしたりと少し気まずい時間を過ごした。

 

 

【感想】

 テーマは「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」と同じく、子供と大人の境界線を描いている。大人の側に足を踏み入れている少女に対して、少年はカバン持ちにしかなれない。ただ映画の洗練の度合いは全く異なり、岩井俊二がこの30年間積み上げてきたものの凄みを感じることができた。そして中国人の日常風景を的確に捉え、ありふれた日常の光景を岩井俊二の世界に織り込んでいた。

【タイトル】『ラストマン FIRST LOVE』

【評価】☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】平野俊一

【主演】福山雅治、大泉洋

 

 

【あらすじ】

 FBI捜査官の皆実と刑事の護道は、ロシアから亡命しようとしている母娘を保護する任務に就いた。しかしテロ集団から執拗に攻撃され窮地に陥ってしまう。

 

 

【感想】

 FBIやCIAといった言葉が飛び交い、日本の路上で銃撃戦が繰り広げられるので、リアリティーはほとんど感じることができなかった。それでもこの緩い型の中で主演二人が楽しそうに存在感を示し、時には寸劇を披露している。不思議と心の和む映画だった。共演者たちもスクリーンの中で、存分に遊んでいるように見えた。肩肘張った映画とは違い、娯楽の王道を悠々と進むゆとりが心地よかった。成功者のあるべき姿を見ていたのかも。

【タイトル】『世界一不幸なお針子の人生最悪な1日』

【評価】☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】フレディ・マクドナルド

【主演】イブ・コノリー

 

 

【あらすじ】

 スイスの小さな村で母から受け継いだ裁縫店を営むバーバラは、仕事の途中で大金を手に入れる機会に巡り合い、難しい選択を迫られる。

 

 

【感想】

 スイスの田舎を舞台にした映画だが、使われている言葉は英語だった。主人公の女性が路上で大金を手に入れるチャンスを手に入れるが、それは毒饅頭のようなものだった。田舎町でのシュールな展開と、主人公の見せ裁縫の技量が妙な高揚感を生んでいた。ホームランのような爽快さはなかったが、センスのよさと渋さありちょっとクセになる。経済的な困窮は不幸を招き、映画としての題材となっていく。そしてこういう映画が日本で公開されることが嬉しくもある。

【タイトル】『ビューティフル・ジャーニー』

【評価】☆☆(☆5つが最高)

【監督】コゴナダ

【主演】コリン・ファレル、マーゴット・ロビー

 

 

【あらすじ】

 レンタカーを借りる羽目になったデビッドはサラという女性と巡り合う。そして二人は、不思議なカーナビに導かれて思いもしない場所へと向かっていった。

 

 

【感想】

 どこでもドアが出てくる映画だったので、タイムマシーンものの洒落た展開やトリッキーな話しがあるのかと思っていた。しかし映画はストレートな内容で、過去のわだかまりや後悔を解きほぐしていくというもの。シュールな設定は舞台劇に通ずるものがあり、出演者の演技力の高さを見せるものになっていた。ただ力んだ内容なので、ストレートがちょっとすっぽ抜けた印象が強かった。生真面目にグイグイと迫られると、さすがに少し引いてしまう。どちらかといえば覚悟をもって舞台劇として観るべき類の内容だった。

【タイトル】『アバター ファイヤー・アンド・アッシュ』

【評価】☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】ジェームズ・キャメロン

【主演】サム・ワーシントン

 

 

【あらすじ】

 惑星パンドラの先住民として生きることを決めた元海兵隊員のジェイクは、家族と共に海の民の集落に身を寄せていた。だが再び、パンドラを植民地化しようとする人間との戦いに身を置くことになる。

 

 

【感想】

 世界観は相変わらず圧倒的で、映像はため息が出るほど美しかった。多くのクリエーターが参加しながらも、統一感のある色彩や造形が続いている。映画館が美術館になったよう。そして前作では少し滞っていたストーリーも、今回は滑らかに回転していた。3時間超の上映時間を乗り切る波を生み出していたと思う。宿敵の大佐がいい仕事をしていた。スピリチュアルや環境問題に傾倒しているが、このくらい傾かないと成り立たない世界なのだろう。ただ、そろそろ幕を引いてもよさそう。きっと1作目のような驚異にはもう出会えない。

【タイトル】『シャドウズ・エッジ』

【評価】☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】ラリー・ヤン

【主演】ジャッキー・チェン

 

 

【あらすじ】

 マカオ警察はサイバー犯罪集団に翻弄され、何の手掛かりも掴めずにいた。そこで警察が頼ったのは引退した元刑事のホワンだった。ホワンは伝説的な刑事で、卓越した捜査手法をいくつも身に着けていた。

 

 

【感想】

 ジャッキー・チェンの使い方が上手くいいダシになっていた。役柄は引退した元刑事で、サイバー犯罪に対してアナログの捜査手法で対抗するというもの。出ずっぱりではないが要所要所で存在感を示し、らしさのあるいつものアクションを披露していた。往年の香港映画の暗い雰囲気とサイバー犯罪が結び付きもバランスがよく、イケメン俳優の使い方もなかなかだった。後半、話しがちょっとくどくなるが、それでも観客の見たいジャッキー・チェンを見せてくれていた。

【タイトル】『エディントンへようこそ』

【評価】☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】アリ・アスター

【主演】ホアキン・フェニックス

 

 

【あらすじ】

 2020年、アメリカの田舎町エディントンで保安官のジョーは、市長とマスクの着用を巡って言い争いをする。そして怒りの収まらないジョーは、SNSで市長選への立候補を宣言した。

 

 

【感想】

 アメリカの今を伝えるような映画だった。片田舎の町でマスク着用の言い争いが、人種問題や陰謀論などに繋がり収拾がつかなくなっていく。そこに個人の思惑や利害が絡み、どこかシュールで滑稽な世界が浮き上がっていた。どういう結末に落ち着くのかと思っていたが、最後は銃による乱射劇。話しをきれいにまとめるつもりなど端からなかったのかもしれない。アメリの過剰さに凄さを感じてしまった。

【タイトル】『殺し屋のプロット』

【評価】☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督・主演】マイケル・キートン

 

 

【あらすじ】

 殺し屋稼業を続けてきたノックスだが、記憶を急速に失う病気にかかり引退を決意する。だが長年疎遠だった息子が血まみれの姿で現れ助けを求めてきたことで、ノックスはある決断をした。

 

 

【感想】

 深夜に寂れた劇場で観たくなるような映画だった。主人公は老齢で孤独な殺し屋。急速に記憶を失っていく中で、身に着けた技量を頼りにある目的を遂げようと懸命に踏ん張る。仄暗いハードボイルドの世界で、愚直なダンディズムを見せてくれる。哀しさとささやかな希望が描かれ、最近では珍しい手作り感のある映画だった。そしてマイケル・キートンとアル・パチーノが、自らの老いを楽しんでいるのが微笑ましくもあった。