昨年10月に公演予定だったものが、カンパニー内で新型コロナウィルスの感染者が発生したため、延期となって、ようやく今般公演の運びとなったものです。
昨年の時点でも、感染予防には万全を期して対応の見本みたいな対策をとっていました。ただ、演目として出演者が多いし、関わるスタッフも多いため、対策を万全にしていてもどこかで、ウィルスに付け込まれることはあったということでした。
そして今回、もう完璧ともいえるウィルス対策をとったため、再度の公演開催の運びとなったものです。
公演を仕切りなおしたため、キャスティングの変更、および演出の変更がありました。
元々、この演目については、2013年に一度拝見していましたが、やはり沖縄戦の悲劇という印象が強すぎて、演目自体の印象を思いっきり暗い方向として記憶したため、それ以後の再演については、お誘いがあっても、すべてお断りしていました。
今回は、上原婦長役に平川めぐみさんがご出演となったため、彼女が出演するなら観に行かないという選択がないということで、観に行きました。
まあ、それでも悲惨な場面が多く、心臓に悪い舞台ですね。一列前の席に座っていらした小学生のお子さんがとても怖がっていました。そういう意味では、12歳以下には適当ではない演目なのかもしれません。怖い場面が続くと、本来見てほしい愛や希望といった主題が見えなくなってしまいます。
上原婦長さん、どんなときにも希望をもって生きていく姿が印象に残ります。亡くなってからでも紗幕の裏(舞台の作り方のことです)から主人公のキミに希望を与える姿は、この舞台を象徴するものでした。
暗い中で、三人組のコミカルな演技が、一点の清涼剤になっていました。重い重いストーリーの中で、ちょっと横にそれて、コミカルな歌とダンス、これで、落ち着けました。井坂茜さんこの演目が大好きといつもおっしゃっていますが、納得できたような気がします。日曜日の昼公演の時の学年総代の卒業式の答辞の小道具が別班のものだというのが、手触りで分かったとか、この演目への集中力はすごいものがあります。
日本国内での戦争経験者がほとんどいない中で、この演目を続けていくのはとても意義のあることですが、観たことのない世界を舞台で創造し、作っていくのは、ますますむつかしくなっていくでしょうね。
経営継続がとてもむつかしい状況にあったミュージカル座が、コロナ禍からの再起に、この演目を選んだのは、公演の延期からの復活というだけではなく、舞台を永遠に続けていくぞという決意の表れかもしれません。
半ば、食わず嫌いになっていた、この演目を久しぶりに観て、すがすがしい印象を持つことができたのはよかったです。
ただし、何度も言うようですが、小さいお子様はお連れにならない方がいいように思います。これで、舞台嫌いになってしまったら悲しいです。
あと、鉄道ネタです。この劇場の最寄り駅「与野本町」ですが、ここから東京に向かうときは、埼京線で向かうしかないと思っていましたが、ちょっと遠回りにみえる、大宮経由で東京に向かうのが、結果的に早くなることがあるということが、乗換案内を検索していて解りました。運賃も経路不問の近距離近郊区間ですので、埼京線軽油と同額です。
新幹線を模したエスカレータの意匠
駅前の様子