Fri 220603 デカい雹に動転/根津美術館のカキツバタ/瓢六亭からにょろ助へ 4230回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 220603 デカい雹に動転/根津美術館のカキツバタ/瓢六亭からにょろ助へ 4230回

 いやはや、関東平野のワイルドさには恐れ入った。あんなゴルフボールみたいな大きさの、硬く重たい雹が大量に降るなんて、20年前の映画「Day After Tomorrow」の世界そのままじゃないか。映画の冒頭、「タカさん」を即死させた雹は、昨日今日の関東の雹と大して違わない大きさだった。

 

 鎌倉のハナショウブ、大丈夫だっただろうか。アジサイは? 実は昨日のワタクシは、「明月院のアジサイとハナショウブが咲き始めた」というウワサを聞きつけて、横須賀線に乗ってはるばる鎌倉と江ノ島を訪ねてきたばかりである。

 

 鎌倉の旅の詳細は、また後日この場で紹介するとして、あんなにデカい雹が関東平野全域に降り注げば、ガラスも割れ、クルマも凹み、キュウリもトマトもスイカもキャベツも、みんなひとたまりもない。

 

 ネコやカラスやスズメたちはどうなっただろう。だって車庫のプラスチックや畑のビニールハウスが、あんなに見事に穴だらけになるほどの雹だ。ネコのヒタイを直撃すれば、うにゃにゃ、無事に済むとはとても思えない。ケガしたネコが近くにいたら、ぜひ獣医さんの所まで連れていってほしいのだ。

   (4月27日、東京・根津美術館のカキツバタ 1)

 

 今年は春から、ずいぶんたくさん花を眺めて過ごしてきた。昨日はハナショウブとアジサイだったが、4月の末にはカキツバタの気高い姿を満喫した。

 

 ホントなら、京都・大田神社のカキツバタを見る予定だったが、そんなに連日京都&京都と京都ばかり訪ねていたんじゃ、「それならいっそ京都に移住しちゃおうかな?」という欲望が抑えきれなくなる。

 

 だから4月下旬のカキツバタは、東京の根津美術館でということにした。若い諸君、根津美術館はスンバラシイ。もしも21世紀の日本に「デート」「デートスポット」という言葉が残っているなら、根津美術館こそ最高のデートスポットだ。

   (4月27日、東京・根津美術館のカキツバタ 2)

 

 ワタクシのオウチからなら、根津美術館は完全に徒歩圏だ。若い諸君も、例えば地下鉄千代田線の明治神宮駅、小田急線の代々木公園駅や南新宿駅、その辺で彼氏または彼女と待ちあわせて、とりあえず明治神宮の森閑とした深い静寂の中を散策してみたまえ。

 

 するとまもなく、原宿から表参道にかけてのマコトに軽薄なブランドショップ街に出る。遠慮しなさんな、歩くだけなら完全に0円だ。歩けば歩くほど、今井君なんかは「気持ちいいほど自分とは無関係」、この上ない爽快感に包まれる。

 

 原宿の坂道を降りて、やがて坂道はゆるい登り坂に代わり、青山通りを横切ると再びゆるい下り坂。西麻布に向かう狭い道の両側には、まだまだ高級ブランドショップが立ち並び、あまりの贅沢さにほとんどシュールな気分になった頃、ようやくその向こうに瀟洒な根津美術館が見えてくる。

 

 もしもそれが「デート」だとすれば、ここからの数分がまさにクライマックスだ。自分とはシュールなほど無関係の高級店街を過ぎて、美術館の入り口で突然あたりが静まり返り、「あれれ」と息をのむうちに、美術館の硬質な静寂の真っただ中に吸い込まれる。

 

 おお、まさに異次元空間だ。そのとき、彼氏ないし彼女の横顔を眺めてみたまえ、異次元の世界に誘い込まれた驚きで、きっと表情がキュッと美しく引き締まっている。

   (4月27日、東京・根津美術館のカキツバタ 3)

 

 普通の美術館なら、ここからはやたら小難しい絵画や彫刻が並ぶのである。あまりの難解さに、異次元の魅力はかえってシラけたものに変わってしまうのだが、ここからが根津美術館の真骨頂だ。

 

 異次元の驚きのその先にあるのは、とてもここが東京のドマンナカとは信じられないほどの、深い森林の静寂なのである。美術館に入ったはずが、絵画も彫刻もない森の静寂の中、どこまでも庭園の坂道を降りていく。

 

 騒がしいブランド街の気配は完全に消えて、「深山幽谷」とまでいかなくても、ふと野生の小動物の存在を感じるほどの静寂がそこにあり、4月下旬の日の午後には、その向こうにカキツバタの群落が待っていた。

(4月25日、京都・城南宮で咲き始めていたカキツバタ。根津美術館のカキツバタより、ムラサキがぐっと濃いように見えた)

 

 ワタクシは、この種のムラサキの花が大好きなのだ。カキツバタ、アヤメ、イチハツ、ハナショウブ。昔から「いずれアヤメかカキツバタ」と言って、アヤメ(菖蒲)やカキツバタ(杜若)の類いは、マコトに見分けがつきにくい。

 

 しかしカキツバタは5月、ハナショウブは6月、花の見頃はハッキリと分かれている。むかしむかし今井君がまだ小学生の頃、オウチの庭には小さな池があって、池の周りに毎年アヤメとイチハツの花が咲いた。

 

 何しろ秋田は北国だから、チューリップの花が終わってアヤメのツボミがニョキニョキ出始めるのは、やっと5月の中旬を過ぎたころだった。

(1970年、大阪万国博覧会記念切手のカキツバタ。おお、美しい切手じゃないか)

 

「オウチ」と言っても、旧・国鉄の職員宿舎である。国鉄は戦前には「鉄道省」であって、国鉄職員はもともと国家公務員。昭和後期になっても、職員宿舎は地元では「官舎」と呼ばれた。

 

 何しろ「民」ではなく「官」だから、今井君の父親みたいな中間管理職でも、「官舎」は庭付き一戸建てであって、庭にはアジサイの茂みやら小さな池やらがあって、池では金魚が数匹のびのび泳ぎ回り、夏にはカエルどんたちがゲコゲコ大合唱を繰り広げた。

 

 その庭で、幼い今井君はチューリップやらグラジオラスやらダリアやらの栽培に熱中し、庭の奥のアジサイの茂みで、アジサイの挿し木に夢中になったりした。だから、アヤメやカキツバタの類いの習性にも、いまだにそれなりの知識は残っている。

(小3の今井君。右がグラジオラスと、花の終わったチューリップ、左がハナショウブとイチハツ。後方はコギクの群落。上空斜めのヒモに、この後ヘチマのツルが巻いていく)

 

 4月下旬の根津美術館でカキツバタ。6月初旬の鎌倉・明月院でアジサイとハナショウブ。今年は例年になく花との付き合いが長く続いている。

 

 6月中旬から下旬にかけて、ワタクシはずっと関西に滞在する予定であるが、6月の京都&大阪でどんな花にめぐりあうことになるか、今から楽しみでならない。花ではなくホタル、その可能性も高い。

 

  しかし諸君、花より団子であり、花より男子であり、カキツバタよりウナギであって、夕暮れのワタクシは何が何でもウナギが食べたくなった。

 

 ウナギなら奥恵比寿の「松川」がいいが、個室が満員では致し方ない。渋谷南平台の「にょろ助」、元の「瓢六亭」を訪ねることにした。「瓢六亭」は、昔のワタクシのお気に入り。このブログにも何度も登場している。

 

Sun 190602 講座リニューアルが順調/もう新C組が完成/数歩か、数百万歩か 3841回

 

Fri 190614 大阪で仕事/国語教育の破綻を思う/論理より倫理/BUZZで痛飲 3847回

 

Sat 200704 新講座完成/パラグラフリーディング解禁/パンドラの封印を解く 3953回

 

(にょろ助、特上うな重。いくらなんでも、ワタクシには大きすぎる)

 

 しかし何しろ難しい世の中だ。経営上何かの問題が生じたのか、いつの間にか「瓢六亭」の看板は「にょろ助」に代わり、ウナギの重箱には「瓢六亭」のロゴを残したまま、看板とノレンは「にょろ助」のものに切り替わった。

 

 ワタクシは、元の「瓢六亭」のウナギを愛していたのである。小ぶりだがギュッと引き締まったウナギが大好きだったし、秋田の曲げわっぱを思わせる瀟洒な器に盛られた信玄飯にも深い趣きがあった。飲み放題プランの日本酒を注いでくれるオネーサマたちの、キップのいいサービスぶりも好きだった。

(この店は、もとは「瓢六亭」。ワタクシは、瓢六亭の旨さを凝縮したウナギが好きだった)

 

 しかし「にょろ助」に変わってしまった今は、ウナギが大きすぎてとても胃袋に入らない。看板には「やぶれかぶれ大サービス」とあって、すっかりビックリ系のお店に変わってしまった。

 

 店のスタッフも、何だか寂しそうである。瓢六亭時代からのダンナもウナギ職人も、みんな何となく肩を落として、ちょうど降り出した雨の中、温かい小さな声でワタクシを送り出してくれた。

 

 お酒もあまり進まず、「やぶれかぶれ」の大きすぎるウナギは、食べ残さざるをえなかった。あまりにも申し訳ないから、次回訪問するときには、酒のツマミ程度の単品だけ数品、慎重に選んで注文することに決めた。

 

1E(Cd) Miles DavisKIND OF BLUE

2E(Cd) BarenboimMENDELSSOHNLIEDER OHNE WORTE 1/2

3E(Cd) BarenboimMENDELSSOHNLIEDER OHNE WORTE 2/2

4E(Cd) Barenboim & ChicagoSCHUMANN/4 SYMPHONIEN 1/2

5E(Cd) Barenboim & ChicagoSCHUMANN/4 SYMPHONIEN 2/2

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