Sun 210829 ワクチン2回接種完了/ナースも医師も「先生ですか」/夢は枯野を 4095回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 210829 ワクチン2回接種完了/ナースも医師も「先生ですか」/夢は枯野を 4095回

 ワクチン2回接種、一昨日完了した。ワタクシは「基礎疾患ナシ、成人男性」というごくありふれたカテゴリーに属する人間なので、第1回が8月6日、第2回が8月27日、2回とも油照りの猛暑の日、渋谷NHK近くの大規模会場でファイザーのワクチンを接種していただいた。

 

 会場では、驚くほどたくさん「先生ですか?」の声がかかった。もちろん会場が会場だから、そんなに大きな声でおおっぴらに再会を喜びあうわけにはいかないが、ナースと医師と会場係員が「授業、受けてました」とマコトに嬉しそうにニッコリしてくれた。3人とも、30歳代半ばと思われるカタだった。

(ワクチン2回目接種の日、首都圏はこんな暑さだった。NHKテレビより)

 

 こういう場合、どういう言葉を返していいかわからない。しかし、こちらはもちろんマスク姿である。次々と訪れる「基礎疾患ナシ、成人男性」「基礎疾患なし、成人女性」の中から、10年も15年も前に授業を受けたマスクのサトイモ男を、そうと認めてくださるのだから嬉しさもヒトシオだ。

 

 東進で授業を始めて、もう17年目が半分過ぎようとしている。むかしむかしの生徒諸君が、ナースになり医師になり、公務員になり薬剤師になって、こんなに立派に黙々と社会貢献していらっしゃる。いやはやホントに頑張ってよかった。

 

 会場はマコトに整然と落ち着いた雰囲気。列を乱す人も、大声をあげる人も、秩序を乱す人も皆無。大声の会話も一切なくて、係員やナースの指示に従ってどこまでも粛々とワクチン接種が進むのである。

(夏の思ひ出1 神奈川県平塚の公開授業会場より富士を望む)

 

 女性医師の前に進み出て、「お名前を教えてください」と言われ、もちろんこんなところで嘘をつく必要はないから「今井宏です」と本名を名乗る。その瞬間、何だかそこいら中がザワッとしたような感覚があって、お隣のブースまで耳をそばだてた気配があった。

 

 鍛え上げた我が右腕をニョキッと突き出してダランとぶら下げ、チクっとして2秒、それで終わりである。終わって立ち上がって「ありがとうございました」と礼を言うと、「東進で授業受けてました」「面白かったです」と静かな声で告げられた。こんな嬉しいことはない。

 

 すると、医師の背後にいた係員の男性が「ボクも授業受けてました」とおっしゃる。医師と係員にはおそらく何の繋がりもないはずであるが、続けざまにそういうことを言われて、思わず鳥肌が立った。

 

 そのまま「15分ほど、ここでお休みください」と椅子席に導かれ、「看護師」という名札をつけた女子係員に「ワタシも授業に出てました」と告げられて、鳥肌は1つ1つがイボぐらいの大きさになった。どうやらワタクシの17年は、ホントにホントに素晴らしい17年だったようである。

(夏の思ひ出2 神奈川県新百合ヶ丘の会場にて、大好きなアップルパイをいただく)

 

 カーテンの向こうには救護室があって、そこに導かれた男性はどうやら過呼吸を起こしたらしい。ナースが駆けつけて、落ち着いた声で介護に当たっている。「奥様と娘さんには連絡しました」「落ち着いて、ゆっくり呼吸してください」と言う声が聞こえる。ワタクシより少し年上のオジサマであるらしい。

 

 やがて15分が経過して、帰路につく。会場を出る前に、熱が出た場合に備えてアクエリアスとコカコーラを1本ずつ自動販売機で購入する。自販機は交通系の電子マネー仕様、アクエリアスはスパークリング。東進に移籍する前には、どちらも存在しなかった代物だ。この17年で、世の中も大きく変化したのである。

 

 副反応というのか、ワクチン接種の当然の結果というのか、昨日は丸1日居眠りをして過ごした。腕の痛みは聞いていたほどではなかったが、接種から1日経過した後でどうにも反抗できないほどの睡魔に襲われた。

 

 3時間眠っては2時間ほどクーラーで部屋を冷やし、また3時間眠って大汗をかいて目を覚ます。ワタクシの部屋のクーラーは、5年前に買い換えたダイキン製で、信じがたいほど効きがいい。クーラーを付けっ放しで眠ったりすると一気に凍死の危機に直面するから、まず部屋を冷やしておいて、そのスキに3時間のフテ寝を満喫する。

(夏の思ひ出3 高松から静岡への移動の途中、羽田空港にてダブルハンバーグを貪る)

 

 微熱も出た。ワタクシの平熱は36.2℃であるが、ついに探し出した体温計の数字は36.8℃。「微熱かな?」と思い、今井君の世代が「微熱かな?」と思えば当然のように「伊藤麻衣子」を思いだし、ついでに「オレの中の『3大伊藤』は?」と問いかけて、伊藤つかさ・伊藤麻衣子・伊藤かずえと数え上げるうちに、バカバカしくてまた睡魔に負けた。

 

 その睡魔の中で「じゃ、オレの中の『3大フジ』は?」と考え、藤圭子・藤竜也・藤正樹が続き、しかしそこへ故サトウサンペイのフジ三太郎が「ボクを忘れていませんか?」と、例の顔をニュッと突き出した。

 

 ワタクシは、どこまでも昭和と20世紀の人間であって、電子マネーの自販機やスパークリングのアクエリアスを前にすると、だんだん寂しくなるのである。笑福亭仁鶴師匠も亡くなった。

 

 土曜日お昼のNHK「生活笑百科」が大の苦手で、放送の迫る1215分になると慌ててチャンネルを変えた。30年も同じことをやっていたが、ワタクシは「生活笑百科」が苦手なだけで、落語を語っている仁鶴さんは大好きだった。

(夏の思ひ出4 京都・神宮丸太町「八起庵」にて鳥料理を満喫。この看板、「もしやワタクシではないか?」)

 

 さて、こんなふうに弱気になったワタクシの癖なのであるが「旅に病んで 夢は枯野を 駆けめぐる」の一句が、頭の中をそれこそ駆けめぐる。旅に病んだ芭蕉の夢の枯野を、今井君もまた果てしなく彷徨するのである。

 

 一昨年の今頃は、コペンハーゲンで「旅に病む」をやっていた。たった1週間かそこらしか滞在しなかったコペンハーゲンで、そのうちの3日も4日も高熱にうなされていた。

 

 もちろん今回のワクチンについては話は別であるが、高熱が出た時のワタクシは、とにかく徹底的に汗をかくことで熱を下げる。コペンハーゲンでも、前と後ろから分厚いバスローブを2枚着てベッドに潜り、飲めるだけ水を飲んで大汗をかいた。

 

 そうやって1日か2日、バスローブを絞ればポタポタ滴が落ちるほどの汗まみれになって荒療治に耐えれば、それで高熱はひく。3日目には、デンマークから船に乗ってドイツに入り、リューベックとハンブルグを訪ねて翌日またコペンハーゲンに戻るほどの元気が出た。

 

 2016年4月のボルドーでは、旅の初日から高熱に悩まされた。それでもバイヨンヌやカルカソンヌやナルボンヌ、アルカションやサルラやビアリッツ、震えながら意地でも小旅行を繰り返した。旅に病むと、意地になる。サトイモ君の悪い癖なのだ。

 

 中でも、ナルボンヌ小旅行は今でも反省する。熱が下がったばかりだというのに、4月上旬の風雨をものともせず、ボルドーから3時間の日帰り旅に出た。風雨は間もなく暴風雨になり、ナルボンヌの街には人影もなかった。

 

 その暴風雨の中を傘もささず、サトイモ君はナルボンヌの魚市場へ。市場の中のレストランに座り込んで1時間、あっという間に白ワイン1本を飲み干し、また風雨をついて駅に戻ると、ナルボンヌ駅のバーで赤ワインを1本空っぽにした。

 

 ボルドーに帰り着いて、この馬鹿げた1日を深く反省。ワタクシには旅に病んだ場合、ますます馬鹿馬鹿しい楕円形になっていく傾向がある。あんまり馬鹿馬鹿しいから、当時の様子を美しい写真入りで眺めていただきたい。

 

Wed 160323 ただ今フランスから帰国いたしました 帰国報告その1(ボルドー春紀行 −1)

Thu 160324 帰国報告その2 夏は九州へ、たくさんの出張を熱望する(ボルドー春紀行0)

 

(夏の思ひ出5 京都・神宮丸太町「八起庵」にて。7月中旬には、まだ酒も飲ませてもらえた)

 

 829日、眠気もダルさも微熱もみんな治って、こうして10日ぶりに「ブログ」という古風なものを書く気になった。何しろもともとの精神が馬鹿馬鹿しいから、せっかく10日ぶりに古風なものを書いても、話はどこまでも馬鹿馬鹿しくなって、「旅に病んで」も何もあったものではない。

 

 気がつけば、オリンピックははるか昔の物語。甲子園は終わり、パラリンピックは後半戦に向かおうとしている。庭のカネタタキ一家はますます元気にカネを叩き続け、コオロギ諸君はコロコロ、きっとタキシードにシルクハットでバイオリンを握り、9月の本番に向けて練習に余念がない。諸君、もうまもなく秋の本番だ。

 

1E(Cd) Sarah VaughanSARAH VAUGHAN

2E(Cd) José JamesBLACKMAGIC

3E(Cd) Radka ToneffSteve DobrogoszFAIRYTALES

4E(Cd) John DankworthMOVIES ’N’ ME

total m16 y791  dd26631