オールラウンドな獣医なんか いないっすよ。 | いまもとしげきのブログ

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第66回 全日本社会人ボクシング選手権 ヘビー級 優勝
平成26年度 神戸市スポーツ表彰
平成26年度 兵庫県スポーツ優秀選手
獣医師・防災士・大学非常勤講師・日本サッカー協会公認D級コーチ

最近なんだかんだでネットでフードを買ったり、様々なグッズを買う方が増えてますね。

流通の原理を考えると、そりやぁ、ネットの方が安いです。
で、この状況が続いてきたら、、、、、その影響を受けるところがあるんですよ。
まずは、動物病院が影響を受ける。
次に、経営が苦しくなりだすことが分かれば、一斉に守りに入ります。
新機材が病院に入らなくなる、勉強会に行く費用がなくなる、新しい本が買えなくなる。

で、最後に、日本の獣医師のレベルが平均したら落ちます。

風が吹けば桶屋が儲かる並みにこじつけでしょ?笑

で、こういうデフレの中では病院はどんどん閉鎖となります。
まぁ、フィラリア予防薬とか、ノミとかダニの予防の医薬部外品レベルのものが薬局で販売となると、閉鎖はすごいでしょうね。この分の収益が、いかに動物病院にとて重要か。。。です。重要です。これもほんとの話。

だって、設備維持できなかったら、医療のレベルも高くはならないでしょ?
そしたら、病気を見逃す可能性が増える。でも、今の時代の流れとして、高度医療までの対応を求められる。私のように、半分開き直って「できるところまでしかどうやってもできませんよ。」なんて言っちゃうタチの悪い獣医師ならまだしも、目の前の患者さんに今ある設備で何とかしようとしている先生方が、大変な目にあう。

設備がない中で命と向き合うことがいまでは危険。

実際に、そういう話での訴訟が起きている。

じゃぁ、設備がないを理由にすぐに二次病院に紹介してしまう傾向が高まる。しかし、今の日本では紹介できる病院は限られている。専門性の高い先生のところはいつもいっぱい。予約待ちが一週間とかになる。先日も急性の疾患で大阪府立大学に予約を入れようとしたら一週間ほど待つ必要があると言われた。たくさんの紹介症例を受け持つところはどこの予約でいっぱい。

見殺しにできないので、今の手持ちで戦おうとしても、、、、それで何かあれば訴訟が待っている。

「今の僕のできることをします!」

っていうことくらいしかできない。

ネットでフードを買う時代が来た。多いところでは病院の収入の20%近くを占めていたりするようだ。そういうところはとても危険な経営状態になる。

今できることをするしかないのだけど、そのことが限られてその病院の進化が止まってしまう。
苦労している病院も知ってるけど、明日も見えないこの不況で、どこも不安だらけ。

そんな中、ネットを見ていると

「●●市に引っ越します。そのあたりで、腕がよくて親切で、良心的な価格の病院はありませんか?」

などという書き込みを見る。

安いことは良心的ではない。
って思う。

ただ、安くて診断がつくことだってある。
最近は、診察台に乗ってから、身体検査をすることが少なくなたらしい。
え?と思うかもしれないが、ちゃんとやれば、聴診器だけでもいろんな場所に当てないといけない。
触診は全身くまなく。

でも、すぐにレントゲンを撮影しましょうって言われたりする傾向がある。

病気を見てばかりで、患者さんを診ていない。

欧米に追い付け追い越せでやってきたものの、一部のトップ獣医師が特定分野で欧米を凌駕するようになったかもしれない。しかし、多くの病院は苦しんでいる。

ネットでフードを買おうが何を書き込もうが、私は気にしない。

過度な期待を抱かせるお勧め病院の書き込みもよく見かける。
確かにその情報も、いくつかは当たっている。

しかし、ん?誰?それ?っていうのもある。

ひたむきに患者さんと向き合っている先生は、目立たなかったりする。
そして、飼い主さんがその姿勢を見て、いい先生だと思うこともある。

人それぞれ求める獣医師像が違う。
ネット情報に踊らされないでほしいんです。

自分の信じた先生に任せてもらえたらいいです。

口下手な名医もいれば、調子よくしゃべっている私のようなやぶ医者もいます。当然、全員が獣医師で、プロですので、素人さんに見破れるわけないです。

不思議なことにネット上には、獣医師がオススメする病院なんてものがほとんどありません。
とくに有名な先生を除いては、どの先生のレベルも変わりません。私はそう思っています。

その先生がいかに勉強をしているか?
いかに命と向きあっているか?
いかに獣医馬鹿か・・・。

などで判断してください。きっといい先生に巡り合えますよ。

最後に、、、
せっせとネットで処方食を売って、それの伝票を張って送るなどといった時間は私にはありません。それをやる前に助ける命があると思って勉強します。じゃぁ、そういう獣医師が悪いのか?いえいえ、そうではありません。

患者さんに安くフードを提供できるフード専門の獣医さんも必要なんです。高価なものを少しでも安くして、病気の子に対してケアできるのもそれらの先生の努力なんですよ。

すでに獣医の世界もちょろちょろと分業になってきていることの表れであると考えています。

私は、自分の好きな遺伝子の分野で多くのバックが支えてくださてます。
命と向き合いながら、病気にしない将来の疾患の減少に貢献できるように余った時間はいろいろと考えています。いろんな獣医師がいてもいいじゃないですか?