平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『急に具合が悪くなる』

【評価】☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】濱口竜介

【主演】ビルジニー・エフィラ、岡本多緒

 

 

【あらすじ】

 パリ近郊の介護施設で働くマリーは、日本人演出家の真理と出会い意気投合する。二人は夜を徹して語り合うが、真理は末期のガンを患っていた。

 

 

【感想】

 舞台劇のシーンでは監督の非凡さを示していたと思う。難易度の高い題材を、短時間に手際よく料理していた。映画はこれでもかというくらい対話が繰り返され、言葉の熱量で物語を膨らませていく。様々なテーマを取り上げ、解説し解釈し次々と意味を与えていた。たださすがに196分という上映時間は長すぎだった。過剰な言葉や意味を突き付けられると、空白や無為が少し恋しくなる。黙って生きて黙って死ぬことは難しいのかも。

【タイトル】『スクリーム7』

【評価】☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】ケビン・ウィリアムソン

【主演】ネープ・キャンベル

 

 

【あらすじ】

 数々の惨劇を生き延びてきたシドニーは、家族との平穏な暮らしを手に入れていた。しかし再び殺人鬼の魔の手がシドニーと家族に向けられる。

 

 

【感想】

 1作目が30年前に公開されたホラーシリーズ。ホラー映画の作法や文法に則り、オタクを刺激するようなアイテムが多く揃っている。今回は1作目の主人公が復帰し、セルフパロディをふんだんに盛り込まれていた。心から楽しみたければ、過去の作品をしっかり観る必要がありそう。斬新さよりも型にはまったスタイルを重視し、どこか時代劇に通じる安定化や安心感を武器にしているようだった。

【タイトル】『国牢城』

【評価】☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】黒沢清

【主演】本木雅弘、菅田将暉

 

 

【あらすじ】

 信長に反旗を翻した荒木村重は籠城を決意し、援軍の到着を待つ戦略をとった。そこに信長の使者として黒田官兵衛がやってくるが、村重は官兵衛を地下牢につなぐことにする。

 

 

【感想】

 映画が原作小説を思い出すために復習教材だった。観ているとすっかり忘れてエピソードが蘇ってくる。どこか箇条書きのストーリーのようでもあり、高揚感はあまり得られなかった。何も知らずに観ていたらもう少し違った印象を得たのかも。俳優陣は豪華で活舌のいいセリフ回しを披露していたが、舞台劇のようでもあり見ていて少し疲れる波長だった。アクションよりも謎解きに重心を置いたせいもあるが、勢いやうねりをあまり感じられず、新しい何かを見たという気持ちにはなれなかった。

【タイトル】『君は映画』

【評価】☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】上田誠

【主演】伊藤万理華、池之脇海

 

 

【あらすじ】

 劇作家のマドカは下北沢の映画館に入った。スクリーンではバンドマンのカズマを主人公にした物語が始まったが、マドカとカズマはスクリーン越しに向かい合い会話することができた。二人の世界はそれぞれ映画として上映されていたのだった。

 

 

【感想】

 よくこういうストーリーを思いつき完結させることができるな、と感心してしまう内容で、監督のらしさを発揮していたと思う。主人公に下北沢の劇作家と、三茶のバンドマンを据えていることも洒落ていた。上映中の2つの世界が繋がり、意表を突く終盤が用意されていた。ただ勢いと鮮度は保てず失速感気味に。グダグダ感が味といえば味で、シュールなストーリーと手作り感は堪能できた。

【タイトル】『ユマカウンティの行き止まり』

【評価】☆☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】フランシス・ガルッピ

【主演】ジム・カミングス

 

 

【あらすじ】

 ガソリン給油トラックの到着をまつ客たちが集まる砂漠のダイナー。だがその中に銀行強盗がいて、その存在に一人のセールスマンが気づいてしまう。

 

 

【感想】

 こういう映画が好きで、タランティーノやコーエン兄弟の後継者に出会えた気がする。舞台は砂漠にあるガソリンスタンドのダイナー、時代は1970年代でアメリカをタップリと感じさせてくれるシチュエーション。給油トラックを待つ客たちがやってくるが、その中に逃走中の銀行強盗が紛れ込んでいた。状況設定が秀逸で、いつ沸点が訪れるのか目が離せない。それぞれの思惑や正義が絡まり合い、切ないくらいの滑稽さが浮かび上がってくる。悲劇と喜劇の境界線が曖昧で、悲惨なシーンにも関わらず観客から笑いが漏れていた。そして何か哀しくなるエンディング。選択肢があったのかつい考えてしまう。

【タイトル】『メモリィズ』

【評価】☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】坂西未郁

【主演】柄本佑

 

 

【あらすじ】

 骨折した義父をサポートするため九州へやって来た雄太は、田舎町の穏やかな時間に身を任せ義父との微妙な関係を紡いでいく。

 

 

【感想】

 九州でしばらく暮らすことになった主人公と、東京で暮らす妻子の日常風景を淡々と綴っていく映画。監督の勇気を称えたくなる内容で、劇的なものは何もなくひたすら日々の暮らしが映し出されていた。それでも日常風景から、家族の尊さや日々新たなりといった気持ちが湧き上がってくる。ぎこちない主人公と義父の会話、毎日の散歩道での思わぬ発見。ささやかな諸行無常がじんわりと広がり、日本映画らしい映画になっていたと思う。

【タイトル】『マイケル』

【評価】☆☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】アントワン・フークア

【主演】ジャファー・ジャクソン

 

 

【あらすじ】

 幼い頃から厳格な父親に音楽を叩き込まれたマイケルは、兄たちと共に“ジャクソン5”を結成しヒット曲を連発する。だがその後、トップスターとして苦悩に満ちた人生を歩むことになる。

 

 

【感想】

 “ボヘミアン・ラプソディ”の続編といった感じの出来栄え。マイケル・ジャクソンの人生を上手く切り取り、多くの楽曲を聴かせながら物語を進めていく。マイケルを神格化することなく、またその奇行をあげつらうこともなく、優しい視点でバランスを取っていた。そしてライブシーンの見せ方も巧く、間近で見ているような臨場感を味わえる。特にラストの2曲は圧倒的で、圧巻のパフォーマンスだった。マイケル・ジャクソンが音楽とダンスのギアを一段上げた功績を自然と称えたくなる。

【タイトル】『ネバー・アフター・ダーク』

【評価】☆☆(☆5つが最高)

【監督】デイブ・ボイル

【主演】穂志もえか

 

 

【あらすじ】

 霊媒師の愛里は、仕事で山の中の洋館を訪れる。依頼人であるオーナーは、家の中で何度も男の幽霊を目撃したという。愛里は不穏なものを感じながらも、いつも通り仕事をしようとした。

 

 

【感想】

 オープニングの映像にキレがなく、期待値が下がっていった。映画も第一印象が大事。ここでしくじると、なかなか取り戻せない。逆に言うと、オープニングやバシッとがキマると良い波が生まれてくる。この映画は主演女優が頑張っていたものの、ストーリーが弱くホラーやサスペンスに必須の驚きに乏しかった。競争の激しいジャンルなので、抜け出すのは容易ではない。

【タイトル】『FUJIKO』

【評価】☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】木村太一

【主演】片山友希

 

 

【あらすじ】

 1977年静岡、娘を出産した富士子だが、義母と実母のバトルの結果離婚が成立してしまう。その後、シングルマザーとして怒涛の日々が始まった。

 

 

【感想】

 ロックを感じさせてくれる映画。幼い娘を抱えた主人公が、目の前に現れる壁を全力で突き破っていく。泣いて笑って怒って笑う。無茶な方向に走っても許容されるのがロック。妥協や現状維持を拒み、剥き出しの疾走感を生み出していた。シリアスな方向に流れることもなく、滑稽さと遊び心があった。そして脇を固める多彩な俳優陣が、主人公を優しく包み込んでいく。

【タイトル】『シラート』

【評価】☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】オリベル・ラシェ

【主演】セルジ・ロペス

 

 

【あらすじ】

 行方不明の娘を探すルイスは、息子を連れて砂漠のレイブ会場を歩き回っていた。そして娘を見つける可能性に賭け、次の会場へ向かう2台のトラックを追いかけた。

 

 

【感想】

 物凄い場所へ連れて行かれる映画だった。娘を探し出すというミステリーめいたオープニングから、砂漠を横断するロードムービーに移り変わり、後半は神の怒りを目の当たりにする。砂漠の神は容赦がなく、冷徹に厳罰を下す。レイブ音楽を背景に、夜の砂漠や砂煙の中を進む車の姿は異界や魔界に入り込んでいくようだった。無知な人間が無力を知り、無心となる。