Wed 240221 えべっさん探訪記①京都ゑびす編/えびすとは何か/十日戎のこと 4496回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 240221 えべっさん探訪記①京都ゑびす編/えびすとは何か/十日戎のこと 4496回

 早いもので、2024年の受験スケジュールはもう最終盤のクライマックスに向かっている。

 

 もちろんこの世界の世代交代は強烈に早まっているので、「いや、とっくに受験の主人公は入れ替わって、現高2生・現中2・現小5生である」とスカッと言い放っちゃう人がほとんどだろうが、諸君、ワタクシはまだそこまで冷酷に現実を認めきれない。2月21日現在、まだまだ主役は高3生と浪人生諸君であるはずだ。

(1月9日、東京駅で「黒豚とんかつ御膳」を購入。受験生諸君、「とん勝つ」だ。オマモリにどうぞ 1)

 

 だからこのブログでも、何とか出来るだけおめでたい写真の掲載を心がけたいのである。とんかつも「勝つ」だからおめでたい。キットカットも「きっと勝つ」だからおめでたい。

 

 タコを置くのも「置くとパス」だからおめでたい。しかしその類い、すでに歴史は半世紀を超えて余りに陳腐化しちゃった。「滑りどめに、砂」でもいいが、しかし砂なんか置いたら、全身ジャリジャリして朝の気分が悪いだろう。

(1月9日、東京駅で「黒豚とんかつ御膳」を購入。受験生諸君、「とん勝つ」だ。オマモリにどうぞ 2)

 

 そこでワタクシは、大学受験が一段落つくまで「えびす神社めぐり」の企画で突っ走りたい。えびすは、たいへんおめでたい。えびすは、余りにもおめでたい。ありがたい七福神の中でも、特におめでたい神様だ。必ず福を運んできてくれる。というか、福を釣り上げてくれる。

 

 七福神とは諸君、えびす・大黒・弁財・布袋・福禄寿・寿老人・毘沙門の7天だ。いつどこでどんな試験に出るか分からないし、知らないと必ず恥をかくから、「暗記には興味がない」という理系アタマの諸君も、せめて七福神とそのご利益ぐらいは覚えておきたまえ。

   (京都ゑびす神社、1月9日。逆光でスミマセン 1)


 その中でも、えびすどんだけは日本古来の福の神。他の6天は中国またはインドからやって来られた。おお、おお、やっぱりえびす様、ありがたいじゃないか、最初から日本の福の神でいらっしゃる。

 

 何しろ漁業の神様なんだから、右手には釣り竿、左手には大っきな鯛をかかえて描かれる。「鯛が好き」だなんて、素晴らしいじゃないか。今井君とそっくりだ。お正月には鯛の塩焼きを意地でも1匹、まるまる平らげるのが今井君。今でも大阪・難波の居酒屋で、毎度毎度「鯛カブト」を2皿夢中で平らげる。

(京都ゑびす神社、1月11日。日が暮れると、ますますありがたみが増しますな)

 

 えびす様は、漢字もいろいろお好きらしい。えびす様を漢字で書けば、夷、戎、胡、蝦夷、蛭子、恵比須、恵比寿、恵美須、恵美寿であって、その多様性にびっくりさせられるが、前4者「夷、戎、胡、蝦夷」を見れば明白なように、えびす様は辺境の地から海を渡って船ではるばるやってくる。

 

 はるかなはるかな大昔、ワタクシの故郷・秋田のあたりはエゾと呼ばれ、エゾを漢字で書けば蝦夷、その当時は東国や東北の男たちを「あずまえびす」と呼んだ。

 

 おお、まさにワタクシ、あずまえびすの末裔であって、今朝みたいに寒い朝にお風呂に入ろうとマッパになって鏡を眺めてみると、いやはやさすが「あずまえびす」の典型、マコトにマコトに毛深く毛むくじゃら、えびす様にますます親近感を覚えるのであった。

   (京都ゑびす神社、1月9日。逆光でスミマセン 2)

 

 約半世紀にわたる予備校の全盛時代を生き抜いて、いまや業界随一の大ベテランとして生き残ってみると、今井君の立ち姿はまさにえびす様とそっくりだ。えびす様は右手に釣り竿、今井君は右手にチョーク。えびす様は左手に見事な鯛、今井君の左手には選りすぐりの長文がたっぷりのテキストがある。

 

 えびす様は、マコトににこやかな笑顔が特徴の福の神であって、あのニンマリ&ニカッとした満面の笑みもまた今井君の持ち味だ。もちろん今井君の場合は、内心のドロドロした腹黒さを隠す不気味なニンマリ顔でもあるわけだが、いやはやさすがにえびす様の笑顔ほどありがたいものは滅多にない。

(京都ゑびす神社、1月9日。初穂料を納めた笹に、福娘から小飾りを授けていただく)

 

 そして何よりも、商売繁盛の福の神だ。豊漁&大漁が商売繁盛に直結するばかりではない。海の向こうの莫大な富を連想させることから、貿易やら国際経済やらの福の神でもいらっしゃる。

 

 ワタクシは「はんじょう」という言葉を遣う時、「繁盛」という文字よりも「繁昌」という字面を愛するのである。繁昌の昌、「マサ」の字を使用することは最近グッと少なくなったが、「お日さま」の日を2つ縦に重ねて、「さかん」「勢いがいい」「さかえている」「美しい」の意味を持つ。

 

 だからこの「昌」、昭和の時代までは人の名前によく使用された。歌手なら森昌子どん、女優なら山田昌、野球選手にも中日ドラゴンズの山本昌、みんな往年の名歌手・名女優・名投手だった。

(京都ゑびす神社、1月9日。神前に、巨大なマグロがゴロリ。詳しくは次回「西宮神社」編にて 1)

 

 しかし何故かこの「昌」の字には、「乱れている」「だらしない」の含意があるらしい。諸君、最近はすっかり「漢和辞典」というものを使用しなくなったが、昭和の中学生の必須アイテムだった漢和辞典をいま久しぶりに引っ張り出して、何故「昌」に「乱れて」「だらしない」の意が付きまとうのか、調べてみたまえよ。

 

 いや、もちろんワタクシ、商売繁昌やら商業の隆昌やらには「乱れ」や「だらしなさ」が付きものだなどと言うつもりは毛頭ないのである。

 

 しかし、しかつめらしい顔をして、何でもかんでも「無駄だ」「無駄だ」と無駄遣いやお祭り騒ぎを排除し、執念深くコストカットばかりを目指す経営には、繁昌も何もないのだという、恵比寿様や戎さまや夷さまの暗示だけは感じとるのである。

(京都ゑびす神社、1月9日。神前に、巨大なマグロがゴロリ。詳しくは次回「西宮神社」編にて 2)

 

 というわけで諸君、大学受験生諸君がいよいよラスト一周に突入しようとしていた1月9日、今井エビスは得意満面のエビス顔をテカテカさせながら、日本3大エビス巡りをスタートさせたのだった。思いはもちろん、この3大エビス巡りの写真を、受験最終盤のブログ記事に掲載しようというところにあった。

 

 日本3大エビスは、近畿圏に集中している。京都祇園のゑびす神社と、大阪ミナミの今宮戎、そして1月10日の「福男選び」で知らぬ者のない西宮神社。以上3つである。

 

 もちろん今井君は人生の大ベテランだから、福男選びに参加して足をポキッとやるような醜態を演じるわけにはいかないが、3大エビス参りをブログに掲載し、受験生の応援に参加することなら出来る。

(参道には、ありとあらゆる露店と屋台が。「きびしく」とは何かと思ったら諸君、「くじびき」なのだった)

 

 1月9日、ワタクシは朝の新幹線でまずは京都に向かった。近畿圏ではお正月の初詣に負けないほどの賑わいを見せる「十日戎」、十日戎それ自体は1月10日であるが、どんなお祭りでも1番の盛り上がりを見せるのはその前日、クリスマスイブでも、祇園祭の宵山&宵々山でも同じことである。

 

 京都ゑびす神社でも、1月9日が「宵ゑびす」、10日が「ゑびす大祭」、11日と12日が「のこり福」。1月9日の京都駅に降りると、四条大橋から八坂神社まで、大袈裟でも何でもなく、前進するのに困難を感じるほどの濃厚な雑踏になっている。

     (京都ゑびす名物「えびす焼」を購入 1)


 ワタクシが初めて京都ゑびす神社を訪問したのは、2018年10月のことである。あの秋、当初の予定ではポーランドに2週間ほど滞在してクラクフとワルシャワの黄葉を満喫してこようと考えていたのだが、何かの事情でポーランド行きが中止になってしまった。

 

 そこで、ポーランド2週間の代わりに思い立ったのが、京都での2週間滞在。当時の今井君は世界旅行に夢中で、国内の旅なんかには全く関心がなかったのだが(2008年から2018年までのブログ参照)、初めて京都に2週間、修学旅行や団体ツアーや爆買い系の行かない小さなお寺と神社とお祭りを満喫した。

 

 あれ以来、京都ゑびすはすっかりワタクシの京都滞在の定番になり、別に商売をやっているわけではないから商売繁盛も商売繁昌もお願いする必要はないのだが、仕事で京都に立ち寄っても、ほぼ確実にここにお参りするのである。

     (京都ゑびす名物「えびす焼」を購入 2)

 

 中でも11月の「湯焚き神事」と「焼きみかん」は定番。すぐ近くの「摩利支尊天」でのお火焚きやら、名店「きんなべ」で女将ノツッコミを満喫しながらの「沖すき」に「すきやき」、神社前の酒屋さんで購入する濁り酒「月の桂」、何もかもが定番になりつつある。

 

 2024年1月9日の「宵えびす」、いやはやお昼過ぎからたいへんな盛り上がりになっていた。屋台というか露店というか、日本中ありとあらゆるジャンクフードが並び、ワタクシはそういう店の中から「えびす焼」を選ぶのである。カステラ生地に甘みを抑えたアンコがたっぷり、これを10個ぐらい貪らないと、京都のお祭りに参加した気がしない。

     (京都ゑびす名物「えびす焼」を購入 3)

 

 もちろん神社では「商売繁昌、笹もってこい!!」の本番が始まっている。参拝者は、3000円だったか3500円だったかの「初穂料」を納めて、大きな笹のひと枝をいただくと、小さな飾り物を福娘たちから次々と買い求めて、その笹の枝に結びつけていく(Sun 220213 鴨すきやき/23分で32回もの「甘い」/商売繁昌、笹もってこい 4167回)。

 

 飾り物は、熊手・箕・宝船・サイコロ・俵・鯛・大判小判・千両箱、買えば買うほどご利益もくっついてくるから、「笹もってこい」の笹はまもなく花盛り、細い笹の枝は重たくしなってマコトにマコトにおめでたい。

(ビニールの幕の向こうで巫女さんたちがクルクル舞を舞い、笹がどんどん清められていく)

 

 ありがたい太鼓と笛のメロディーに乗って巫女さんがクルクルありがたい舞を舞い、笹の枝をどんどん新しく清めてくれる。眺めていると、1回の舞で30本ほどの笹が清められ、この調子ではどこもかしこもみんな商売繁昌、そりゃ1ヶ月後には株価もバブル全盛期に急激に迫って当然だ。

 

 実はワタクシ、あまりのありがたさに興奮して、2日後 → 1月11日の「のこり福」にも再び京都ゑびすを訪問した。

 

 屋台や露店にはそろそろ疲労の色が滲み、のこり福も何も寂しく京都の寒空に消えていきそうだったが、いやそれでもなお巫女さんたちの舞踊りは続き、笹は次から次へと大量に清められ、今年もまためでたく商売繁昌、それだけは間違いなさそうなのであった。

 

1E(Cd) Fischer & Budapest:MENDELSSOHN/A MIDSUMMER NIGHT’S DREAM

2E(Cd) Coombs & Munro:MENDELSSOHN/THE CONCERTOS FOR 2 PIANOS

3E(Cd) Rampal:VIVALDI/THE FLUTE CONCERTOS 1/2

6D(DPl) 文楽:菅原伝授手習鑑③「車曳の段」豊竹山城少掾・8代 竹本綱太夫・豊竹つばめ太夫・竹本津太夫「茶筅酒の段」竹本伊達太夫「喧嘩の段」豊竹呂太夫「桜丸切腹の段」竹本越路太夫

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