Wed 220817 JR貨物コンテナ弁当/中身はすき焼き/貨車と貨物列車の思ひ出 4258回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 220817 JR貨物コンテナ弁当/中身はすき焼き/貨車と貨物列車の思ひ出 4258回

 まあ冷静に考えてみれば、これほどコドモっぽい話はないのだ。昼メシが、JR貨物のコンテナ模型の中に入っている。中身はごく普通の「すきやき弁当」。コメが少し多すぎて、普通のオトナならきっと食べ残す。それでも余りの人気ぶりで、そのせいで販売中止にさえなっていた。

 

 ほぼおんなじ発想で、新幹線仕様のお子様ランチもある。東北&北海道新幹線「はやぶさ」仕様もあれば、もちろん東海道新幹線「のぞみ」700系仕様もある。コドモに人気なのは何と言っても「500系」だから、JR西日本管内には、500系仕様のお子様ランチも販売されているかもしれない。

 

 ワタクシぐらいの年齢の高級オジサマが、万が一その種の新幹線お子様ランチを食べていたら、マトモな人々はきっと指を差して失笑する。というか、「近寄らないほうがいいよ」「そうだね♡」と苦笑してささやきあうだろう。

  (神戸「淡路屋」、「JR貨物コンテナ弁当」の勇姿 1)

 

 しかし諸君、今ワタクシが手にしたのは、ご覧の通りの貨物コンテナだ。ホンモノにそっくりだ。せっかくだから、下にホンモノの写真も掲載しておく。

 

「ホンモノ」のほうを撮影したのは2022年4月。月山に鳥海山に太平山に岩木山、ついでに北海道にわたって駒ケ岳に羊蹄山、北日本の山々の写真をたくさん撮った旅の途中、秋田県の大館駅ホームだった。

 

 先週から今週にかけての水害のニュースで、何度も報道された「陣場」の駅は、ここから北に2駅目。むかしむかしD51の三重連が走っていた奥羽本線・矢立(やたて)峠の南側だ。

  (ホンモノの貨物コンテナ。秋田県大館駅で撮影)

 

 ホンモノの貨物列車の写真なんか撮影していたところをみると、ワタクシは「どうしてもJR貨物のコンテナ弁当についての記事を書くぞ」と、もう4ヶ月も前から大張り切りだったわけだ。

 

 この駅弁の存在を知ったのは、さらに遡って2022年3月上旬、沖縄 → 淡路島 → 小倉と、激烈な出張を繰り返していた頃のことである。神戸に「淡路屋」というお弁当屋さんがあり、いろいろユニークなお弁当で有名。中でも特に人気なのが「JR貨物コンテナ弁当」であるらしかった。

Mon 220404 心に穴は一切ナシ/沖縄→神戸→淡路島/洲本の大盛況/駅弁満喫 4187回

 

 しかしさっきも書いた通り、あまりの人気ぶりに生産が追いつかず、一時「販売中止」ということになった。「事前に予約すれば、新幹線の座席まで持ってきてもらえる」との情報もあったが、なかなか新神戸を通る新幹線を利用する機会がなかった。だから、もう半ば諦めていた。

  (神戸「淡路屋」、「JR貨物コンテナ弁当」の勇姿 2)

 

 7月18日、ワタクシは宿泊先の京都から、長崎県諫早に移動。前日&前々日は、思うぞんぶん祇園祭を楽しんでココロも晴れやか。確かに夏シリーズの疲れは蓄積していたけれども、山鉾巡行をあれほど満喫すれば、その辺の疲労のこともすっかり忘れていた。

 

 すると諸君、我がいとしのポンポンも、しっかり減ってくるのである。カレーや牛丼やカツ丼、または京都駅ナカの「にしんそば 松葉」でもいいが、せっかく京都から長崎まで長い長い列車の旅をするのだ。やっぱり駅弁当がいいじゃないか。

 

 京都駅2階に、神戸の淡路屋のお弁当もズラリと揃えたバラエティ豊かなお弁当屋さんがあって、実は前から目をつけていた。すると諸君、驚くじゃないか。あの諦めかけていた貨物コンテナ弁当、他のお弁当に混じって向こうの片隅に、行儀よく数個、マコトにおとなしく並んでいた。

 

 もちろんこちらは「狂喜乱舞」、さっそく買い求めて新幹線に乗り込んだ。京都から博多まで3時間、博多から長崎県諫早まで2時間。思えばマコトに長い旅であって、何もそんなに大慌てでお弁当を開かなくてもいいようなものだが、新大阪を発車するころにはもうカラッポになっていた。

  (神戸「淡路屋」、「JR貨物コンテナ弁当」の勇姿 3)

 

 そのぐらいワタクシは、貨車と貨物列車が好きなのである。今は滅多に見かけなくなった貨物列車であるが、昭和のむかしは長い長い夢のように長い貨物列車が、駅や踏切を極めて頻繁に通過していったものである。

 

 父・三千雄は地方の国鉄職員として、40歳代前半に貨車の担当になった。当時の貨車職場は労働組合活動が強烈で、国労と動労とが入り乱れ、国鉄はしょっちゅう立ち往生した。あまりのことに埼玉県の上尾駅で乗客が暴動を起こすに至った、まさにあの「上尾暴動」の頃である。

 

 それでも父は熱心に仕事に励み、今井君も小学校3年だったか4年だったか、あの黒々した貨物列車を構成する貨車について、いろいろ教えてもらった。まだコンテナ輸送に移行する以前のことで、実にバラエティ豊かな貨車が日本中を走り回っていた。

  (神戸「淡路屋」、「JR貨物コンテナ弁当」の勇姿 4)

 

 有蓋車・無蓋車・タンク車・通風車・家畜車・冷蔵車、一番後ろに車掌車があって、30両も40両も際限なく連なり、いつ果てるともなく徐行していく。

 

 貨車は種類によって記号がつけられ、有蓋車は「ワ」、タンク車は「タ」、冷蔵車は「レ」、通風車は「ツ」、無蓋車は「ト」。そのそれぞれに、さらに収容量別に「ム」「ラ」「サ」「キ」の符号がつく。収容量が1番少ないのが「ム」、次が「ラ」と「サ」、一番多いのが「キ」という訳である。

 

 だから記号と符号の組み合わせで、有蓋車で一番小さいのが「ワム」。タンク車で一番大きいのが「タキ」。無蓋車で中ぐらいなら「トラ」、冷蔵車で小型なら「レム」となる。「ワム」「トキ」「タキ」あたりはナンボでも見かけたが、「ワサ」なんかは滅多に見ないレア物だった。

 

 どうして大きさを「ムラサキ」で表示することになったのかは分からないが、ゆったり通過していく貨物列車の脇腹に「ワム」「トキ」「タキ」の記号&符号を確認ながら、小3の今井君は大いに悦に入ったものだった。

  (神戸「淡路屋」、「JR貨物コンテナ弁当」の勇姿 5)

 

 真夜中の貨物列車の音も、やっぱり大好きだった。線路はオウチから100メートルほどのところだったが、むかしは夜汽車が頻繁に走っていて、夜中にもしょっちゅう列車の音で目が覚めた。

 

 夜行列車でも、寝台車付きの客車列車と貨物列車ではスピードが違うから、寝ぼけた耳でもどちらなのかはカンタンに聞き分けられる。焦ったように高速で駆け抜ければ寝台列車、ふてくされたように暗闇を徐行していれば貨物列車。どちらにしても、深夜でも遠慮なく汽笛を鳴らしたが、それはそれで深い風情があった。

  (神戸「淡路屋」、「JR貨物コンテナ弁当」の勇姿 6)

 

 今はもう「ワム」「タキ」「トム」みたいな昔懐かしい貨車はほとんど見かけない。だから駅弁にコンテナ以外のデザインが導入されることはないだろうが、タンク車や有蓋貨車のデザインの弁当が出たら、あたしゃ真っ先に買いに走るつもりでいる。

 

 それがもしも客車のデザインだったら、さすがに躊躇する。蒸気機関車に牽引された昭和の昔のチョコレート色の客車のデザイン。お土産ならまあ考えないこともないが、新幹線のグリーン車に収まったオジサマが、嬉しそうにそこで広げて食するには、やっぱり客車は恥ずかしい。新幹線デザインのオコサマランチと、択ぶところがないじゃないか。

  (神戸「淡路屋」、「JR貨物コンテナ弁当」の勇姿 7)

 

 そういうことを思いながら、新神戸を過ぎるぐらいまで、すき焼き弁当入りのコンテナを眺めていた。実は岡山や広島でも欲しい駅弁があるのだが、すき焼き弁当でポンポンはパンパンだ。

 

 博多でいったん外に出て、いつものANAクラウンプラザホテルにチェックイン。1時間ほど休憩してから、諫早に向かった。特急「かもめ」、昔は「白いかもめ」として大人気だったエリート特急であるが、まもなく長崎まで新幹線が完成すれば、おそらくその時点でお役御免。時代の流れは、やっぱりどうしようもない。

 

1E(Cd) S.François& Cluytens & Société des Concerts du Conservatoire:ラヴェル/ピアノ協奏曲

2E(Cd) Paco de Lucia:ANTOLOGIA

3E(Cd) 寺井尚子:THINKING OF YOU

4E(Cd) Ono Risa:BOSSA CARIOCA

5E(Cd) 村治佳織・山下一史&新日本フィル:アランフェス交響曲

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