こんばんは。

いまあつです。

 

今回は、琵琶湖周辺の降雪分布の特徴について説明します。

 

通常、日本海側気候と太平洋側気候の境界には高い山脈(脊梁山脈)があります。なぜなら、日本海から流入した雪雲は高い山脈によって止められ、太平洋側には進めないからです。

しかし、琵琶湖周辺では日本海側気候と太平洋側気候の境界が平野部にあり、両者の気候が山脈によって区切られているわけではありません。琵琶湖の周りは1つの大きな平野が広がっていますが、降雪量は場所によって大きく異なります。

 

・積雪域と無雪域の境界がわかる写真はこちら

 

 

 

 

 

東海道新幹線や東海道本線で京都→米原を移動するとき、平野部を走っているにもかかわらず突然雪景色に変わることがあります。

 

突然雪景色に変わる動画はこちら(この動画は私が撮影しました)

【無雪から豪雪へ】近江八幡→米原 前面展望 - YouTube

 

 

 

 

以下では、琵琶湖周辺では同じ平野部でも降雪量が大きく異なる理由を説明します。

 

以下の図は琵琶湖周辺の標高の分布です(地理院地図から引用)。

この分布図を拡大したものが下の図です。

 

 

標高の色分けはこちら

 

琵琶湖は周りを山に囲まれています。しかし、琵琶湖の北側や北西側にある山は標高が低いため、日本海側から流入する雪雲を完全に止めることができません。特に、地図の中で紫色の○を付けた場所付近は標高500m以上の山地がないため、雪雲がどんどん通っていきます。

 

琵琶湖周辺の標高を考慮して、風向別に雪の降りやすさを説明します。

 

風向が北の場合、(琵琶湖の北にある山は低いため)日本海からの雪雲が琵琶湖の南部まで到達します。

つまり、琵琶湖周辺の広い範囲で雪が降ります。

 

風向が北西の場合、琵琶湖の北側や北西側にある標高の低い場所から流入した雪雲は南東方向に進みます。そのため、琵琶湖の北部や北東部で雪がたくさん降ります。しかし、雪雲は比良山地に止められるため、比良山地の風下にあたる琵琶湖の南東部では雪が降りにくくなります。

 

西風の場合、琵琶湖の最北部では日本海から雪雲が流入しますが、その他の地域では(雪雲の移動方向で見て)海から遠い上に、西側の山地に止められるので雪は降りにくくなります。

 

 

つまり、

・琵琶湖の北西側にある山地は標高が低いため、雪雲がどんどん流入する。そのため、その風下ではたくさんの雪が降る。

・琵琶湖の西側にある比良山地は標高が高いため、雪雲の流入をある程度止めることができる。そのため、その風下では雪が降りにくい。

ということです。そして、雪の降りやすい場所と降りにくい場所は風向によって変わり、多雪域と少雪域の境界が高い山脈で区切られていないということです。

 

具体例を言えば、側面に穴を開けた箱の外側から箱の側面に向かってシャワーの水を吹きかけたとき、箱の中でよく濡れる場所とほとんど濡れない場所ができますが、その境界は壁によって区切られているわけではない、ということです。

 

以上から、琵琶湖周辺では同じ平野部であっても場所によって雪の降りやすさが異なるのです。