Fri 231027 おまえさんと2人称/ダンシングオールナイト/鹿児島の思ひ出 4446回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 231027 おまえさんと2人称/ダンシングオールナイト/鹿児島の思ひ出 4446回

 昔からワタクシは「一人称」に強いこだわりがあって、文章の中で自分を「ぼく」と呼ぶか「私」と呼ぶか、ワシ・オレ・俺様・手前・我輩・自分・カニ蔵・くますけ・くまのしん、困り果てた末にサトイモに落ち着いたり、そこからまた里左衛門やら里太郎に発展したり、いやはやこのブログの15年は、ほぼ1人称右往左往の歴史だったと言っていい。

 

 その辺のことは、「ブログ内検索」で「一人称」を検索していただくのが一番いいが、PCで読んでくださっている人はいいけれど、今やほとんどの読者はスマホ。スマホの方には「ブログ内検索」がついていない様子なので、まあ興味のあるオカタは、以下の記事でもクリックしてみてくれたまえ。

 

Mon 170918 激流はなおも巨岩を噛み/フラムの2時間/いよいよ(晩夏フィヨルド紀行12)

Mon 181029 大ワルおやじの一人称/チンクエテッレ(イタリアしみじみ26) 3745回

 

(鹿児島で、友人らと泥酔する21歳の今井君。よくないヤツだった。おお結構カッケーし、たくましいじゃないか)

 

 まあごくカンタンにいえば、こういうコダワリの原因は内気というかシャイというか、読者諸君は信じてくれないかもしれないが、今井君というのは生まれて以来ずっと「人類史上最大のシャイ」を自ら任じている。

 

 だからワタクシは、「自分」と言っても恥ずかしいし、「オレ」と言っても恥ずかいし、「僕」のアクセントを「ぼ」の方にして下がり調子にするか、「く」のほうにおいて上がり調子にするか、そういうことでも悩みに悩んで眠れなくなったりするのである。

(噴煙をあげる桜島、10月6日。翌日に鹿児島国体の開会式を控えていた 1)

 

 しかしそういうワタクシでも、今まで2人称について語ったことは(おそらく)ないのである。「きみ」「あなた」「あんた」「おまえ」「おめー」「きさま」「ちみちみ」「おまえさん」その他、恥ずかしさでいえばハッキリ目の前に相手の人物が存在する2人称の方が上回るはずなのだが、あんまり気にしたことはない。

 

 というか、ワタクシは2人称を使用しないのである。2人しかそこにいない時に、あえて相手を代名詞で呼ぶ必要はないじゃないか。なんとなくデレデレ&ニヤニヤして、恥ずかしいからテキトーにごまかしていれば、相手は「ああ自分のことだ」と理解してくれるものである。

 

 もちろん、授業中とか講演中なんかには、2人称複数を多用、というか連呼する。「キミたちは」「あなたたちは」「諸君は」「皆さんは」であるが、それこそ「諸君」、ワタクシは「おまえたちは…」「おまえらは」という威圧的講師や高圧的先生になったことは一度もない(はずだ)。

(噴煙をあげる桜島、10月6日。翌日に鹿児島国体の開会式を控えていた 2)

 

 講師というか先生というか、教壇やらステージやら1段高いところから話す生活を続けている人間の宿命なのだろうが、相手を呼ぼうとするとどうしても上から目線になりやすい。

 

 相手が2人称複数であればまだいいし、今井君みたいに常に200名とか300名とか、ほぼ不特定多数に対して2人称複数形を使用しているうちは問題はない。その「上から目線」、そんなに露わな形で露出することはない。

 

 しかしどんなシチュエーションであれ、「2人きり」になった場合に、どうもうまく適切な距離感がとれない。もちろん「2人きり」と言ったって、密室にぎゅっと密封された危ない関係である必要は皆無であって、例えば講師室で「せんせー、質問いいですか?」という状況を考えればそれでいい。

 

 まあ、「きみは」「あなたは」ぐらいが適切な距離感だが、ちょっと恥ずかしい。高圧的な「おまえは」は、ワタクシは嫌い。まさか「きさま」「このやろう」「ばーか」「バカかお前は」のレベルにもっていくわけにもいかない。先生方の中には2人称「おぬし」vs  1人称「せっしゃ」を採用する御仁もいらっしゃる。

 

 そういう場合、今はほぼ死語となった感のある「おまえさん」を使える先生がワタクシなんかはマコトに羨ましい。「おまえさんの考え方が間違っているのは…」「またおまえさんか?」「おまえさんの言うことももっともなんだが…」、先生と生徒の距離感としては、まあ悪くないような気がする。

(10月6日、ヒコーキから鹿児島・宮崎県境の霧島連山を望む)

 

「ダンシングオールナイト」のもんたよしのりが急死した。ダンシングオールナイトの爆発的大ヒットは1980年、すでに45年近く前のことであるが、その45年間、あの曲以上の名曲が日本のポップス界に生まれたかどうか、甚だ疑問であると言わざるを得ない。

 

 ワタクシは突然の訃報以来、もう2日も3日もダンシングオールナイトを繰り返し聴いて、何だか涙も枯れ果てた。作詞の水谷啓二氏は今もお元気で、東京の三軒茶屋を中心に活動中なのだという。三軒茶屋といえば、ワタクシのオウチからも目と鼻の先だ。一度お伺いしてみようかとさえ思う。

 

  3rdコーラスを諸君、何度も何度も聴いてくれたまえ。「この店で最後の夜を どちらからともなくそう決めて」「思い出をなぞるように踊る 初めて会った時のように」というのである。この2人、どんな1人称とどんな2人称をつかったのだろう。

(鹿児島シェラトンホテルから天文館に向かう。途中、なんだか早稲田で見慣れたようなバス停を発見)

 

「最後の夜を」というからには、どうしてもその夜限りにしなければならない、差し迫った危険な間柄。だからこそ「思い出をなぞるように踊る」のであるが、その思い出、そんなに長いもののようではなさそうだ。

 

 危ない危なすぎるデートは、3回目? 4回目? 親友の彼氏に誘われちゃった女子? 兄貴の彼女とデートしちゃった男子? いやはや、もしかして先生と生徒? 19世紀フランスあたりの小説なら「叔父が再婚した若妻と、その義理の甥」なんてのも珍しくなかった。「とにかく今夜が最後」という場合、彼と彼女の1人称と2人称はどうなるのか。

 

「あの店」は、どうしても神戸である気がするのだが、1stコーラスにあるように「甘い時はずむ心 ひと夜のきらめきに揺れる」「キャンドルが潤む瞳の中で、無邪気に踊ってみせる」ということは、昭和当時の騒々しいディスコが設定されているわけではなさそうだ。

 

 何しろ「危なげな恋と知らず 温もりを手探りしてた」という際どい関係なんだから、2人称として「おまえさん」の登場するスキマはなさそうだ。いや逆に、彼女のほうはどんな1人称を選択し、どんな2人称を選択したのか、そこも思い巡らせば、長い長い秋の夜もあっという間に過ぎてしまう。

   (鹿児島、高見馬場の交差点を行く鹿児島市電)

 

 しかも「最後の夜」という場合、オールナイトで熱く激しく全てを忘れてダンスしても、必ず朝は巡ってくる。

 

 朝は諸君、マコトに侘しいものである。「店」に入れば必ず出なければならないが、出るときにはお勘定を払い、オカネのやり取りがあり、レジで現金をやりとりすればオツリを財布にしまわなければならず、キャッシュレスの世の中になれば「ペイペイ!!」などという馬鹿げた声も聞かねばならず、その時の気持ちは果たしてどんなものだろう。

 

 するとこの2人、どうしても「これで終わり」になりそうにないのである。まさか「ペイペイ!!」を聞いてしまった数分後に、「これでオシマイにしようって、2人でちゃんと約束したよね」とサバサバ言って、元気に手を振って別れるわけにもいかないだろう。

 

 すると、早朝4時の神戸の薄闇の中で、ますます熱い第2章ないし第3章が始まっちゃうじゃないか。その第2章やら第3章やらを、もんたよしのりのあの限りなくハスキーな声で歌ってほしかった。こういう危ういストーリーは、あくまで文学や音楽や演劇の世界でほんわかシビれているのがいいのだ。

(せっかくの鹿児島だ。鹿児島料理「熊襲亭」を訪ねる。もちろん単独歓迎会、詳細は、次回の記事で)

 

 さて本日の写真は、なんともバカバカしい1枚目と最後の1枚を除けば、2023年10月6日鹿児島でのもの。快晴の空の下に桜島の勇姿がどっしりと美しかった。翌日には鹿児島国体の開会式があり、全国各地からの選手団が次々と鹿児島入りして、鹿児島空港は大混雑だった。

 

 国体がらみの仕事でもあるのだろう、某ベテラン国会議員も同じヒコーキの中にいらっしゃった。何しろ翌日の開会式には、天皇陛下と皇后陛下もいらっしゃる。航空自衛隊のブルーインパルスも妙技を披露する。鹿児島全体がたいへんな盛り上がりを見せていた。

 

 ワタクシは、夕暮れから鹿児島の繁華街「天文館」を散策した。むかしむかしのその昔、21歳の夏に大学の友人5人とともに鹿児島を訪問。天文館のラーメン屋で濃厚ラーメンをすすり、気がつけば芋焼酎「さつま白波」に泥酔していた。

(21歳の夏、今井君は友人たちと桜島を訪れた。今日最初の1枚は、このあと天文館で泥酔した夜の、雑魚寝の部屋が舞台である)

 

 当時の「さつま白波」は、今のものとは別世界の物凄いニオイがした。これをお湯割りにして飲もうものなら、100メートル先からでも「だれかが『さつま白波』を飲んどるな」と、みんなが鼻をピクピクさせたものだった。

 

 今井君の大学生時代とは、要するにそんなもの。さつま白波で泥酔し、そのニオイをプンプンさせながら、友人たちと大汗かいて雑魚寝した。

 

 とてもとても都会のお店で「甘い時 はずむ心」「温もりを手探り」「キャンドルが潤む瞳」どころの話ではない。臭いお湯割りを手探りし、さきいかと柿の種の小皿に蹴つまずいて、部屋中を柿の種地獄にするのがせいぜいというありさま。

 

 雑魚寝の薄暗がりに「今井、うるさい、早く寝ろ!!」と罵声が飛び、蚊に何箇所も刺された毛ずねをボリボリ。そういう下らない世界に、首までどっぷり浸かるていたらくだった。

 

E(Cd) Böhm & Berliner:MOZART 46 SYMPHONIEN 3/10

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