『ホフマニアダ』/『ニューヨーク公共図書館』鑑賞 | マツガサキアサミ ~ A.M./p.m. 

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日々触れたものを綴って少しづつ更新中。

細々ながらも今年は毎月続けて書こうと思っていたのに…7月になっちゃったポーン

でも書くのは昨日の話だからギリギリ!・・・ってことにはならないか滝汗

毎日「あれ書きたい!」って思うことはあって心の中では綴っているのですが…実際に書くと絶対に長くなるってわかっているので、早い時間から書き始められる日じゃないと完結しないんですよねえーん

 

とうことで改めまして。折り返しの7月ですね。

残りの半年に向けて良いスタートを切るために、これまでの半年も「良かったね!」と言えるような振り返りをしました。

ワクワクする年だった!と最後まで言い続けられるように、積み上げてゆこうと思います。

 

さて昨日は。今池のシネマテークでロシアのパペットアニメ『ホフマニアダ ホフマンの物語』とフレデリック・ワイズマン監督の長編ドキュメンタリー『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』の2本を鑑賞。

以下備忘録です。死ぬほどネタバレします。これからご覧になる方はここでサヨナラして下さいませ。

 

 

 

これまで観てきて好きな映画は数あれど、もう一度観たいのはリンゼイ・ケンプ・カンパニーの『真夏の夜の夢』と『ホフマン物語』。

『ホフマニアダ』はそれらに通じる芸術的な美しさ!

特に同じホフマンが題材の『ホフマン物語』にはリンクする所も多分にあって、食い入るように堪能。

『チェブラーシカ』を制作したスタジオが15年もかけて紡ぎあげたそうで。

メイキングの動画では「これは、狂気か!芸術か!?」ってテロップが入るけれど、本当にね、狂ってないと撮れないと思う、これ滝汗
 

www.hoffmaniada.net

リンクを開くと、いろいろな動画が見られます。「はぁーーっ!」ってため息の連続になります。

こんな作品を世に送り出してくれてありがとうございます!と心から言いたい。

衣装や背景、パペットの滑らかで細かい動き・・・細部に至って凄まじい完成度で、何度でも観たい!!!!

映画館の暗がりの中で見るのが、絶対に一番素敵だと思います。

幻想的な作品が好きな方、必見です!今週金曜日までの上映だそうです。

つまるところ「私」という人間はこういう世界観で構成されているんだなぁ・・・血が騒いでたまりませんでした。

 

そしてもう一本の『ニューヨーク公共図書館』、これが思わずツイートするほど長かった、ドキュメンタリーで205分!

でも観終わった時は、よくこの時間にまとめたと言うべきなのかも、と思う中身の濃さでした。

 

 

 

図書館と言っても1つではなくて92の分館があると初めて知りました。

地区ごとに大小はあれど基本はどこも同じのが92…ではなくて、館によって果たす役割も特色も雰囲気も全く違っていることにビックリ。

図書館は大好きな場所ではありますが、私にとっては本を借りに行くところ、それ以上でも以下でもありません。

が。ニューヨーク公共図書館ってなんなの!図書館の予算なのに一番割くのは「親子に読み書きを教えるための予算」って…本の購入じゃないの?

小さな行政府と言っても過言ではない働きぶり、単なる「知の殿堂」ではないんですね。

市政から取りこぼされる市民を、ネット難民になりかねない弱者を救済していく、人が集まり、寄り添いながら生きていくための場所。

パソコンのレンタルまであるのには(しかも半年とか)驚きました。

 

図書館と言っても書庫があるだけではなくて、音楽を聴きにくる人あり、踊る人あり、点字を習う人あり、アートの源に触れる人あり、著名なゲストとのトークセッションやシンポジウムを開くホールや聴覚障害者のために本を読んで録音するスタジオもあり、子供達はロボットのプログラミングを習い、黒人はコミュニティで歴史や情報を共有する・・・利用者だけでなく、図書館からは連想することのないコンベアの前に立って働き日々の糧を得る人もいる、多様な生活の場。

 

スーツ姿でディスカッションを重ねる図書館員たちの話す内容は、もはや行政に関わる政治家としか思えない戦略の数々、下手なビジネス書を読むよりもよっぽどタメになりそう。

というか、自分の地盤死守しか考えない政治家に見て欲しい。

図書館なのでビジネスではないけれど集客はやはり大きな課題な訳で、にしてもそういうことをどんだけ話すんだよこの人達!と思うほど何度も何度もさし挟まれるミーティングの光景には、図書館より深刻に考えなければならない筈の我々のような劇団や商業施設が学ぶ所も大きいと思いました。

 

このドキュメンタリー、ナレーションやテロップが一切ありません。

取材される図書館が変わるとその時だけ名称が出ますが、あとは全くなし。これが誰で、どんな部署で、何をしている人か、まったくわからない。

今がいつなのか時間を示すものもありませんが、映し出されるニューヨークの街並みが朝と夜の入れ替わり、日々の移り変わりを知らせてくれます。

何の変哲もない風景と、その風景の中を動く一般市民の日常を伝えるファッションや動く様や表情から感じるリアルさに、自分もニューヨークにいて、聴衆の一人になって講演を聴いているような気分になります。

けたたましく走り去る消防車のサイレンが尾をひいて図書館の中でも遠く響き、図書館の中で開かれているダンス教室の音楽や名前を呼ぶ声が建物の外に漏れて聴こえる、それは図書館が街と共に生きて干渉しあっていることの象徴のように思えました。
私は一生足を踏み入れることのない場所。それを垣間見られて良かったです。