Mon 230703 半夏生とは何ぞや/初夏のひと区切り/霊源院でアマチャを満喫する 4403回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 230703 半夏生とは何ぞや/初夏のひと区切り/霊源院でアマチャを満喫する 4403回

 時が経つのはマコトに速いもので、気がつけばもう7月3日、ワタクシの誕生日はもう1週間もむかしのことで、ということは次の誕生日まで残り355日ちょいしか残っていない。いつまでも暢気に誕生日気分なんかに浸ってはいられないのである。

 

 今年の夏至は確か6月21日だったから、もうこれからはどんどん日が短くなっていく。まだホンキになれていない諸君、急ぎたまえ&急ぎたまえ、兼好法師に言われなくても「歳月は人を待つものかは?」であって、すでに夏至を過ぎて13日、昨日あたりからは「半夏生」だ。

 

「は?」「半夏生とは、何ぞや?」であるが、半夏生と書いて「はんげしょう」、むかしから「夏至を過ぎて11日目から、7月7日の七夕まで」を半夏生と呼び、だからまさ昨日・今日あたりからの数日こそ、半夏生にあたる。

(ガクアジサイではなく、アマチャ。6月22日、建仁寺の塔頭「霊源院」にて 1)

 

 福井県の大野市では、半夏生に焼いたサバを食べる風習がある。さっきNHKのニュースでその様子を伝えていた。群馬県には「半夏生の日にネギの畑に入っちゃダメ」という奇妙な風習のある町があり、長野県には「芋の汁を食べなきゃいかん」と、みんなでお芋の汁をいただく地域がある。

 

 半夏生とは「七十二候」の1つであるが、その「七十二候」を詳しく説明していれば、きっと今日のブログも極端に長くなる。「長過ぎて、読んでらんねぇ」という批判に15年も耐えてきたワタクシとしては、ここはさすがにちょっと遠慮して、七十二候の説明は諸君のネット検索にお任せしたい。

(6月22日、京都は朝方から強い雨が降って、昼近くの鴨川は激しい流れになっていた)

 

 半夏生の頃には、大雨になることが多い。この季節の大雨を「はんげあめ」と言う。「はんげ」の発音がもっと短縮されて「ハゲ」「ハゲッショ」などなど、中年男性の多くがドキッとする類いの呼び方もある。

 

「ハゲ」という妖怪も出没するんだそうな。そりゃどうも、イヤでござるね。「ハゲだ!!」「ハゲだ!!」「ハゲッショ!!」「ハゲッショ!!」と妖怪を囃し立てたり追い払ったりするのは、どうも可哀想でならない。

 

 一般にオバケとか妖怪とかが出現するのは、むかしから「だから、怠けちゃいけません」「怠けてると、オバケがくるよ」「悪いことをすると妖怪に会うよ」という年長者からの警告であることが多い。

 

 ハゲもハゲッショも「だから普段からキチンと真面目に働いて、半夏生までには農作業にひと区切りつけなさい」という戒めのために出没するらしい。

(建仁寺。「きんなべ」やら「ゑびす神社」「摩利支尊天」やらに頻繁に出入りするうちに、建仁寺ともすっかり馴染みになった)

 

 だから半夏生のころには、畑仕事にひと区切り、田植えも完了、7月7日の七夕ごろまで一休みして、さあそのあとは秋の収穫に向けてまっしぐら。「半夏生にはどうせ大雨が降って何もできなくなるから、半夏生の前を目安に、出来ることはしっかりしておきなさい」、そういう農業の神の戒めなのだ。

 

 半夏生の数日でちょっと身体を休め、サバを食べ、芋汁を食べ、讃岐ではうどんをすすり、大阪や奈良では「タコを食べる」という地域もある。「タコだけじゃイヤだから、タコ焼きを食べる」というところもあるんだそうな。

 

 タコを食べる理由には諸説あって、ここまで書いてきた通り「田植えにヒト区切りつけて、田植えや農作業の疲れを癒す」という意味もあれば、「吸盤でギュッと吸いつくタコの足8本と同じように、作物の根が四方八方にグイッと強く張りますように」という願いも込められる。

 

 そういう風習も多くは廃れたが、農業が全てに優先した時代には、とても大切なヒト区切りだったに違いない。「みんなが一斉にひと休みする時に、自分だけネギ畑に入らなきゃいけないようなハメになるなよ」という年長者の警告、以上のごとし。「怠け者の正月働き」と、ほぼ同じような発想である。

(もうすっかりお馴染みの「京都ゑびす神社」。1年に3回も4回も訪問する)

 

 そういうことを思うと、「いやはやこりゃそのまま受験勉強のヒト区切りにもつながるわい」と、大ベテラン今井はハッシと膝を打つのである。もうすぐ予備校の1学期が終わる。というか、浪人生の授業は今日あたりが1学期のオシマイであって、夏期講習の開始まで2日か3日のお休みが入る。

 

 こりゃまさに、受験生も半夏生なのだ。浪人生ばかりではない。現役生だって、半夏生がわりに期末テストがあり、もっと意地悪な高校だと「実力テストも実施します」だし、教員の皆様が「忙し過ぎて実力テストの問題なんか作る暇はありません」ということなら、予備校の模擬試験を導入したり、英語の民間テストで緊張感を高める方法もある。

(こちらも大好きな「摩利支尊天」。もしよろしければ、Sun 221113 政治は女子に任せたほうが/やんちゃ男子/火焚き祭の紅蓮の炎 4294回 ぜひご覧あれ)

 

 その辺はまず予備校講師の方で自戒しなければならないので、普段からキチンキチンと授業を進めて、教材にやり残しなんか決してないように努力していればいいものを、のんべんだらりとダラシない授業を続けてきた講師たちは、1学期の終わりの半夏生に「プリント作り」に励むことになる。

 

 生徒たちだって、やっぱり教材のやり残しは大キライだから、「先生、テキストの後半、授業でやれなかったところはどうするんですか?」とコワい顔で質問に来る。

 

 その時、むかしの先生は「量より質だ」「やらなかったページは破って捨てろ」「なかったことにすればいい」などなど、ずいぶん大胆な発言をしたものだが、そういう先生はもうほぼ絶滅危惧種になってしまった。

 

 だから、せっせと徹夜でプリントを作成する。それが英語の先生なら、プリントに日本語訳を書き、語釈やら構文解説やらを書き、正答例を示し、別解なんかも書いて、「どうだ、完璧なプリントだ」「まだホッカホカだぞ」と言いながら教室で配布する。

 

 生徒もまあ何とかダマされて、ホッカホカ(つまり今やっとコピー機で印刷したばかり)の分厚いプリント集をカバンに入れて持ち帰り、しかしプリントは一度も開かれず、「配ったからいい」「もらったからいい」と、双方ナアナアで全てがオシマイになる。

 

 大ベテランとして、予備校の講師室ですっかり見慣れたこの風景。半夏生の頃の風物詩とさえ言っていい。ホントはこんなことじゃダメなので、予備校村の長老として今井君はきっぱり、「半夏生までにキチンと授業でやり終えたまえ」「さもないとハゲッショが出るよ」と忠告してあげたいのであfる。

(アマチャの花で有名な「霊源院」。お坊さまも受付のオネーサマも、たいへん気さくな人たちだった)

 

 さて6月22日、今井君はまたまた「大阪から京都へぶらり」の小旅行に出た。ルートも時間帯もまたまた同じ、午前10時に大阪梅田を出発、阪急の特急は11時前に京都河原町に着いた。

 

 朝方ずいぶん激しい雨が降ったらしくて、四条河原町あたりの鴨川はすっかり水量が増し、いつも暢気に餌をあさっているシラサギどんもアオサギどんも、どちらも呆然とした表情。小首を傾げて濁流の中を見つめているが、こんなに流れが激しいんじゃ、小魚も虫もちっとも見えないだろう。

(写真を撮る方は、どうぞ思い切り畳の上に寝転がってください」のオコトバに感激する 1)

 

 この日のワタクシの目的は、植物の方の「ハンゲショウ」。ドクダミ科の植物に「カタシログサ」というのがあって、その別名がハンゲショウ、漢字では「半夏生」ないし「半化粧」と書く。建仁寺の塔頭「両足院」のハンゲショウが有名、まさに半夏生のこの時期に見頃を迎える。

 

 ただし諸君、やっぱり「ドクダミ科」だ。ハンゲショウが美しいとは分かっていても、むかしむかし植物採集と植物標本作成に夢中だった幼い今井君にとって、「ドクダミ」は天敵だった。あの恐るべきニオイに、なんど地獄の苦悶を味わったことだろう。

(写真を撮る方は、どうぞ思い切り畳の上に寝転がってください」のオコトバに感激する 2)

 

「ハンゲショウだって、ドクダミの仲間というならば、やっぱりあのニオイに激しい苦悶を味わうんじゃないか」。鴨川の濁流の中に立ち尽くすシラサギどんアオサギどんと同じように、この日の今井は最初から腰が引けていた。

 

 しかもハンゲショウで有名な「両足院」、拝観料が1000円もするのである。ドクダミのお友達にご挨拶するだけなのに、1000円でござるよ、1000円。「六波羅飯店」のギョーザが1皿250円で食べられるんだから、1000円なら4皿分だ。

 

 ドクダミのお友だちをとるか、ギョーザ4皿をとるか。生温かい京都の小雨に濡れながら、建仁寺の今井君は「ここは座禅でも組んでじっくり」という態勢に入りかけたが、あっさり「ギョーザ1皿250円」の方を選択することに決めた。

(ガクアジサイではなく、アマチャ。6月22日、建仁寺の塔頭「霊源院」にて 2)

 

 ただし諸君、せっかく「京都ぶらり」などというオシャレな高級オジサマを演じているのに、ハンゲショウをあっさりポイ捨てしてギョーザだけ貪って帰ったんじゃ、高級オジサマの名がすたる。

 

 ワタクシは「両足院」の代わりに「霊源院」を選択、霊源院のアマチャを満喫して面目を保つことにした。アマチャとは、ガクアジサイに似た初夏の花であって、決して「甘茶を飲んで一息ついた」の類いではないのである。

 

 諸君、「霊源院」はオススメだ。住職のお坊さまもたいへん気さくなカタ。受付のオネーサマもそれに以上に気さくなオカタであって、ワタクシはお2人のお話をたっぷり伺い、「両足院」の1000円の半分にも満たない拝観料で、アマチャの花も静かな庭園も満喫。そして何より、楽しい会話を満喫したのであった。

 

1E(Cd) Ashkenazy(p) Müller & Berlin:SCRIABIN SYMPHONIES 1/3

2E(Cd) Ashkenazy(p) Müller & Berlin:SCRIABIN SYMPHONIES 2/3

3E(Cd) Ashkenazy(p) Müller & Berlin:SCRIABIN SYMPHONIES 3/3

4E(Cd) King’s College Choir:ABIDE WITH ME(50 Favorite Hymns) 1/2

5E(Cd) King’s College Choir:ABIDE WITH ME(50 Favorite Hymns) 2/2

total m15 y512  dd28462